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人生の決断を後悔しないためのマキシマイザー戦略

Decisions
2種類の決断タイプ 
人間には2種類の決断のタイプがある、などとよく申します。俗に「マキシマイザー」と「サティスファイサー」などと呼ばれていて、

  • マキシマイザー:つねに最高の選択をしないとガマンできないタイプ
  • サティスファイサー:ほどほどの選択で満足できるタイプ

みたいな感じ。当然ながら、モノと情報が多い現代では「マキシマイザー」はいつもストレスを抱えることになり、人生の満足度は下がっちゃうわけですな。


このへんについて詳しくは、バリー・シュワルツさんの「なぜ選ぶたびに後悔するのか」をどうぞ。ほどほどの満足で人生を幸福に暮らすコツが書かれた良い一冊です(絶版で高値がついちゃってますが)。



マキシマイザーはどこまで幸福に悪影響か
というわけで、現代では基本的にサティスファイサーのほうが適応的。「少欲知足」で行こう!みたいな結論になるわけですが、近ごろ読んだ論文(1)では、「マキシマイザーも使いようだ!」って話が出てておもしろかったです。


これはウォータールー大学の研究で、「マキシマイザーって本当に良くないの?」って問題について調べたもの。まずは参加者の幸福度とマキシマイザー度をチェックしたうえで、いろんな決断をしてもらったんですね(たくさんの旅行プランから好きなものを選ぶとか)。


良いマキシマイザーと悪いマキシマイザー
それで何がわかったかと言うと、「マキシマイザーには2つのサブカテゴリがある」ってことです。具体的には、

  • 促進系マキシマイザー:選択肢を徹底的に調べ上げるんだけど、それぞれのメリットとデメリットをくらべて、ポジティブな結果に向かおうとする。
  • 評価系マキシマイザー:「客観的に最高の選択肢があるはずだ!」という前提で、すべてのオプションを調べ上げようとする。

で、人生の満足度を下げるのが「評価系マキシマイザー」のほう。評価系は鬱病リスクが高く、不安に苦しむ傾向が高かったんだそうな。


問題は「くり返し思考」だ
研究者いわく、

すべてのオプションを徹底的に調べ上げるのは、なにも悪いことではない。しかし、マキシマイザーがストレスを感じるのは、リストアップしたオプションを何度もくり返して調べてしまうときだ。

この戦略が問題なのは、自分がいったん評価した情報を手放せなくなることだ。たいていの場合は「万が一に備えて…」と考えてしまい、情報を手元に残してしまう。

すると、マキシマイザーは、手放すべき選択肢についていつまでも考え込むことになり、最終的に選んだものに満足できなくなる。

とのこと。近年では「うつ病の原因は『くり返し思考』だ!」って考え方がメジャーですが、評価系マキシマイザーの心理も似たようなもんなんですな。


私のようにオタクっぽい人はマキシマイザーの傾向が強いかと思いますが、とりあえず物事を調べるのが好きなこと事態は問題なし。いったん物事を決めたら後ろは振り返らないのが、メンタルを健やかに保つコツってことでしょうな。確かに、いままで買って失敗したガジェットの総額について考えだしたら鬱になりそう(笑)


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。