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かつて結婚は体によかったが、結婚がオワコンになった現在ではそうでもない

Married
 結婚は体にいい!はずだったが…
昔から科学の世界では「結婚は体にいい!」が常識。前にも紹介したとおり「既婚者ほど寿命が長い」ってメタ分析までありまして、そのほかにも、

  • 心疾患になりにくい
  • 脳卒中リスクが下がる
  • 鬱病の発症率が低い

 なんて傾向が出てたりします。もちろん全てのデータが同じ結論じゃないものの、おおよそは「結婚=健康」って関連性が確認されております。


とかいってたら、今度は「結婚の健康メリットは消えた!」って話(1)が出てきてビビりました。



生まれた時代ごとに結婚の健康メリットが違う
これはオハイオ州立大学の研究で、1955年〜1984年のあいだに生まれた既婚者12,373人を対象に、全員の健康レベルにどんな違いがあるかをチェックしたんですな。 


それでどんな傾向が出たかと言いますと、

  • 古い世代ほど結婚によって全体の健康レベルは上昇していた
  • しかし、近年になるほど健康効果は低下していた

って感じ。若い世代になると、独身だろうが既婚者だろうが健康メリットに差はなかったそうな。



社会の変化により結婚のメリットが消えた
なんでこんな違いが出たかは現時点では不明。すべて「自己申告」のデータを使ってるんで、そこらへんの曖昧さが反映された可能性も捨てきれないとこではあります。


が、研究者いわく、

結婚による健康メリットが低下したのは、人口動態と文化の傾向が変わったせいかもしれない。

とのこと。昔とは社会の構造が変わったせいで、結婚のメリットも薄れたんじゃないか、と。たとえば、

  • 現在では結婚相手がいないくても、他のコミュニティで人間関係をキープしやすい
  • 両親の高齢化により、配偶者がなくても経済的にやっていけるようになった
  • 昔と違って独身に対する偏見が減ってきた
  • 独身でも経済的に自立することが可能になってきた

みたいなところでしょうか。実際、今回のデータでも、かつては女性のほうが結婚による健康メリットが大きかったのが、近年では男性と同じレベルになったとか。このあたりも、過去より女性が自立しやすくなった世相を反映している……のかも。よくわからんですが。


健康メリットが消えたのは結婚がオワコンになったせい?
さらに研究者は、「結婚がオワコンなんじゃないの?」って問題も指摘してたりします。

仕事と家庭のバランスは、20世紀に入ってから数十年で大きく変化してきた。この期間で、結婚した男女が一緒に過ごす時間は一貫して減り続けている。

家庭と仕事に費やさねばいけない時間が増えるいっぽうで、夫婦がともに過ごす時間は減っている。いまのカップルにとって、結婚は人生のライフガードではなく、ストレスと衝突の原因としての側面のほうが大きいのかもしれない。

いまの結婚は、昔と違って単にストレス源なんじゃないの?って話ですね。確かに、以前に紹介した2014年のメタ分析でも「健康メリットがあるのは幸せな結婚をしてる人だけ」って傾向が出てましたし、結婚自体がストレスになれば悪影響もあるでしょうなぁ。


まあ今回の研究がどこまで正しいかは謎ですが、結婚の立ち位置が昔と変わってきたのは間違いなさげ。結婚しようが独身だろうがどうでもいい社会になればいいっすね。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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