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俺と瞑想#3「瞑想を10年ちょい続けて、体感がどう変化したか確かめてみよう!」

 
 

ということで、このシリーズでは「瞑想を12年ぐらい続けたら、人間の心身にはどんな変化が起きるのか?」を見ておりまして、わたし自身のデータや体感をもとに、ゆるめの人体実験としてまとめている次第であります。

 

でもって、前回までは「瞑想を12年ぐらい続けた人間のバイタルはどう変わるのか?」ってところを見てまして、心拍数やHRV、呼吸数あたりには、それなりに変化が出るっぽいよねって話をしてきたわけです。

 

そこで今回は、「瞑想を12年ぐらいやってたら“体感”はどう変わったか?」みたいなところを見ていこうかと。「怒りとか不安の感情がどう変わったか?」とか「集中力や衝動性にはどんな変化が出るのか?」って問題ですな。

 

あくまでも私の主観なんで、科学的に厳密なデータとは言えないですけども、長年続けた人間の中では何が起きているのかを見るサンプルとしては、ある程度の参考になるんじゃないでしょうか。

 

 

 

瞑想の主観的な効果をチェックしてみようー

ということで、体感の変化を見るに当たって、わたくし、かつて以下のようなチェックを趣味でやってたことがありました(コロナ禍ぐらいのとき)。

 

  1. 瞑想の主観的な変化を見るために、「落ち着き」「集中力」「不安感」「イライラ」「衝動性」の5つを意識する。

  2. 15分の呼吸瞑想を行い、その前後の主観を10点満点で採点する

 

実にシンプルなやり方なんで「こんなもんで何がわかるの?」と思っちゃうかもですけども、こんな感じで主観の変化を10点満点で採点するやり方は、心理療法でもよく使われるものでして、「自分の状態を数字にする」だけでもメタ認知が働きやすくなるので、ざっくりした変化を見るには意外と役に立つわけです。

 

ちなみに、採点の基準はこんな感じになります。

 

指標0点10点
落ち着きまったく落ち着かないかなり落ち着いている
不安感まったく不安なし不安で頭が占拠されている
イライラまったくイライラなしすべてに腹が立つ
衝動性衝動に振り回されていないスマホ・食欲・先延ばし欲に完全敗北
集中力何も手につかないやるべきことに自然に戻れる

 

あくまでざっくりした採点ではありますが、「瞑想前後で自分の主観がどっちに動いたか」を見るには十分じゃないかってことで。

 

 

 

瞑想の前後で何が変わるのか?

では、実際に瞑想の前後で主観はどれぐらい変わるのか。とりあえず、30日分の記録をまとめてみると、こんな感じになります。

 

指標瞑想前の平均瞑想後の平均変化
落ち着き4.67.1+2.5
集中力5.06.8+1.8
不安感5.74.2-1.5
イライラ4.83.1-1.7
衝動性6.34.0-2.3

 

こうして見ると、個人的に一番変化が大きかったのは、落ち着き衝動性の2つみたいですね。これが私の中でどう体感されてるのかと言いますと、まず前提として、瞑想する前ってのは頭の中にいろんなタスクや欲望が散らばっている感じがあるじゃないですか。たとえば、

 

  • 今日やることが多い
  • 店の予約忘れてたな
  • なんか食べたい
  • 早く結果を出さないとまずい

 

こんな風に、脳内がいろんなノイズで埋めつくされてるんですよ。が、15分ほど座ると、問題そのものが消えるわけではないものの、脳内のノイズが少し小さくなる感じがありまして、これがなかなかいい感じなんですよ。実際、今回の記録でも、衝動性は平均で6.3点から4.0点まで下がっていますからね。もちろん、これは作業から逃げたい欲が完全になくなるって意味ではありませんで、むしろ「あ、いま逃避欲が出てるな」と気づくまでの時間が短くなるイメージっすね。

 

落ち着きについても、瞑想前の平均は4.6点でしたが、瞑想後は7.1点まで上がってて、これもいい感じですね。ここでいう落ち着きは、「深いリラックス」みたいなものとはちょっと違ってて、どちらかと言えば反応がワンテンポ遅くなる感じっすね。「嫌な考えが浮かんでも、すぐ信じない」とか「不安が出ても、すぐに取り込まれない」みたいな感じでしょうか。

 

一方で、不安感の変化はそこまで劇的じゃありませんで、こちらも面白いとこっすね。まぁ平均で見ると多少は数値が下がってはいるんですけど、「不安が消えた!」って感じではまったくないんで。


むしろ、瞑想後も不安は普通に残ってまして、ただ不安への姿勢がちょっと変わったぐらいの感覚じゃないでしょうか。瞑想をやる前は「なんかヤバい気がする」ぐらいの漠然とした感じだったものが、瞑想に慣れてきたら「あ、これは今日の予定が多いことへの不安だな」とか「これは寝不足で悲観的に考えているだけかもな」みたいに、ちょっとだけ不安を分解して見られるようになった感じであります。

 

 

 

というわけで、結局のところ瞑想のメリットとは?

というわけで、その他の「イライラ」や「集中力」もまとめてみると、私の体感では、瞑想のメリットは以下のようになりますね。

 

指標変化の中身
落ち着き心が静かになるというより、反応がワンテンポ遅くなる。
集中力集中が切れなくなるのではなく、切れたあと戻りやすくなる。
不安感不安が消えるのではなく、不安に名前をつけやすくなる。
イライラ怒らなくなるのではなく、怒りの発火に気づきやすくなる。
衝動性欲望がなくなるのではなく、欲望の波を観察しやすくなる。

 

ご覧のとおり、こうしてみると瞑想の効果ってのは、よく言われるような「心が穏やかになる!」「煩悩が消える!」みたいな話じゃなくて、「脳内に自動でわきあがるノイズに少しだけツッコミを入れられるようになる」ってとこでしょうな。うーん、地味。

 

なので、瞑想をやったからといって「人生が変わる!」みたいなことはないんですけど、私のなかでは「それなりに役立つスキルを手に入れたぞ!」って気分であります。これがあると、不安がゼロにはならないにせよ少しラクになりますし、イライラがゼロにはならないとしても人にやつあたりせずに済みますし……ってとこなんで。基本的には、瞑想によって感情が変わるというよりは、感情との距離感ができるってニュアンスが正しいんでしょうな。

 

そんなわけで、今回は私の主観による瞑想の効能のお話でした。「12年やってそんなもんか!」と思う人もいるでしょうが、まぁ世の中そんな劇的な介入なんてないもんでして、「自動思考から距離を取りやすくなる」ってだけでも、個人的には十分かなーと思っております。瞑想をやってもいい気分になることは少ないが(たまにあることもある)、悪い気分に飲み込まれっぱなしになるケースも少なくなる、ぐらいの効能だと考えるのがいちばん現実に近いんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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