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熱海のツインピークス「アタミ銀座劇場」にて日本最高齢のストリッパーと語らう



熱海観光のラストは「静岡最強」と噂の「銀座劇場」さんへ。熱海銀座通り沿いに建つ老舗のストリップ小屋なんですが、浅草のように豪華なショーが見られるわけでもなく、初老のオーナーと老婆の踊り子がひっそりと営んでおりまして、それはそれは趣深いスポットなんだとか。


場所は銀座通りの商店街に入ってすぐ右手。年季の入ったビルの1階にたたずんでおります。かなりの好立地。


表には「ピンクショー実演中」の看板と、謎の猫オブジェがズラリ。ピンク要素ゼロですね。入館料は4,000円なんですが、オーナーと交渉したら3,000円にまけてくれました。



店内は12畳ほどの小ささで、すえた臭いがプンプン。赤い照明がギラギラ。「ツインピークス」に出てくる「赤い部屋」を思い出しました。火よ、我とともに歩め!


客席はこんな感じ。やっぱりデビッド・リンチっぽいですね。


で、残念ながら踊り子さんの撮影は禁止だったんですが、御年は70代の半ばごろでしょうか。見た目は淡谷のり子先生にそっくりで、頭は豊かな黒い長髪。つねにハーフトーンのサングラスをかけておられました。


 場内にいたのは60分ぐらいで、客はわたしと奥さんの2人だけ。ステージの流れは、おおよそ以下のとおりです。

  1. キャミソール姿の淡谷先生が登場。ラジカセの操作に手間どり、5分ほど曲が流れないハプニングが起きる。
  2. ようやくムーディな昭和歌謡が流れだし、太極拳をスロー再生にしたようなテンポで淡谷先生がダンス開始。全体的にストレッチのような動きが多く、Eテレの朝の健康番組を見ている気分に。
  3. 5分ほどで疲れたのか淡谷先生がステージに座り込み、客と雑談開始。
  4. 15分ほど雑談のあと、おもむろに健康体操を再開。5分後にまた雑談の繰り返し。

といった感じで、全ステージのおよそ70%が雑談でした。なんだ、この時間。


とはいえ、雑談も非常に味わい深いものでして、その内容を記憶の限りに再生してみますと、

あたしは商売が好きでの。昔は六本木と銀座でバーを経営しててね。お客さんは、そうねぇ、吉行淳之介とか梶山季之とか遠藤周作とか。遠藤先生には気に入られちゃって、よくおそばにいたから「娘さんですか?」なんて言われちゃって。そのあとは洋服屋をやったりもしたのよ。でも、やっぱり健康が第一でしょう? それでプラプラしてるうちに誘われちゃって、ここで働くことになったのよ。

人生の前半から後半への急展開がハンパじゃありません。具体的にどう「プラプラしてた」のかは、怖くて聞けませんでした。


さらに現在の仕事について。

この建物はオーナーの持ちビルなの。お客さんは多いときで1日30人ぐらい。平均で1日10人ぐらいね。いまは昔と違って夫婦でいらっしゃる方が多いわねぇ。勉強になりますよ。いろんな方がコンコンといらっしゃるから。昨日は南アフリカの女性がね、日本人の旦那さんと一緒にやってきたの。南アフリカの方は真面目よね。子どもを産まずに働くんですって。でも、仕事が終わったら、子どもをドロドロ産んでねぇ。あたしは、自慢じゃないけど、子どももないし、結婚をしたこともないの。戸籍は処女。ウフフフ。



でも、ほら、いま駅前にビルを作ってるでしょ? 将来はあそこに喫茶店を開くの。それで、みんなに勇気とファイトをあげようと思ってね。ウフフフフ。

言葉のはしばしに飛び出す独特の擬音がたまりません。そして、発言は全体的に前向きでポジティブ。

こないだはね、これ、名前は言えないんだけど、一億の株を持っているっていう男の方が酔ってぷらりと入ってきたの。それで「キミ、踊らなくてもいい。僕はキミと話がしたいんだ」って言うから、手相を見てさしあげてね。あたし、その人の過去とかぜーんぶ当てちゃって、「うわーっ!」って。ウフフフフ。


お客さんが来ると、手相を見ることが多いの。よく当たるから、もうみんな「オレも見てくれオレも見てくれ」って。でも、やりすぎるとオーナーに怒られちゃうから。ウフフフフ。

というわけでわたしも手相を見てもらったんですが、こちらの手の平をしばらく見つめたあとで「うん、キレイな手ね」とだけ一言。昭和のコントかと。


次に見てもらった奥さんは「変わった手相ね~」との感想が出ましたが、「ほら、タテにシャッシャッシャッと線があるでしょ?」と繰り返すばかりで、くわしくは何も教えてくれず。最後は「でもね、やっぱり大事なのは自分自身よね。結局はどう行動するかだから」と、手相の意義を根本からくつがえす発言をしておられました。


ちなみに、淡谷先生の手相診断によれば、わたしの職業は「建築関係でしょ?」で、奥さんは「学校の先生でしょ?」とのことで、どちらも大ハズレ。少し慌てたのか、すばやく「建築の仕事は儲かるらしいわねー」と別の話に切り替えたあたりが、ちょっと可愛かったです。


そんなわけで、噂の「銀座劇場」は、完全にデビッド・リンチの世界でした。建物の非日常感もそうですが、現実と幻想がつねに地続きな老婦トークも、まさに「ツインピークス」さながらであります。


そこに3,000円の価値があるのか?と問われれば、「美味いものでも食べたほうがいいですよ」とお答えするでしょうが、栄光と没落と妄想が交じり合ったステージの内容に、わたしは映画「マルホランド・ドライブ」にも似た感傷をおぼえました。世界よ、これが熱海だ!(違う)


▼銀座劇場

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41才のプロパレオダイエッター/編集者/ライター/NASM®公認パーソナルトレーナー。国内外の学術論文を読み漁るのが好きな人。パレオダイエットの本を書きました。