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パレオさんに聞いてみよう#1:読書法、英語論文の読み方、プロテインと癌、ワクチンは無意味?

Qanda

  

当ブログにはいろんなご質問をいただくのですが、なかには「私の体験談でしか答えられないなー」とか「1つのエントリでまとめるほどボリュームが出ないなー」といった問題から、ダラダラと答えを引き伸ばすことがありまして。

 

 

かといって回答を放置しておくのも罪悪感がありますので、そういうった質問をまとめて1エントリにしていくことにしました。今回は4つほど。

 



 

 

本の読み方とか

スズキさんはどのように本を読んでおられますか?速読など… また、速読や多読など様々な読書法がありますが、結局はどの読書法が良いのでしょうか?

 

それは本の種類によるんじゃないでしょうか。たとえば、新書のように「最新の知見にキャッチアップするぞ!」ってのが目的の本だったら速読がいいでしょうし、統計の本みたいに「基礎ツールを身につけるぞ!」ってのが目的だったら超精読したほうがいいでしょうし。

 

 

具体的には、よく知ったジャンルの新書だと15分ぐらいで読むことが多いです。海外のハードカバーで30分ぐらい。特定のジャンルを多読してると、どんどん飛ばし読みが上手くなっていきますんで、だいたいこれぐらいで読めるんじゃないでしょうか。必要なのは、本を飛ばし読みする勇気だけです(笑)

 

 

逆に統計の本なんかは、中に出てくる用語の定義なんかをちくちくノートに書き写しながら読むんで、一冊が終わるのに1年かかったりもします。私は数学が苦手なので、基本的にノートにガンガン書きながら読まないと、まったく身につかないんですよ。コスパがいいですね(笑)

 

 

海外論文の読み方とか

 英語の文献はどうやってどのように探してらっしゃるのでしょうか?あと、英語力がどれだけあればよいかなどの基準はありますでしょうか?

 

まず文献の探し方については、「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」を参照するのがおすすめです。本書の中盤ぐらいに「精度が高い論文の探し方」が解説されてまして、とても参考になりますので。これは心理学がメインですけど、基本的な探し方はどの分野でも変わんないっす。

 

 

 

次に英語の話。こんなブログをやってると英語力を過大評価されがちなんですが、私はそんなに英語が得意じゃないです。英会話もカタコトだし、口語表現が多い小説とか全然読めないし。正直、英語論文を読むより、ハリー・ポッターを原著で読むほうが大変。

 

 

いっぽうで論文の英語はシンプルなんで、高校ぐらいの文法力と、8000語レベルの英単語を知ってれば十分に対応できるはず。まずは「JACET8000英単語 」などを暗記してけばいいんじゃないでしょうか。私の場合は、趣味でSLVの12,000語まで覚えてみましたが、そこまで必要なケースは少ないです(もちろん専門用語は別に覚える必要がありますけど)。

 

 

なので、いったん8000語をクリアしたら、あとは実際に文献を手にとってみて、専門用語を調べつつ多読してくのがオススメかと。特にメタ分析系の論文はオープンアクセスが多いんで、手ごろで良いんじゃないかと思います。残りの時間は、統計の勉強などに費やしたほうが幸せになれそう。

 

 

プロテインで癌は起きる?

いつもホエイプロテインを飲んでいるのですが、カゼインプロテインの記事を読んで興味を持ちました。 ネットで見た記事では、カゼインプロテインの筋トレへの効果が示されている一方で、カゼインが花粉症などのアレルギーを強めるとか、癌との関連が書かれていたりします。 何か学術的な知見などご存知でしたら、お教え頂けませんでしょうか?

 

プロテインの発がんリスクについては、ちゃんと調べたデータがないので悩ましいところです。なので、現時点では過去に「牛乳でガンになるってホント?」ってシリーズで紹介したデータを参考にするしかないかと。

 

 

基本的には、大半の癌については心配しなくてもいいけど、前立腺がんだけはややリスクが上がるかも…って感じです。また、アレルギーについては元々の体質が大きいので、実際に1週間ほど試してみて、体の反応をみるしかないでしょうねぇ。

 

 

ワクチンは無意味ってホント?

ワクチンなどは副作用も強いばかりか効果も全くない、百害あって一利なしなので利得権益に目がくらんだ病院に騙されないように、子供には全く打つ必要がない、なんて健康説が陰謀論よろしく結構広まっているように思います。 このような説にはどんなお考えをおもちでしょうか?

 

おっしゃる通り、ただの陰謀論です。ワクチンの効果については信頼できるデータが山ほどありまして、

 

  • 31件のデータをまとまたメタ分析で「ワクチンは子供への効果が高く、成人にもそこそこの効果」との結論(2011年,1)
  • 90件のデータをまとまたメタ分析で「ワクチンにはそこそこの効果あり」との結論。特に副作用もない(2014年,2)

 

 みたいな感じ。どれも信頼性は一級なんで、疑ってもしょうがないレベルかと。とはいえ、そこは陰謀論の悲しさでして、いくらデータがあっても「極秘文章が流出したのだ!」みたいな反論が出てくるんですけどね…。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。