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悪い習慣を「あえてやってみる」ことで治す逆説的介入テク

Control

 

 

 解決したい問題をあえてやってみる

ガンコな人の意見を変えたいときは極端に賛成せよ」って実験について書いてて、ふと思い出したのが「逆説的介入」っていう心理テクであります。

 

 

ざっくり言うと「解決したい問題をあえてやってみる」方法で、例えば、

 

  • ネットをダラダラ見て仕事をしない癖を治したい! → 「毎日15時から1時間だけ徹底的にネットを見てダラダラする」と決めて実行する
  • 反射的に怒ってしまう性質を治したい! → 協力者に「これから怒りますんで」と断ったうえで、いつものように怒ってみる
  • 手が震えるのが恥ずかしい! → 毎日5分だけ意図的に手を震わせる練習をする

 

みたいな感じ。治したい行動や感情を、自分の意志で再現してみるのがポイントであります。

 



 

 

 悪い習慣に効果が大きい

80〜90年代によく使われてたテクニックでして、1987年には「一般的なセラピーと同じぐらいの効果があるよ」ってメタ分析(1)が出てたり、1995年にもマーティン・セリグマンが「統計的にもいい成功率が出てる」って見解(2)を述べてたりとか。わりと効果が認められた技のひとつかと思います。

 

 

逆説的介入に効果がある理由は諸説ありますけど、

 

  • 自己コントロール感が増える:「どうしても手が震えてしまう!」が「自分の意志で手を震わせることができる!」に変わる
  • バカらしくなる:自分が好きでやってた「ネットのダラ見」が毎日の義務に変わり、自然とモチベーションが失せていく

 

といったあたりが有力でしょうね。どちらかと言えば、悪い習慣を止めたいときに効果を発揮しやすいと思います(なので、エクササイズを習慣にしたい!みたいな場面では使いづらい)。

 

 

怪しいセミナーでも定番のテク

もちろん、健康の改善にも使える技法でして、

 

  • お菓子が食べたくなる → 毎日18時から10分お菓子を必ず食べ続けるように決め、ちゃんと義務を果たしたかどうかをSNSなどで報告

 

って感じでアレンジしていけばよろしいかと。わりと楽しいテクニックなんで、手持ちのレパートリーに加えとくといいと思います。

 

 

ちなみに、この「逆説的介入」は、怪しい自己啓発セミナーとか新興宗教なんかでもよく使われてる印象であります。「自己の改善にともなう恐怖をあえて演じてみるのだ!」みたいな感じで。

 

 

テクニックのインパクトが強いうえに、それなりの効果が見込めるんで、活用しやすいんでしょうね。このへんの仕組がわかっとくと、バカみたいな価格のセミナーに引っかからなくてすむかもしれません。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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