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SNSはやっぱり危険だった…36万人研究でわかった「子どもの脳への影響」とは?

 

「スマホは子どもにいいのか悪いのか」みたいな話題は、昔からよく耳にするところです。私の周りでも「子どもがYouTubeばっかり見てるんだけど、取り上げると嫌がるんで……」みたいな話がよく出ております。

 

で、この手の話ってのは、だいたい「悪いに決まってる派」と「いやメリットもあるでしょ派」に分かれるわけですが、近ごろこの問題をガッツリ調べた研究(R)が出てましたんで、内容をチェックしておきましょう。

 

 

SNSはかなりヤバいが、ゲームは意外とマシかもしれない

この研究は縦断研究だけを集めたメタ分析でして、約153の過去研究をもとに約36万人のデータを処理しております。参加者の年齢は2歳〜19歳で、追跡期間は最大22年ってことで、ここまでのデータをまとめた分析は過去にもなかったですね。これまでの研究の中では、相当に信頼度が高い部類じゃないでしょうか。

 

ちなみに、縦断研究ってのは、特定の人を時間を追って追跡するタイプの研究で、これによって原因と結果の方向がある程度見えるのがナイスなポイント。そのおかげで、「スマホを使う子が問題を抱えやすい」のか、それとも「問題を抱えてる子がスマホに逃げるだけなのか」を、ある程度まで区別して判断できるわけです。

 

では、結果を見てみましょう。ここで出てきた話をざっくりまとめると、こんな感じになります。

 

  • ソーシャルメディア(SNS)は、以下の問題と相関がある
    • うつ・不安の増加
    • 問題行動の増加
    • 自傷思考の増加
    • 学業成績の低下
    • 自己評価の低下
    • アルコール・タバコ・大麻などの使用増加

 

ということで、ほぼすべての分野で「SNSを使っているとネガティブな問題が起きる!」って結果ですね。こりゃあ困ったもんですなぁ。

 

しかも、ここで興味深いのが、「どの分野でも一貫して同じ傾向が出る」という点でして、研究者いわく「100以上の研究で同じパターンが出続けた」とのこと。「一貫性がある」ってのはかなり重要なポイントで、要するに「たまたまSNSが悪いって結論が出たわけじゃない」ってことですね。

 

一方で、「ゲームは子どもに良いのか悪いのか?」って問題については少しだけ違う結果が出てまして、

 

  • ゲームは……
    • 攻撃性・問題行動 → やや増加
    • 注意力・実行機能 → 少し改善

 

ってことで、メリットとデメリットがどちらも認められたみたいなんですね。ここでいう「実行機能」ってのは、「ワーキングメモリ」とか「注意の切り替え」とか「セルフコントロール」などの能力に関わる脳の働きで、いわゆる「頭の使い方の上手さ」みたいな感じっすね。つまり、ゲームはSNSと比べればそこまで悪いわけではなく、「副作用もあるが、ちょっと脳のトレーニングにはなるかも」ぐらいのポジションだと申せましょう。

 

 

じゃあSNSはどれくらいヤバいのか?

ということで、SNSにはなかなか辛い結果が出てますが、それでは具体的にどれぐらいヤバいんでしょうか? この研究ではSNSがもたらす悪影響の「効果量」も出してくれてまして、

 

  • SNSの悪影響は小〜中程度

 

だと報告しております。そう聞くと、「なんだ、たいしたことないじゃん」と思うかもしれませんが、研究チームいわく、

 

このレベルの影響は、運動不足や食生活の乱れと同等である。

 

とのこと。つまり、1回では大した悪影響はないけども、毎日積み重なると普通に効いてくるぐらいのリスクってことですな。

 

なぜSNSにここまでの悪影響があるのかはまだ完全には解明されてませんが、先行研究を合わせて考えると、おそらくポイントは以下のあたりでしょう。

 

  1. 比較地獄:SNSは「他人の良い暮らしを見せつけられる装置」なので、そのせいで自己評価が下がりやすい。

  2. 報酬設計:いいね・通知などでいちいちドーパミンが分泌され、それによって脳の報酬が乱れる。

  3. 終わりがない:無限にスクロールできるので、使用時間を制御しにくい。

 

この3つが合わさるせいで、おそらくメンタルがじわじわ低下するんじゃないかと思うわけです。個人的には、特に1番目の「比較地獄」が効いてるんじゃないかなーと考えてまして、人間は自分よりちょっと上の相手と比較するクセがあるので、SNSみたいに「常に上位互換の人生」が流れてくる環境だと、どうしても自己評価が削られちゃうんですよね。

 

というと、「SNSは友達が増えるし、創造性も上がるって聞いたことがあるけどなー」と思う人もいるかもですが、これについて研究チームがどう言ってるかと言いますと、

 

  • 人間関係の改善 → 証拠なし
  • 創造性・共感力 → そもそもちゃんと研究されてない

 

みたいになります。つまり、現時点では「SNSにメリットがある可能性はあるけど、現時点では確認できてない」という微妙なラインなわけですね。私としては「SNSも上手く使えばメリットは大きいだろう」と思ってますけど、そうはいってもなかなか上手く使いこなすのは難しいんでしょうなぁ。

 

 

じゃあどうすればいいのか?

ということで、このデータを見ると「じゃあSNSは全て禁止すればいいのか?」とか思っちゃうわけですけど、それも現実的ではないのでご注意ください。今回の研究を見てみると、これは「デジタルが悪い」というより「使い方と量の問題」だよなーって感じでして、特にSNSに関しては、

 

  • 長時間
  • 無制限
  • 受動的に見るだけ

 

って使い方をすると、ほぼ確実にメンタルに影響が出そうなんで、そこは注意しておきたいところです。なので、いまのところは「SNSは目的がある状態で能動的に短時間だけ使う!」と心がけるぐらいが現実的な落としどころになるのかもしれません。とにかく、SNSの使い方についてあらかじめ自分なりのルールを決めておけば、リスクはだいぶ下げられるんじゃないかと。「便利なものほど付き合い方の指針が大事」ってことで、うまく距離感を取っていきたいところですなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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