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人生の意味はどこから生まれるのか?4カ国2000人調査で見えた「良い人生の正体」とは?

 

「人生の目的が大事!」みたいな話は、皆さますでに耳タコでしょう。自己啓発の本やSNSでも何度も繰り返されてきたテーマですからね。

 

実際、「人生の目的」って概念は心理学でもかなり重要なテーマとして扱われてまして、以下のように定義されております。

 

  • 人生全体を方向づけ、行動や目標をまとめあげる“中核的なゴール”

 

自分の行動や意思決定の軸になるような長期的な方向性を、人生の目的と呼んでるわけっすね。

 

で、これまでの研究によると、人生の目的がハッキリしている人ほど、

 

  • 人生満足度が高い
  • メンタルが安定しやすい
  • 認知機能の低下がゆるやか

 

みたいなメリットがあることが知られているんですな。なので、「人生の目的が大事!」ってアドバイスは、フワッとした精神論のように思われがちですが、データでも正当性が確認されている事実だと申せましょう。

 

が、そうは言っても、いざ「自分の人生の目的は何か?」と考えてみると、言葉に詰まってしまう方も多いはず。そもそも明確な答えがない問題なんで、どうしてもつかみどころがなく感じちゃいますからねぇ。

 

そこで近ごろ参考になるのが、「みんな何を目的にして生きてるの?」って問題を調べた研究(R)であります。これは世界から2000人以上の参加者を集め、みんなに「人生の目的は何ですか?」と尋ねまくった研究でして、その回答を分析した上で、研究チームは「人間が人生の目的を見出すパターン」を16種類に分類しております。

 

  1. 自己成長(スキルや知識を伸ばす)
  2. 家族
  3. 人間関係
  4. 宗教・スピリチュアル
  5. 社会的評価
  6. 幸福そのもの
  7. 自立(経済・生活)
  8. お金・物質的成功
  9. 自分の価値観に従う
  10. 社会への貢献
  11. 何かを残す(レガシー)
  12. 仕事の充実
  13. 困難を乗り越える
  14. 健康
  15. 心の平穏
  16. 他者への奉仕

 

どれもいかにも人間が大事にしそうなテーマでして、周囲の人たちを観察してみても、なんとなく当てはまるものが見つかるラインナップじゃないでしょうか。

 

ちなみに、この結果は文化による違いがないようで、国をまたいでもほぼ同じ傾向が出ているのが面白いところです。この研究では、アメリカ、ポーランド、日本、インドの4カ国でデータを比較してるんですが、文化が違っても「どこに目的を感じるか」はかなり似てたんだそうな。たとえば、こんな感じです。

 

  • どの国でも上位に来たもの
    • 幸福
    • 自立
    • 家族

 

  • どの国でも下位に来たもの
    • 宗教
    • 社会的評価

 

このへんを見ると、「やっぱ人間って似たようなことで悩み、似たようなものを求めているんだなぁ…」とか思いますな。

 

で、この研究のもう一つのポイントが、「良い人生とは何か?」って問題を3つに分けて考えている点です。ひとくちに「良い人生」と言っても、人によって重視するポイントがバラバラですから、定義を細かく追い込むのは重要なポイントでしょう。研究チームが具体的にどんな分類をしたかと言いますと、

 

  • 幸福(Happy life):気分がいい、楽しい

  • 意味(Meaningful life):生きる価値を感じる

  • 心理的豊かさ(Psychological richness):多様で面白い経験がある

 

みたいな感じです。これら3つをバランスよく味わえるのが『良い人生だ』って話でして、まぁ納得じゃないでしょうか。いかに毎日楽しく暮らしてても、生きる価値が感じられなかったらどこか空虚に感じちゃいますもんね。

 

でもって、この3つの分類をベースに、研究チームは「人生の意味を強く予測した」要素をピックアップしております。データによりますと、以下の要素を大事にしている人ほど、人生に意味を感じている傾向が強かったんだそうな。

 

  1. 誰かの役に立っている感
  2. 困難を乗り越える力
  3. 他者への貢献

 

このあたりが人生の意味をもたらしやすいトップ3でして、逆に「幸福そのもの」「お金」「自立」などは、「意味」の向上にはあまり関係してなかったらしい。要は、人生の意味には「他者」が必要なんだ、と。

 

また、それと同時に、研究チームは「幸福を高める要素」も調べてくれてまして、この結果もなかなか面白い。トップ3を見てみると、こんな感じになります。

 

  1. 心の平穏
  2. 社会へのポジティブな影響
  3. 身体の健康

 

ということで、「心が落ち着いていて、そこそこ健康で、誰かの役に立っている」って状態が、一番ハッピーになりやすいわけですな。あと、お金とか仕事も幸福との関連が弱めでして、このへんは多くの幸福研究と一致してますな。

 

最後に「心理的に豊かな人生(=面白い人生)」も見てみると、ここには、

 

  1. 他者への奉仕
  2. 誰かに影響を与えること
  3. 自己成長
  4. 人間関係

 

が上位に入っておりました。要するに、「人と関わって、成長して、ちょっとカオスな経験をする」ってのが人生の“深み”を作るって感じになるんでしょうね。

 

そんなわけで、「良い人生」についてまとめてみると、

 

  • 幸せになりたいなら → 心の平穏・健康・ちょい貢献を重視する

  • 意味を感じたいなら → 誰かの役に立つ・困難を乗り越えることを重視する

  • 面白く生きたいなら → 人との関わり・成長を重視する

 

って感じになりましょう。これを実践に移すのであれば、

 

  • 同僚をちょっと手伝ったり、家族の負担を減らしたり、SNSで有益な情報をシェアしたりして、「他人の役に立っている感」を増やす
  • 新しいスキルに挑戦したり、運動を習慣化したり、面倒な課題を先に片付けたりして、「粘り強さ」を育てる
  • 人との接点を増やしたり、友人と定期的に会ったり、コミュニティに参加したりして軽い雑談を増やし、「心理的豊かさ」を伸ばす

 

といったあたりに気を配ってみると、バランスよく3つの要素を満たすことができるんじゃないでしょうか。「人生の目的がわからん…」と悩んでいる方は、とりあえず上記をお試しいただくといいんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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