やっぱり肉を食べても血管はカチカチにならないみたいよ
肉で血液ドロドロ?血管カチカチ?
以前に「お肉は体にいいのか悪いのか?」って話を5回のシリーズ(1,2,3,4,5)で書きまして、「いろいろと肉には問題もあるけど、やっぱ食べたほうがいいよね」みたいな結論に落ち着いたりしました。
ただ、そこで漏れていたのが「肉で血管がカッチカチになるんじゃない?」問題だったりします。なんせ肉は飽和脂肪酸が多いんで、食べ過ぎれば血液がドロドロになり、引いては血管がカチカチなるのでは…と悩んでしまうのも当然でしょう。
ところが、これまでの研究は結果が相反していて、「肉で心疾患のリスクが上昇!」ってデータ(6)がある一方で、「加工肉は悪いけど普通の肉なら問題なし!」って結論(7)も出てて、判断が難しかったんですよね。悩ましい。
肉と血管カチカチ問題のメタ分析が出た
とか思ってたら、「肉と血管カチカチ問題」について、ガッツリ調べた論文(7)が出てくれました。これはパデュー大学の研究で、過去に出た945件のデータから質が高いものだけを選んだメタ分析になっております。
この論文が良いのは、実験室で行われた研究データだけを使ってるとこ。いままでのデータは観察研究がメインだったんで、正直なところ、いまいちハッキリしたことが言えてなかったんですよ。
1日35g以上の肉でコレステロールはどうなる?
で、この研究では、だいたい以下の食事パターンをくらべております。
- 肉多めグループ:1日に35〜210gのレッドミートを食べてもらう
- 肉少なめグループ:1日に35g以下のレッドミートを食べてもらう
レッドミートってのは英語に特有の分類で、論文中の表現だと「牛肉、豚肉、ラム肉、ヤギ肉、その他、鳥以外の狩猟肉(シカやバイソンなど)」みたいな意味。日本語の「赤身」とは違うのでご注意ください。
実験期間の平均は2〜32週間で、主にコレステロールや中性脂肪、血圧などの変化を調べたみたい。心疾患リスクのマーカーはだいたいチェックされております。
肉で心疾患リスクは上がらない
その結果、なにがわかったかと言いますと、
- レッドミートを多く食べても心疾患リスクは上がらない!(基本的には)
だったそうな。レッドミートの量が増えても、特にコレステロールや中性脂肪、血圧への影響は見られなかったらしい。つまり、飽和脂肪酸そのものは血管をカチカチにはしないんだ、と。
ただし調理の問題には要注意
が、ここで「基本的には」の但し書きをつけたのは、データ内の個人差がかなーり大きいから。データをならすと「問題なし!」って結論になるんだけど、レッドミートでコレステロールが上がっちゃう人もそこそこいるんですよね。
その原因はまだハッキリしてないものの、これまでのデータ(1,2,3,4,5)を見るにつけ、
- 肉好きはついカロリーの摂りすぎちゃう傾向が多いから?
- 一部の研究では高温調理をしていたのかも?
といったあたりが影響してるのかなーと思われます。そのへんの解明は今後の研究に期待。
いずれにせよ、RCTのメタ分析で「牛肉や豚肉では心疾患リスクは上がらない!」って結果が出たのは、肉好きには喜ばしい話です。要は調理の仕方なんでしょうねぇ。