もっと楽に行きたいなら“プレイブック”を作ろうぜ!って本を読んだ話
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『ザ・プラン(The PLAN)』って本を読みました。著者のケンドラ・アダチさんは、ニューヨークタイムズのベストセラー作家で、「頑張りすぎると時間の奴隷になっちゃうよねー」って主張を一貫して述べている人らしい。決して科学的な知見にもとづいたような本ではないものの、生活全体を見直して自分の価値観に基づいた選択をしよう!って視点が一貫していて、ACTみたいな心理療法の知見とも整合性があるんじゃないかと思ったわけです。
で、本書は『「成功」や「偉大さ」に縛られず、もっと自由に、もっと楽に生きようぜ!』みたいな内容で、常に完璧を目指さず、今の自分を受け入れて、もっと穏やかな日々を送ろうねーって話が展開されております。ちょっと拙著である『YourTime(ユア・タイム)』に近いところもありまして、「効率的に時間を使いたい!」「もっと生産的になりたい!」みたいに思いすぎて、逆に効率が下がっているような方はチェックしてみると良いかもしれません。
では、いつもどおり、本書の重要なポイントを見ていきましょうー。
- 現代の社会では「偉大さ」や「成長」「成功」が求められ、特にアメリカでは、「常に成長を追い求めるべきだ」「偉大であれ」というメッセージが至る所にあふれ、それが国家のアイデンティティに根付いている。もちろん、それが悪いわけではなく、成長や成功を目指すのに適した性格を持っている人もいる。何かに熟達しようと努力することは素晴らしいことであり、これを否定することは誰にも出来ない。
- しかし、現代では「常に偉大であろうと努力しなければ、人生を無駄にしている」といった見方があり、これには強く反対すべきである。実際、大多数の人は、ごく普通で平均点な生活を送っているのが現実であり、平凡な日常に満足し、日々の中に美を見出している。そんな人たちに、毎日を一分一秒を無駄にすることなく、その実現に向けて努力しろ!がむしゃらに働き続けろ!と言うのは、生きていく上で危険なパラダイムである。
- そのようなパラダイムのせいで、私たちはしばしば「もっと頑張らないと」「まだまだ足りない」と感じさせられてしまう。しかし、未来を追い求めることは素晴らしいですが、それが全てではない。成長と成功に向かいすぎれば、そこに執着が生まれて、日々の小さな幸せをガンガンに見逃すことになってしまう。日常の中で小さな成功や充実感を見つけることは、メンタルの安定に大きく貢献するため、これなしではメンタルが不安定になり続ける。
- この問題に対処するには、まずは「将来の自分」にとらわれすぎないことが重要である。たとえば、計画を立てるときに、「何年後にこうなりたい」と未来を見据えるのも悪くないが、「今の自分から始める」ことの重要性は覚えておきたい。「未来の自分」を作り上げるために無理をしなくても良いし、日々がどんなに予測不可能でも、それを受け入れ、その日その日を大切にしたほうが、基本的には人生は豊かになりやすい。「最善を尽くす」という概念は、常に未来を見据えることだけではなく、今この瞬間に焦点を当てることからも成り立つ。
- そのためには、「偉大さ」や「成功」を追い求めるのではなく、「統合」を目指すと良い。これは「どんな状況でも揺るがない、安定した自分」でいることを意味し、自分の中心を保ち続けることを意味する。自分が理想とする「完璧な日」に依存するのではなく、その日がどんなものであれ、自分の素を保つことが重要で、それが日々の喜びや充実感につながる。
たとえば、子育ての場面でも、忙しさの中で予定通りにいかない日々を、ただ乗り越えるのではなく、その中でも自分のペースを保ち、楽しさを見つけること。子どもたちが予想外の行動をとったとき、その瞬間を「面倒」と捉えるのではなく、「新しい発見」として受け入れることで、日々がより穏やかで豊かになる。
- ポイントは「偉大さ」や「成功」への執着を手放し、今の自分の状況を受け入れることである。それだけでも、過去の自分に縛られず、今の自分の価値や役割を見つけられるようになり、もっと優しく、穏やかに生きることができるようになる。これが、「統合」のキモであり、日常のどの瞬間にも意味と充実感を見出す方法である。
- その点で、最も大事なのは、計画するスキルではなく、ものごとに柔軟に対応するスキルだと言える。毎日が思い通りにいかないのは前提なので、そのつど柔軟に対応できる力こそが重要になる。「柔軟性こそが新しい時代の知恵」であり、計画が崩れた時こそが、自分の真価を発揮するチャンスと言える。
- 柔軟性を養うには、「計画」をしっかり作るのではなく、柔軟な指針を示す「プレイブック」を持つのが大事。例えば、夏の計画を立てるときには、以下のようなステップで考えていく。
- ステップ1「見回す」- 今の状況と優先事項を確認する:まず、夏の計画を立てる前に、自分の今の状況を見回して優先事項を決める。例えば、以下のような質問を考える。
- 今年の夏はどのような状況になりそうか?(旅行、子供の夏休み、家族や友人のイベントなど)
- どのようなことが今の自分や家族にとって大切か?(リラックス、アクティビティ、学習など)
- 現在抱えている課題や心配事は何か?(仕事の締め切り、健康状態、家事のバランスなど)
- 例:夏の優先事項は「リラックスできる時間を確保すること」と「家族や友人との交流を増やすこと」
- ステップ2「振り返る」- 過去の夏の経験を思い出す:続いて、過去の夏の経験を振り返ることで、今年の計画に活かせる学びを探してみる。過去に楽しかったこと、うまくいかなかったこと、もっとこうすれば良かったと思ったことを考えてみるとよい。
- 例:仕事の合間に無理やりイベントを詰め込み、かえって疲れてしまった経験があった。友人とのバーベキューや旅行の計画もギリギリで立てたため、余裕がなくて楽しめなかった。そこで今年は、余裕を持った計画を立てることを心がける。
- ステップ3「先を見据える」- これからの目標を立てる:これからの夏に向けて、具体的な目標を立てる。ここで大事なのは、「完璧な計画」ではなく、「柔軟で無理のない計画」を作ること。あれもこれもやろうとせず、本当に大切なことに集中し、そのための時間を優先的に確保するように心がける。
- 例:今年の夏は「毎週末は最低1日はリラックスする日を作る」「家族との夕食会を月に2回開く」というシンプルな目標を立てる。また、出張のスケジュールが変わることが多いため、すべてを細かく計画せず、「リラックスするための時間」をどのタイミングでも取れるようにする。