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細かい健康法にこだわってもムダだから「代謝」に注目して真の健康を手に入れようぜ!という本を読んだ話

 

 

グッド・エナジー( Good Energy)」って本を読みました。著者のケーシー・ミーンズ博士は、健康技術企業「Levels」の共同創業者で、スタンフォード大学で代謝健康と健康技術に関する講義を行ってきた先生だそうな。

 

本書のサブタイは「代謝と無限の健康との驚くべきつながり」というもので、いかに代謝が健康に深い影響を与えているのかを掘り下げた一冊になっております。代謝は全身のシステムに関わる話なので、本の中では「人体と環境の全体を大きなシステムとして考えよ!」みたいな話が展開されており、ちょっとパレオダイエットとも似たところがあるなーとか思ったりしました(まぁ本の中ではパレオダイエットは軽くディスられているんだけど)。

 

ということで、この本で勉強になったポイントを見てみましょうー。

 

  • 現代の健康法は年ごとに細分化され、「冷たい水に12分浸かると褐色脂肪が増える」「週に150分のゾーン2トレーニングをする」「肉食ダイエットを試してみる」といった、細かい最適化のアドバイスであふれかえっている。しかし、その一方で、アメリカでは、いまも肥満や慢性疾患、精神的な不調が増え続けている。

 

 

  • このような問題が起きるのは、そもそも「私たちの健康」を改善するには、代謝の健全性を取り戻すことのほうが重要だからである。近年の研究は、現代の西洋世界における、ほとんどすべての慢性疾患の原因が代謝機能障害であることをはっきりと示している。

    代謝とは、私たちが摂取する食物をエネルギーに変換する一連の細胞メカニズムのこと。エネルギーがなければ何も機能しないため、すべての健康の基礎となる。最新の研究によると、アメリカ人の93%は新陳代謝がうまくいっておらず、体内のエネルギーが不足している。このプロセスがうまく機能しているかどうかを理解すれば、より良い健康状態を実現できる。

    具体的には、代謝が改善された人は、活力と活気を感じ、明晰な頭脳で機能することができる。さらには、バランスのとれた体重、痛みのない体、健康的な肌、安定した気分を楽しむことも可能となる。

 

 

  • これに対し、細かくて複雑なプロトコルや最新のバイオハックを使うと、モグラたたきのような対症療法のくり返しに陥ってしまう。 これでは、健康の根本的な原因にはたどり着けない。

 

 

  • 統計によれば、アメリカ人は生涯に20以上の専門医にかかり、そのたびに異なる視点から治療を受ける。しかし、この「専門性」による分断が、健康結果の悪化を引き起こしている可能性がある。

    病気、症状、専門家という細かい見方は、身体全体のつながりを無視するため、根本的な解決にいたらないことが多い。 これまでの治療は、細胞機能不全の現れでしかない症状に執拗に注目してきた。そのせいで、症状を病気と混同し、悲惨な結果を招く事態に陥っている。アメリカの医療が症状管理に費やせば費やすほど、年々病人が増えているのはこのためだと思われる。

 

 

  • 現代の慢性疾患のほとんどは代謝の機能不全が原因で起きるため、この問題に取り組むには、4つの「つながり」を意識するのが重要となる。

    • 1.症状と病気の根本原因のつながり:症状は単なる氷山の一角。細胞の不調を見過ごしていては、本当の健康を手に入れることはできない。研究によってこのことがはっきりわかるようになったのはごく最近のことで、今では家庭用ラボ、持続グルコースモニター、ウェアラブルなど、細胞内で起こることを分子レベルで理解し、すべてが相互につながっていることを実感できるツールや技術がある。

    • 2.体と自然界のつながり:食物や水、土壌、空気といった自然界とのつながりは、健康に直接影響する。環境破壊によって土地や海洋の生物多様性が破壊されると、私たちは有毒で栄養素の欠乏した食物を体内に取り込まざるをえず、それが私たちの代謝に悪影響を及ぼすことになる。

    • 3.人間同士のつながり:深い信頼関係がないと、神経系の安定をもたらし、孤独感が健康を蝕んでいく。


    • 4.生と死のつながり: 動物、収穫、太陽、月、誕生、死など、人間も自然の循環の一部なのだと認識することで、心の平安が得られやすくなる。

 

 

  • 健康情報が溢れる時代にあって、最も大切なのは、自分の体調をモニタリングすることである。そして、自分の体に起きていることを知るために基本的なバイオマーカーを理解し、適切な検査を行うことである。

    例えば、空腹時血糖値、トリグリセリド、ヘモグロビンa1c、血圧、HDLコレステロール、アポB、尿酸、C反応性タンパク質、肝機能検査、空腹時インスリン、ビタミンDレベルなどの指標を定期的にチェックするだけで、健康状態をしっかり把握できる。

 

 

  • これらの健康マーカーに大きな影響を与える要因としては、大きく7つの柱がある。これは、食事、睡眠、運動、ストレス管理、環境毒素、光、温度である。これらを改善すれば、健康は大きく向上する。これを達成するための具体的な食事法としては「5イン3アウト」を心がけるとよい。以下のシンプルなガイドラインを実践することで、私たちは健全な代謝状態を取り戻すことができる。

    • 「5イン」は優先的に食べるべき食品カテゴリーで、以下のものを積極的に取り入れる。
      • 微量栄養素と抗酸化物質
      • オメガ3脂肪酸
      • プロバイオティクス
      • タンパク質
      • 食物繊維

    • 「3アウト」はできるだけ取り除くべき食品カテゴリーで、以下のものを積極的に取り除く。
      • 精製された砂糖
      • 精製された工業用植物油
      • 精製された穀物

 

 

  • もうひとつ大事なのが、私たちの生活の中にある「恐怖の引き金」を把握し、その恐怖にさらされる機会を減らすように努めることである。 恐怖とストレスは、細胞レベルで代謝の健康のすべての要素を粉砕してしまう。

    現代における恐怖のトリガーは、ネットによるものが多い。現代では、世界中のあらゆる人に起きる苦難を、1日24時間、ライブストリーミングでチェックできてしまう。これが決して悪いとは言わないが、かつてない慢性的なストレスと恐怖を生み出す原因になっているのも確かである。世界の問題を知るのは重要だが、常に他者の苦しみを見せられていたら、健康の破壊につながってしまう。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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