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知らずに体内に蓄積!?食品包装からの化学物質とそのリスク:不安を解消する対策とは


こんなご質問をいただきました。

 

ニュースをチェックしていたら「化学物質3600種類が体内に残留?」という記事を見ました。「人間の体内から、体に悪い食品包装化学物質が3,600種類も検出された」という内容で、かなり不安になりました。鈴木さんはどう思われますか?

 

とのことで、体内にめちゃくちゃ化学物質が入り込んでいるみたいだけど、これは大丈夫なのか?って問題です。

 

ご存じのとおり、私たちが日常で口にする食品や飲料には、その過程でいろんな材料と接触しております。例えば、食品がパッケージされるまでには、プラスチックや金属のパイプを通過したり、スライサーやコンベアといった加工機器に触れたりするし、最終的にはガラス、紙、プラスチック、金属などの容器に包装されますからね。さらに言えば、これらの包装にはインクや接着剤も使われてまして、色素や漂白剤、コーティング剤など約200種類の化学物質が使われてたりもします。

 

特にプラスチックは製造のプロセスで複数の化学物質を使ってまして、プラスチックを柔らかくするための可塑剤、安定させるための安定剤、製造時の触媒、保存のための防腐剤などなど、いろんな成分が含まれているんですよね。過去の研究によると、このように製造の過程で食品に接触する化学物質の種類は約14,000種類にもおよぶとされてまして、中にはこの事実を知っただけでも不安になっちゃう人もいるでしょうな。

 

さらに悪いことに、上記のニュースのネタ元になった研究(R)では、これら「食品の包装材に使われる化学物質は、どれだけ体内に蓄積しているの?」って問題をチェック。血液や尿サンプルを分析した上で、約3,600種類の食品接触化学物質が体内で検出されたというんですな。

 

しかも、発見された化学物質のうち、約150種類は「健康への問題があるかも?」と心配される物質だったというから困ったもんです。例えば、

 

  • アルミニウム
  • ビスフェノールA
  • フタル酸エステル
  • PFAS(パーフルオロアルキル化合物)

 

といった物質が代表的で、いずれも発がん性や内分泌かく乱、代謝異常の可能性が指摘されていたりします。これは怖いですなぁ。

 

では、この問題について、私がどう思っているのかと言いますと、

 

  • 自分はあんま気にして無いが、正直よくわからん!不安だったら備えておけば?

 

みたいな感じです。基本、この問題については、そこまで気にしていないものの、はっきりと「めっちゃ安全です!」とか言えるわけでもないんで、あとは個々人のリスク感覚によっちゃいますね。

 

なんだか曖昧な結論のようですが、なんでこんな感じになったかと言いますと、ざっくり以下のようになります。

 

  • 確かにいくつかの化学物質は食品や飲料に紛れ込むんだけど、「物質が存在すること」と「それがリスクになること」は別問題。

    「3,600種類の化学物質が体内に入っている」と聞くとビビっちゃうけど、私たちは日常的にさまざまな化学物質にさらされている。

    例えば、コーヒーには1,000種類以上の化合物が含まれており、その中には発がん性が指摘されているアクリルアミドフルフラールなんかも含まれている。それでも、コーヒーが直接的にがんを引き起こすというわけではないし、どちらかと言えば「コーヒーは体に良い」と報告したデータのほうが多い。要は「量」が重要なので、「体内に化学物質が!」と騒いでも、あんまり意味が無い。

 

  • もちろん、ビスフェノールAやフタル酸エステル、農薬などのように、リスクが高いとされる物質に関しては、可能な限り体内に入り込むのは減らしたいところ。しかし、重要な物質については、割とガッツリと規制が入っていて、食品に使われるものの上限はかなり厳しめに設定されている。なので、個人的にはあんまり気にしてない。

 

  • しかしながら、プラスチックなどの問題に関しては、研究データもまだ不確かな部分が多いので、すべてが明確に証明されているわけではないのも間違いないところではある。こうした研究の多くは細胞培養や動物実験を使ったものが多いので、人体にどれぐらいの影響があるかを断言するのはまだ難しい。

 

実際のところ、不確定なことが多いのも事実なんですけど、有害さが実証された成分は規制が入っているし、その他の成分も人体に蓄積した量はたいしたレベルでもないので、そんなに騒がなくても良いのかなーとか思っております。個々の消費者が全てコントロールするのは現実的じゃないですしね。

 

とはいえ、「それでもやはり心配でしょうがない!」って方もいるでしょうから、その場合は、

 

  • 電子レンジでの加熱にはガラスやセラミック製の容器を使う。
  • プラスチックを電子レンジで加熱しないようにする(私は普通にやっちゃいますが)。
  • 「香料」やフタル酸エステルが含まれている製品を避ける。
  • 可能ならば紙製の容器に入った食品を選ぶようにする。

 

といったあたりに気を使うと、気が休まって良いかもしれません。どうぞよしなにー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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