ハイスピードで筋トレをすれば心肺も筋肉もまとめて強くなれないの?問題
当たり前ですが、身体の機能を高めるためには、筋トレと有酸素運動をどちらもやらねばいけないわけです。個人的には有酸素運動よりは筋トレのほうが好きなんですけど、それだけだとやっぱ心肺機能は高まらず、バランスが悪くなっちゃいますからね。
そこで、誰もが一度は考えるのが「じゃあ、ハイスピードで筋トレをすれば心肺も筋肉もまとめて強くなれないの?」って問題でしょう。高回数スクワットみたいな運動をすれば、一挙両得で全身の機能を鍛えられるのではないか、と。
ということで、この問題について非常に参考になるデータ(R)が出てましたので、内容チェックしておきましょう。
HIITで鍛えるなら、「高回数スクワット」か「バイクスプリント」か?
まず実験の全体像をざっくり見てみましょう。
- 被験者は21〜28歳のガチ目なパワーリフター&ストロングマン16人。全員トレ歴2年以上、週2〜5回の筋トレを続けている本格派だったとのこと。
- すべての参加者を2つのグループに分けて、8週間にわたり「HIIT(高強度インターバルトレーニング)」をやってもらう。
- サイクルHIIT組(AM):バイクで30秒全力→90秒のゆっくりサイクリングを7セット
- 筋トレHIIT組(SM):60%1RMでスクワット or デッド、30秒全力→90秒休憩を7セット
どちらも「死ぬほどゼーハー」しながらやるタイプのHIITになってますね。その上で、「心肺機能と“脚力”がどう変わったか?」ってポイントを測定しております。具体的には、VO2max(ステップ台テストによる推定値)と、レッグエクステンションマシンの「予測1RM」を使ったんだそうな。
「なんでスクワットやデッドのMAXで測らないの?」と思う方もいるでしょうが、これは“普段の筋トレプログラム(強度や回数)が各自バラバラ”だからです。なので、「普段使わない種目」での変化を測ったほうが、より“HIITの効果”にフォーカスできるわけですね。
結果:両グループとも筋力アップ、でも心肺は“自転車HIIT”が圧勝
で、結果はこんな感じになりました。
- 筋力(レッグエクステンション):両グループともに約7kgアップ。効果量もほぼ同じ(AM組0.62、SM組0.57)
- 心肺機能(VO2max):バイクHIIT組=5.3ポイント上昇。スクワット/デッドHIIT組=2.8ポイント上昇。効果量ではAM組1.79、SM組0.95。
ということで、「筋力への影響はどちらも同じなんだけど、心肺機能はバイクHIITが圧倒的に有利」ってのが結論ですね。やはり高速の筋トレだけだと、なかなか心肺機能を鍛えるのは難しいのかもですなぁ。
しかも「高回数スクワットやデッドでのHIIT」は回復が超大変でして、経験のある方なら分かると思いますが、60%1RMを高回数&短インターバルで7セットやると、心肺より先に脚や腰がバテてしまい、次の日以降の重トレに響くリスクが高くなっちゃうんですよね。私の場合は腰にきやすいタイプでして、過去に2度ほど腰を言わしてしまったことがあります。
一方で、バイクHIITは安全性と柔軟性が圧倒的なのもポイントでして、
- 安全性:バイクHIITは疲労してもケガしにくい。一方で、高回数スクワットやデッドはフォーム崩壊→腰・膝のリスクが上がる。私の場合、高速スクワットで肩を傷めたことがあるので、これは非常によくわかる。
- 柔軟性:バイクHIITなら、筋トレの日程と簡単に調整できる。スクワットHIITだと、脚が終わってしまい筋トレが“おまけ”になりがち。
ってのは結構デカいですよね。「ハイスピードで筋トレをすれば一挙両得だ!」ってのは誰もが一度は思うことでしょうが、そこで得られる心肺効果はバイクHIITに及ばず、筋トレ全体の質を落とすリスクの方が大きいだろうなーってのが今の結論ではないかと。
まとめ
ってことで、結論としては「やっぱり筋トレと有酸素運動は別々にやるしかない」けども、どうしても「“筋力維持・向上”と“心肺アップ”を両立したい!」なら、バイクHIITを選ぶのがよさそうであります。高回数の筋トレは“自分を追い込みたい日”のバリエーションとして限定的にやるのがいいんじゃないでしょうか。
また、今回の研究はあくまで“競技者レベル”のトレーニーを対象としたものなので、この結果が初心者にも当てはまるかどうかはわからない点には注意してください。おそらく筋トレ初心者や一般の健康志向トレーニーぐらいの人も「バイクHIIT>筋トレHIIT」の原則は当てはまると思うんだけど、そこは自分の体力・体調に合わせて調整してくださいませ。
最後に要点をまとめておくと、
- 筋力アップだけなら、まあ高速筋トレでも普通のHIITでもどっちでもOK
- ただし、心肺も上げたいなら「バイクHIIT」が明確に有利。そして、心肺機能は長寿と相関するので、やっぱりちゃんと普通にHIITをやったほうが良い。
- 怪我リスクやトレーニングの柔軟性を考えてもバイクHIITがベター
みたいになります。私の場合、最近は有酸素運動のスケジューリングをガーミン先生にまかせているので、今後も主にトレッドミルで有酸素運動をしていく予定であります。