カフェインの意外な影響とは?心臓・睡眠・活動量をガッツリ調べた研究の話
朝イチのコーヒーがないと頭が働かない、トレーニング前にカフェインを摂らないとやる気が出ない……みたいな方は多いでしょう。私も朝にコーヒーを飲まないと、まともに脳が動かない体になってしまいました。
そこで最近参考になったのが、「カフェインの短期的な恩恵」と「中長期的な副作用」についての研究(R)であります。これはスタンフォード大学などが行ったランダム化クロスオーバー試験で、「カフェインで得られるもの」と「カフェインで失うもの」について、なかなか面白い視点を提供してくれてるんですよ。
カフェインが心臓、活動量、睡眠に与える影響とは?
この研究は、100人の健康な成人が対象となり、2日ごとに「カフェイン摂取日」と「カフェイン回避日」を繰り返すというデザインで行われたもの。全体の試験期間は14日間で、参加者はコーヒーを飲むかどうかをランダムに指示され、以下のようなデータが記録されたんだそうな。
- 心電図(ECG)による心拍モニタリング
- Fitbitによる歩数と活動量の計測
- CGM(連続血糖モニタ)による血糖値チェック
- 睡眠時間の自動計測
すると、その結果は、以下のようになりました。
- 心臓への影響:カフェインを摂取した日の方が、心室性期外収縮(心臓の不整脈の一種)が増加したとのこと。これは統計的にも有意な差が出ていて、「カフェインは心臓に負担をかける可能性がある」という昔からの懸念を裏付ける結果になっている。
- 活動量への影響: カフェインを摂取した日は、カフェインを避けた日よりも平均で1,058歩も多く歩いていました。これはカフェインが日中の活動レベルを向上させる可能性を示唆しており、「カフェインを飲むと体がよく動く」という皆さんの体感と一致するでしょう。
- 睡眠への影響: こちらは予想通りというか、カフェインを摂取した日は、カフェインを避けた日よりも平均で36分も睡眠時間が減少したとのこと。さらに、カフェインの代謝が遅い遺伝子タイプの人ほど、睡眠時間の減少が顕著だったらしい。この問題は実感できる人が多いでしょう。
- 血糖値への影響: 血糖値に関しては、カフェイン摂取の有無による有意な変化は見られなかった。これは、カフェインが直接的に血糖値に大きな影響を与えるわけではない、ということを示している。
ってことで、このデータを見ていると、「カフェインはパフォーマンスを上げる!」って一般的な考え方を裏づけると同時に、その代償として睡眠の質を損なうよーって可能性を示唆してますね。あとカフェインを摂取すると歩数が増えるのは、カフェインが中枢神経を刺激し、覚醒度や集中力を高める作用があるからなんでしょうな。
しかし、その副作用として、睡眠への悪影響も無視できない感じではあります。特にカフェインの代謝が遅い人は、夕方に摂取したカフェインが夜まで体内に残りやすく、それが睡眠の妨げになる可能性が高まるので、そこらへんは自分の体質と相談ですなぁ。
カフェインとの賢い付き合い方
この研究からわかるのは、当たり前ですが「カフェインには良い面も悪い面もある!」ってことっすね。カフェインは決して「悪」じゃないし、私のように日々の生活に欠かせないものになっている人も多いでしょう。
なんだけど、もし自分が以下のような体験をしているなら、一度カフェインとの付き合い方を見直してみる価値があるかもしれません。
- カフェインを摂ると調子が良いのか、それともカフェインを摂らないと調子が悪くなるのか?:「カフェインを摂らないと頭痛がする」「体がだるい」といった症状がある場合、それはカフェインが原因で起きているのかもしれません。カフェインが「良い状態」を作っているのではなく、「悪い状態」を避けるために飲んでいるだけ、という状況に陥っているかもしれないんで注意。
- 本当に十分な睡眠が取れているのか、それともカフェインが睡眠不足を隠しているだけなのか?:「私はコーヒーを飲んでもぐっすり眠れる!」と思っている人もいるかもしれないんだけど、今回の研究で示されたように、カフェインは少なからず睡眠に影響を与えている可能性があるわけです。特にカフェインの代謝が遅いタイプの人や、カフェインへの耐性が低い人は、自覚なく睡眠の質が低下しているかもしれないので、これもご注意ください。
- カフェインは本当にあなたのパフォーマンスを向上させているのか、それともカフェインを摂らないとパフォーマンスが落ちると期待しているだけなのか?:「カフェインなしではワークアウトができない!」と信じているアスリートは少なくないものの、長期的に見ると、カフェインがトレーニング適応にどれほどの効果があるのかは、まだ不明な点が多いのが現状だったりします。もしかしたら、ただのプラセボかもしれないので、これも大事なポイントですな。
ってことで、今回の研究を踏まえると、カフェインの効果もまた人によって大きく変わるようでして、人によっては日中の活動量を増やす可能性がある一方で、心臓の不整脈を増加させたり、睡眠の質を低下させたりする可能性もあるのが難しいところです。特に、不安を感じやすい人、睡眠に問題を抱えている人、心臓に持病がある人は、カフェインの摂取量や摂取タイミングを再検討する必要があるでしょうな。
なので、もしあなたが、頭痛、睡眠の質の低下、不安感など、カフェインが原因かもしれないと感じる症状があるなら、一度カフェインを避ける生活を試してみてはいかがかと思う次第です。短期間でもカフェインを断ってみることで、これまで気づかなかった体調の変化に気づけるかもしれませんので。どうぞよしなに。