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今週の小ネタ:特定の乳酸菌で眠れるようになる……かも?コーヒーを飲むと長生きできるというが、緑茶じゃダメなの?コーヒーは健康に良いのか?悪いのか?

 


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

特定の乳酸菌で眠れるようになる……かも?

最近、「プロバイオティクス(善玉菌)が睡眠に効くのでは?」って報告が増えてまして、新しいデータ(R)もその可能性を示しておりました。

これは、Lacticaseibacillus paracasei PS23(以下、PS23)って乳酸菌が、「睡眠や不安、ストレスに効くのか?」を検証したものでして、中〜高いレベルのストレスを感じている成人45名を対象にしてます。具体的には、

 

  1. 参加者をランダムに2グループに分ける
  2. 一方にはPS23を1日200億CFU(菌数の単位)、もう一方にはプラセボ(偽薬)を6週間にわたって摂取してもらう
  3. 睡眠の質や不安、ストレスの指標をチェック

 

という、王道の試験になっております。それで効果があったのかと言いますと、プロバイオティクスを飲んだグループは、

 

  • 寝つきが早くなった(入眠潜時の短縮)
  • 途中で目が覚めにくくなった
  • 全体的な睡眠の質が向上した
  • 「特性不安」(不安を感じやすい性格傾向)のスコアが改善した

 

みたいな改善があったんだそうな。つまり、乳酸菌を飲んだ人は「よく眠れるようになったし、性格的な不安もちょっと減ったかも?」という感じっすね。

 

一方で、ストレスそのもの(主観的ストレス)は改善しなかったとのことで、ここはちょっと微妙なところですね。このあたりをどう解釈するかについては、研究チームもちょっと悩んでいる印象でして、

 

「PS23はストレスがかなり高い人には効果がある可能性があるが、中程度のストレスではあまり効かないのでは?」

 

と述べておられました。実際、2021年の別の研究(R)では、ストレスが重度の人に対しては、プロバイオティクスで不安が減ったとも言ってるんで、今のところの傾向としては、

 

  • PS23はストレス軽減にはまだ確証がない
  • ただし、睡眠の質改善には期待できるかも
  • 特に、「不安傾向が高くて、寝つきが悪い人」には向いているかも

 

みたいなことが言えるのかもですね。もちろん、まだ予備試験レベルの話なんで、「これを飲めばぐっすり眠れるぞ!」とは言えないんですけど、「なかなか寝つけない」「不安で目が覚めることが多い」みたいな方にとっては、一つの選択肢としてアリかなーってところです。

 

ちなみに、今回使われたのは1日あたり200億CFUのPS23。製品として市販されているものの中には、同じ菌株が使われているものも出回っているようなので、成分表をチェックしてみると良いでしょう。

 

 

 

コーヒーを飲むと長生きできるというが、緑茶じゃダメなの?という話

健康に良い飲料といえば、このブログではコーヒーと緑茶が双璧をなしてるわけですが、新しいデータ(R)は「緑茶よりコーヒーのほうが優秀かも?」って話になっていて、ちょっと面白かったです。

 

この研究は、日本の65歳以上の高齢者7,708人を対象にしたコホート研究(観察研究の一種)で、追跡期間は5年間。参加者の食事習慣(とくにコーヒーと緑茶の摂取量)と、死亡や要介護状態になるリスクとの関連を調べております。

 

で、その結果がなかなか興味深くて、

 

  • 1日3杯以上コーヒーを飲む人は、死亡リスクが38%低下し、要介護リスクが19%低下した

  • カフェインの摂取量が多いほど、要介護になりにくい傾向があった

  • 一方で、緑茶の摂取量とは死亡率も要介護リスクも無関係

 

って感じだったんですよ。「あれ?緑茶は?」と思っちゃう結果ですな。

 

もちろん、これは観察研究なので「コーヒーを飲むと死なない」なんて単純な話ではないんだけど、それでも気になるのは、やはり「なぜ緑茶は効果がなかったのか?」という点でしょう。ここからは私の推測も入っちゃうんだけど、考えられる要因としては、

 

  • カフェインの量が足りなかった説:緑茶のカフェイン量はコーヒーの1/3〜1/5程度なので、単純に摂取量の差がリスク低下に影響した可能性はありそう。

 

  • ポリフェノールの質が違う説:コーヒーに含まれるクロロゲン酸やメラノイジンは、抗酸化作用に加えて腸内環境の改善や抗炎症作用も強いんで、緑茶のカテキンとは、働き方のベクトルがちょっと違うのかも。

 

  • 生活習慣のバイアス説:「1日3杯以上のコーヒーを飲む高齢者」は、そこそこ活動的なライフスタイルを持っている人たちなのかも?

 

みたいな感じですかねぇ。ちなみに今回の研究でちょっと面白かったのが「カフェインの摂取量と要介護リスクの関係」でして、

 

  • 150〜199mg/日:要介護リスクが16%低下
  • 200mg以上/日:同リスクが25%低下

 

みたいな報告も出てたりします。こうしてみると、どうもカフェインってのは介護予防に効くかも?って気がしてくるわけです。コーヒー1杯に含まれるカフェインはおよそ80〜100mg程度なので、1日2〜3杯ぐらいがちょうどいいラインってことになりますかねぇ。

 

まぁ、だからといって緑茶のポテンシャルが減じたわけでもないですけども、どちらかで迷った時はコーヒーを選ぶぐらいの姿勢でいると良いかもですな。コーヒーの効果については、さらに大規模な研究が近ごろ行われましたので、次にそちらもチェックしてみましょう。

 

 

 

コーヒーは健康に良いのか?悪いのか?を最新の“遺伝子レベル”研究で調べたらどうなったか

「コーヒーの効き方には個人差が大きいのでは?」ってのはよく耳にする話。コーヒーで病気のリスクが下がる人がいる一方で、コーヒーのせいで不安と不眠がブーストする人もいたりして、どう考えていいかは割と難しいところなんですよね。

 

そこで新しい研究(R)では、「コーヒーの効果を遺伝子レベルで見たらどうなるか?」ってアプローチを取ってて勉強になりました。

 

これは過去のコーヒー研究から59本のメンデルランダム化研究を調べた系統的レビューになっております。ざっくり言うと「遺伝的にコーヒーを多く飲む傾向がある人の健康状態を追うことで、因果関係を推測する」って方法でして、観察研究みたいに「健康な人がコーヒーを好んで飲んでるだけでは?」といったバイアスの影響を下げられるのがメリット。要は、「遺伝的にコーヒーをたくさん飲みやすい人の健康リスクはどうなってるか?」を調べたものでして、なかなか信頼度が高い内容になってるんじゃないでしょうか。

 

でもって、分析の結果どんな結論が出たのかと言いますと、コーヒーにはメリットもデメリットもあるよーって感じになってました。

 

▼ コーヒーが“良さそう”な点

  • 卵巣がんのリスク低下
  • 肝臓がん(肝細胞がん)のリスク低下
  • 偏頭痛のリスク低下
  • 腎結石、慢性腎疾患、胆石のリスク低下

▼ コーヒーが“悪そう”な点

  • 食道がんのリスク上昇
  • アルツハイマー病のリスク上昇
  • ハンチントン病の発症年齢が早まる
  • 変形性関節症(関節痛)のリスク上昇
  • 緑内障のリスク上昇
  • 肥満、2型糖尿病、LDLコレステロールの上昇

 

ということで、なかなかカオスなリストになってるわけです。こうなると「いったいどうやってコーヒーを飲めばいいのだ!」って気になりますが、まあ今回の研究をざっくりまとめると、「なんでもかんでもコーヒーが万能ってわけじゃなくて、コーヒーが得意な領域にフォーカスして飲む」ってのがいいんでしょうな。

 

たとえば、

 

  • 肝臓をいたわりたい人 → OK!
  • 偏頭痛もち → 試してみる価値あり
  • 緑内障や関節トラブルがある人 → 控えめに
  • 認知機能や目が心配な人 → 午後のコーヒーは様子を見つつ

 

みたいな感じで、自分の体質や健康リスクに合わせて「使い分ける」のがいいのかなーって感じです。

 

ちなみに私自身はというと、1日2杯までを上限に、午後1時ぐらいまでだけコーヒーを飲むスタイルで落ち着いております。そっちのほうが集中力が高まるし、朝のルーティンとしての満足度も高いんですよね。ただし、遺伝的にカフェイン代謝が遅いタイプなので、あんま遅くまでは飲まないようにしてる感じっすねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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