難しい問題への理解力をガツンとアップさせる簡単な方法
理解力を高めるにはどうすればいいの?
「理解力を高める方法」について調べた論文(1)がおもしろかったんでメモ。
これはコロンビア大学の実験で、60名の男女を対象にしたもの。まずは全員に「架空の市長選」に関するシナリオをわたし、選挙が行われる都市の問題点や両候補の主張などを理解してもらい、そのうえで自分が気に入った側を応援するためのエッセイを書いてもらったらしい。
頭のなかで架空の議論をしてみたら…
その際、参加者を2つのグループにわけたんですね。
- エッセイを書く前に、テレビの討論番組で両候補について議論している様子を想像してもらう
- 両候補の主張やデータを読み込んだうえでエッセイを書く
いろんなデータを読み込んだ場合と、架空の議論をイメージした場合をくらべて、どちらが問題に対する理解が深まるかを確かめたわけですね。
架空の議論をしたら理解が格段に深まった
そして、完成したエッセイを分析したところ、
- 議論をイメージしたグループのほうが…
- より問題に対する対策のアイデア数が多かった
- 問題に対してより明確な解決策を提案していた
- 敵陣営に対して、より説得的な批判ができていた
- 逆にデータを読み込んだグループは、20%しかエビデンスをもとにしてエッセイを書かなかった(議論グループは60%)
って違いが出たんだそうな。データを読み込んだだけじゃ、実はエビデンスにそった解決策は生まれにくいんだ、と。
架空の議論で「情報」に対する態度が変わる
研究者いわく、
今回の結果は、対話をイメージするテクニックにより、物事への理解が深まり、2つの異なる立場について総合的な判断ができるようになることがわかった。その結果、自分の意見にも磨きがかかることになる。
反対の意見をイメージすると、問題点に対してより包括的な判断ができるのだ。
とのこと。要するに、
- 情報を読み込むだけ → すぐに「これは事実だ!」と思ってしまいがち → 理解が浅くなる
- 頭で議論してみる → 「情報」に対して「根拠はあるのか?」という心理が生まれる → 理解が深まる
みたいな感じですね。いったん空想の議論をはさむことで、自分のなかで情報に対する態度が変わっていくわけですな。
まとめ
これは個人的にもよくわかる話で、私も小難しい本を読むときなんかに使ったりします。頭のなかに「鈴木1」と「鈴木2」が出てきて、あーでもないこーでもないと互いの意見にツッコミを入れていくイメージ。ガチでやるとそこそこ手間がかかる方法なんですけど、ちゃんと効果はあったみたいっすね。
ちなみに、この実験だと、エッセイを書く前に60分ほど頭のなかで議論をしてたりします。どこまでやればいいのかってラインはわかってないんですが、「ひとつの問題への理解を深めたい!」って方はぜひお試しください。