ちゃんと肉を食わないと血管が老化しちゃうぞ!問題
肉嫌いのビタミンB12問題
「ベジタリアンは本当に健康なのか?」ってのは昔からよく聞くテーマ。いまんとこのデータをまとめてみると、
- 確かにベジタリアンで健康になったとのデータは多い
- ただし、本当に「肉を止めた」おかげで健康になれたのかはわからない(不健康なライフスタイルが全体的に改善したのが原因かもしれない)
といった感じになっております。観察研究を見てる限り、やっぱベジタリアンは体にいいのかなーといった印象もあるわけです。
が、いっぽうでは「ベジタリアンって栄養が足りないよね?」って指摘もありまして、そこは難しいところ。とくにビタミンB12は肉にしか入ってないんで、どうしても体に良くないんじゃないか、と。
肉を食わないとどうなるか?
実際、ヴィーガン(ガチの菜食主義者)には、ビタミンB12のサプリを常用している人も多いとか。なかなか健康への道は難しいもんです。
ってところで、近ごろチェックした論文(1)は「肉を食わないとどうなるか?」を徹底的に調べてくれていてよかったです。
これはテムズバレー大学の実験で、過去に行われたベジタリアンの研究をまとめたもの。17件の論文から3,230人分の研究を精査したメタ分析になってまして、かなり信頼性は高め。
肉を食べないと血管がカチカチに?
具体的になにを調べたかと言いますと、
- 肉を食べないとビタミンB12はどれだけ不足するの?
- 栄養不足はサプリメントで補えるの?
- ホモシステインは高くなったりしない?
ってポイントが3つ。ホモシステインは血液にふくまれるアミノ酸の一種で、こいつの数値が高いほど血管が老けていくことが文科省の研究でもわかってるんですね(2)。
で、ホモシステインの濃度を上げないために必要なのが、ビタミンB12やB6など。ビタミンB群が足りないとホモシステインのせいでコラーゲンが少なくなって、血管がカッチカチになっちゃうんですな。
このほかにもビタミンB12は脳の働きにも関わってまして、不足するとエラいことになっちゃう成分のひとつ。本当にベジタリアンは大丈夫なのか?ってのが、この論文のポイントなわけですね。
若い血管を保つためにも肉は必要
さて、本論の結論をならべていくと、
- 肉も食べる人にくらべて、ヴィーガンのビタミンB12レベルは44%ほど低い(牛乳や卵を摂るベジタリアンの場合は31%低くなる)
- 肉も食べる人にくらべて、ヴィーガンのホモシステインは1.5倍ほど高い(牛乳や卵を摂るベジタリアンの場合は1.26倍高くなる)
って感じ。やはり肉を食べないと、ビタミンB12とホモシステインの壁を超えるのは難しいっぽいですね…。
ビタミンB12サプリは効率に注意
また、ここで興味深いのが、サプリメントの使用にも疑問符が出ているところです。
今回のレビューにより、ベジタリアンとビタミンB12サプリの関係を調べた研究が非常に少ないことがわかった。しかし、数少ないデータを調べると、一般的なサプリやビタミン飲料には、シアノコバラミンという効率の悪いビタミンB12が使われているケースが多かった。
とのこと。ホモシステインを代謝するには「メチルコバラミン」ってタイプのビタミンB12が必要なので、正しいタイプの商品を選ぶ必要があるみたい。
また、このデータを見てると、口から摂取したビタミンB12は最大で88%も体に取り込まれないようなんで、かなり吸収率にも気を配らなきゃなんない模様。なかなか大変ですな。
まとめ
そんなわけで、やっぱり「お肉はちゃんと食べようね!」といういつもの結論でございました。といっても、ベジタリアンにはイデオロギーの問題もありますんで、どうしても肉がダメな場合は、
- メチルタイプでなるべく溶けやすいサプリを使う
ってのが大事になりそうであります。調べた限りではジャロウフォーミュラ社の「メチルB-12」とかがよさげ。くれぐれもご注意くださいませ。