今週末の小ネタ:基本的なライフスタイル改善で寿命はどこまでのびるか? 文字を書くのがうまいと本を読むのも上手くなる?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
基本的な健康改善をしたら寿命はどれぐらいのびるの?
健康的な暮らしをしてれば寿命が伸びるのは当たり前のこと。それでは、具体的に良いライフスタイルでどれぐらい長生きできるのか?ってのを調べたデータ(R)が出ておりました。
研究チームは1980〜2014年にアメリカで行われた大規模な健康調査を使って、だいたい10万人超の男女を30年近く追いかけたものです。調査のあいだ、参加者は定期的に体重と身長、喫煙状態、身体活動、酒量などを報告してまして、すべてのデータを病気の発症や死亡率と比較しております。
この研究が定義する「健康的なライフスタイル」は5つの要素にしぼっていて、
- タバコを吸わない
- 酒はちょっとしか飲まない(1日にワイン175mlまで)
- 不健康な脂肪と砂糖を減らす
- エクササイズをする(最低でも1日30分の運動)
- 肥満にならない(BMIが18.5 〜 24.9のあいだ)
みたいになってます。実に基本的なラインナップですね。
で、分析の結果は以下のようになりました。
- 健康的なライフスタイルを4〜5つクリアした女性は、50歳の時点からさらに41.1年ほど寿命が延び、その期間のうち34.4年は病気にかからない可能性が高い
- 健康的なライフスタイルをクリアしていない女性は、50歳の時点からの寿命は31.7年ほどで、そのうち病気にかからない期間は23.7年だった
- 健康的なライフスタイルを4〜5つクリアした男性は、50歳の時点からさらに39.4年ほど寿命が延び、その期間のうち31.2年は病気にかからない可能性が高い
- 健康的なライフスタイルをクリアしていない男性は、50歳の時点からの寿命は31.3年ほどで、そのうち病気にかからない期間は23.5年だった
- もっとも病気にかかりやすいのは「タバコを吸う男性」と「肥満の男女」だった
- 健康的なライフスタイルをクリアしていない人が最もかかりやすい病気は糖尿病で、がんはそこまで密接に関連していなかった
ってことでして、雑にまとめると「健康的な暮らしをすると病気と無縁の期間が10年伸びる!」ぐらいの感じになりますかね。健康寿命が10年上乗せされるのはありがたいっすなぁ。
もちろん、これは「ごく基本的なライフスタイルの改善」しか見ていないので、さらに上の運動量や食事改善をした場合の効果は不明であります。そこは自分の体で試すしかないな……。
基
「手書きの文字がうまいと文章の読解力も上がるのでは?」みたいな話(R)が出てておもしろいです。
これはマードック大学の研究で、6歳〜7歳の子供154人を集めて以下のポイントをチェックしたんだそうな。
- 子供たちがどれぐらい文字を手書きするのがうまいか(文字のキレイさとかスピードとか)
- みんなの読書スキル(どれだけ正確に個々の単語を読み取れるか?全体の読解力はどれぐらいか?)
- 教師にもインタビューして、子供たちの読み書きの指導に使った時間も尋ねる
以上の要素を定期的に調べて、時間の変化にともなって「手書きのうまさ」と「文章の読解力」が相関するかを見ております。
その結果がどうだったかと言うと、
- 年始に文字を手書きするするのがうまかった子供ほど、1年後の読解力も向上していた
- 幼稚園で素早く正確な文字を書けるようになると、1年後には文章の理解が簡単になる
だったそうな。子供たちに手書き文字の方法を学ばせると、最終的には本を読む能力も上がるかもしれないんだ、と。
まぁこれだけだと因果関係はわからんので、本当に書く能力が読む能力の向上に繋がったのかはよくわからんです。この効果を具体的に調べるには、もうちょい厳密な実験が必要ですんでご注意ください。
ただ一方で研究チームは、
近年の研究では、幼児期に手書きを学ぶことにより認知に良い影響がある可能性が指摘されている。例えば、脳の発達、思考を表現する能力の発達、全体的なライティングの質と生産性の向上などだ。
とも言ってまして、「手書きって脳トレになってるんじゃない?」って可能性を指摘しておられました。私は字を書くのが激烈に下手なんで、字が上手い人にちょっとあこがれるとこもあるんですが、なにせめんどうなんですよねぇ……。