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苦手な仕事に挑む前は自分のキャラを一時的に変えてみては?というご提案です

やってのける」などの著書で有名な心理学者ハイディ・グラント・ハルバーソン博士の過去作(R)を読んでたら、


  • 制御焦点は意外と変えられるよ!


みたいな話が出てたんでメモ。

制御焦点ってのは「科学的な適職」でも取り上げたポイントで、人間を「攻撃型」と「防御型」の2つに分類する考え方のことです。ざっと説明すると、


  • 攻撃型:自分の目標を、何かを得たり、進歩や達成したりするためのチャンスと考える。リスクを恐れないためチャンスをつかむのがうまいが、一方では間違いやトラブルを起こしやすい
  • 防御型:自分の目標について「失敗したら何を失うか?」を重視する。そのぶん仕事は綿密で信頼性があるが、リスクを嫌うのでチャンスを逃しやすい


みたいになってまして、多くの人はどちらかのタイプに分類されるというんですな。これは結構な数の知見で裏づけられた話なので、知っておくと便利かと思います。



もちろん、これはどちらが良いって話ではないので、「自分はどっちの焦点を持ってるんだろう?」と考えてみた上で、それぞれのメリットを活かす方向で考えるのが吉であります。もし自分が防御型だったら「仕事を綿密に進めるのがうまい」ってところを活かして、ミスが許されないような作業をメインにする、とかですね。


が、そうはいっても、「もう一方の焦点を持てたらいいのになぁ」と思う場面もやはり存在するわけです。いかに防御型の人であってもリスクを恐れずチャンスをつかまねばならない場面はあるでしょうし(上司との交渉とか)、逆に攻撃型の人が慎重に仕事を進めねばならない時もあるでしょう(予算管理とか)。


では、そんなときはどうすればいいかって話ですが、博士は以下のテクニックを挙げております。


  • 防御型が攻撃型になりたい場合
    • 自分の仕事やキャリアの目標を思いつく限り書き出す。その上で、それぞれの目標について、「これに成功したらどんなものが得られるか?」を考えて書き出す。重要な仕事を始める前には、そのリストをチェックしておく。

    • 10年後にどうなっていたいかを空想し、できるだけ理想的な将来像を思い描いてみる


    • 過去に自分がやりとげたことを思い出して、そこでわきあがる感情に1〜2分ほどひたってみる

  • 攻撃型が防御型になりたい場合
    • 自分の仕事やキャリアの目標を思いつく限り書き出す。その上で、それぞれの目標について、「これに失敗したらどんなものを失うだろうかか?」を考えて書き出す。重要な仕事を始める前には、そのリストをチェックしておく。

    • 「いまやっていることに失敗したら10年後にどうなっているだろう?」と想像し、できるだけ悲観的な将来像を思い描いてみる

    • 過去に自分が完全に失敗したことを思い出して、そこでわきあがる感情に1〜2分ほどひたってみる


もちろん、自分の制御焦点は遺伝が決めてるとこも多いので、以上の手法を使ったとしても根っこからパーソナリティが変わるわけじゃありません。あくまで一時的に気がまえが変わるぐらいのもんだとお考えください。



が、たとえ一時的な変化だとしても、自分の苦手なタスクに対してステゴロで立ち向かうよりは確実にマシなはずなので、「こういうの嫌だなぁ」と思っちゃうような仕事に挑む前にお試しいただくといいんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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