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カシスの力でスポーツのパフォーマンスが上がるかもだ!というメタ分析の話

 

 

カシスといえば日本では「カシスソーダ」や「カシスオレンジ」として使われますが、近ごろ出たメタ分析(R)では「運動のパフォーマンスを上げてくれるぞ!」というおもしろい結果になっておりました。

 

 

これはオークランド大学などの研究で、「カシスと運動性能」について調べた先行データから9件をピックアップしたもの。そのうち8件がスポーツのパフォーマンスについて調査していて、運動の内容はサイクリング、ランニング、クライミングなどとなっております。

 

 

また、ここで使われたのはニュージーランド産のカシスで、生の果実やジュースを使ったわけではなく、粉末状にしたものをサプリとして使った模様。もちろんすべての試験はヒトを対象にしたRCTでして、全体的なデータの質はそこそこという感じっすね。

 

 

では、分析の結果どんなことがわかったかと言いますと、

 

  • ニュージーランド産のカシスを飲むとスポーツのパフォーマンスが0.45%向上する
  • カシスの効果は、運動の1〜2時間前に105〜210mgのアントシアニンを7日間ほど摂取した場合に得られる
  • とりあえず目立った副作用の報告はない

 

ということで、このブログではおなじみなアントシアニンが、運動のパフォーマンスを向上させてくれる可能性が高いみたい。カシスもブルーベリーと同じベリー類なんで、アントシアニンは豊富なんですよねー。

 

 

ちなみに、0.45%というと「しょぼい!」と思われるかもしれませんが、著者チームは、コペンハーゲン大学などが行った2017年のメタ分析(R)を比較用にあげております。こちらはカフェイン重曹による運動のパフォーマンスアップ効果について調べていて、

 

  • カフェインの効果サイズは0.41%
  • 重曹の効果サイズは0.40%

 

みたいになってます。カフェインも重曹も「国際オリンピック委員会(IOCが)選んだ、本当に運動のパフォーマンスアップに効くサプリ5選」にふくまれるほど定評があるサプリですから、それらに匹敵するかもしれないってだけで、なかなかの可能性を感じてしまうわけです。

 

 

研究チームいわく、

 

アスリートにおいて運動能力が1%違うだけで、オリンピックレベルの競技でメダルの順位に影響を与えるに十分な差をもたらす。競技の順位を4位から表彰台の位置にまで昇格させる可能性があるだろう。

 

今回のメタ分析では、パフォーマンスの有意な改善(0.45の効果)を示しており、定量的には小さなものながら、有意な改善と見なされる。

 

ってことで、割と見込みがありそうな雰囲気を漂わせてますね。もちろん普通にスポーツを楽しむレベルであれば、そこまで意味がある差でもないですが、とりあえず明確な違いは出るんだよーってことで。

 

 

ちなみに、カシスで運動のパフォーマンスが上がるメカニズムはまだ謎なんですが、いまのところは、

 

カシスの効果は、血管拡張や末梢血流量の増加などの心血管系の変化と関連している可能性がある。しかし、細胞のシグナル伝達やミトコンドリアの適応に変化をもたらすためには、より長い摂取期間が必要かもしれない。

 

といった推測がなされておりました。アントシアニンが血管を広げて血の流れが良くなり、その結果として運動のパフォーマンスが上がるんじゃないか?ってことですね。

 

 

いずれにせよカシスが体に良いのは間違いなさそうなんで、パウダー状の製品などを買ってみるのも良いかもなーとか思った次第です。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。