「パレオな男」の正しい読み方
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/01/blog-post_12.html
当ブログでは大量の論文や研究を紹介してますが、それぞれのデータの質には大きな差があります。
本当なら高品質な実験だけを選ぶのがいいんんでしょうが、それだと内容が堅苦しくなっちゃうのが困り者。そのため、視点がおもしろいと思ったデータについては、評価がわかれる内容でも取り上げてたりします。
ただし、当ブログの内容を実生活に役立てようと思ったら、ある程度はデータの信頼レベルを判断できると便利でしょう。その具体的なガイドラインをまとめておこうかと思います。
信頼レベル「横綱」:ランダム化比較試験の系統的レビュー(メタ分析)
まず科学的にもっとも信頼レベルが高いのが「系統的レビュー(メタ分析)」。当ブログの例をあげると、- 人工甘味料は無罪!「カロリーゼロでも太るのか?」問題にほぼ決着がついたぞー
- 糖質制限ダイエットの理屈がおかしいことがほぼ確実になった件
- 「パレオダイエット」がメタボに効きまくることがあきらかになった件
あたりが系統的レビューの紹介になっております。信頼度が高いので、タイトルにも「ほぼ決着」や「ほぼ確実」といった強い言葉を使ってますね(笑)
ざっくりと用語の説明をしますと、ランダム化比較試験(RCT)とは、サプリの効果などを客観的に調べるためのテクニック。たとえばダイエットサプリの効果を調べたいときは、
- 参加者をランダムに2つのグループにわける
- いっぽうのグループにはダイエットサプリをわたす
- もういっぽうには偽薬をわたす
みたいな感じ。このとき、研究者にも本物のダイエットサプリと偽薬の区別がつかないようにしておくと、さらに実験の信頼レベルは高くなります。実験法としては超定番で、RCTが行われていればわりと安心。
ただし科学の実験は難しいもんで、RCTの結果にも食い違いが起きちゃうケースはよくあります。当ブログで取り上げた例だと、「アミノ酸でホルモンが出る!」って実験で真逆の結果が出てたりとか。困ったもんですねぇ。
そこで出てくるのが系統的レビュー(メタ分析)であります。過去に行われたRCTのデータを大量に集めて実験のデザインをチェックし、そのうえで信頼できない研究を排除。まともなデータだけを分析して、大きな結論を出すわけです。
そもそも信頼度が高いRCTのデータをさらに精査するため、科学的な信頼レベルは最強。系統的レビューでOKが出たネタについては、わたしは迷わず実践することにしています(笑)。「パレオな男」のエントリを「系統的レビュー」や「メタ分析」で検索してみるのも楽しいかも。
信頼レベル「大関」:観察研究の系統的レビュー(メタ分析)
2番めに信頼レベルが高いのが、観察研究の系統的レビュー(メタ分析)。当ブログの例でいうと、あたりが該当しますね。こちらも「事実」や「具体的に」といった断言調のタイトルになっております。
観察研究は、特定の人たちを長期間にわたって追跡する調査方法です。たとえば「肉は大腸がんの原因になるの?」って疑問について調べたいときは、
- 肉をたくさん食べてる健康的な人を探す
- 肉をあまり食べない健康的な人を探す
- 10年ぐらい観察して、肉を食べる人が大腸がんになってないかをチェック
といった感じ。これらのデータを大量にまとめたのが観察研究の系統的レビューになります。実験室で行う研究よりも不確定な要素が多いんで、ランダム化比較試験よりは信頼度が低めになるわけですね。
ちなみに、観察研究には「前向き」や「後ろ向き」といった区別もありますが、ややこしくなるので割愛。よりくわしく知りたい方は検索してみてください(他力本願)。
信頼レベル「関脇」:1つ以上のランダム化比較試験(RCT)
3番めに信頼できるのが、上で取り上げたランダム化比較試験です。当ブログでも一番エントリ数が多くて、- 食欲調整からアンチエイジングまで、あらためて「HIIT」の素晴らしさをいろいろと並べてみる
- 「クレアチン」の科学的なメリットをずらずらと並べてみる
- あらためて「ホエイプロテイン」の素晴らしさを並べてみる
などなど山のように取り扱っております。「並べてみる」系のタイトルが多いですね(笑)
ランダム化比較試験のポイントとしては、
- ランダム化比較試験の数が多い
- 実験の参加者が多い
- 実験の期間が長い
といった条件を満たすほど信頼レベルは高くなります。複数のRCTで良い結果が出たサプリなどは、わたしも実際に試してみることが多いです。
いっぽうで1つのRCTだけにしぼって取り上げたエントリに関しては、あとになって系統的レビューで否定されちゃうケースも多いんで要注意。「こういう説もあるんだなー」ぐらいのノリで読んでいただければ幸いです。
信頼レベル「小結」:1つ以上の観察研究
4番めに信頼できるのが、上でも説明した観察研究です。当ブログで取り上げた例だと、あたりが該当します。このあたりから、「かも?」や「本当か?」のような疑問形のタイトルが増えてきますね。
観察研究のポイントとしては、
- 調査した人数が多い
- 人種や住んでる地域、年齢層が幅広い
- 追跡した年数が長い
といった条件を満たすほど信頼レベルはアップ。観察研究を取り上げたエントリについては、「ほほー、こういう可能性もあるんだなぁ」ぐらいの感覚で読んでくださいませ。
信頼レベル「前頭筆頭」:動物実験、生体外実験
5番めは動物実験と生体外実験です。動物実験はマウスなどをつかった研究で、生体外実験はヒトの細胞などを使って行ったもの。当ブログで取り上げた例だと、といったあたりです。全体的に自信なさげなタイトルが多めですね。
当然ながらマウスとヒトの構造は違いますんで、「ほほー、そんな説もあるのかー」ぐらいの読み方でお願いします。といってもマウス実験から大きな発見につながるケースは多いんで、チェックしておくと楽しいですよ。
信頼レベル「前頭二枚目」:専門家の意見
6番めは専門家の意見。いかに専門家といえど、データにもとづいた話でないと信頼度は下がっちゃいます。とくに糖質制限ダイエット界隈などでは、お医者さんがはっきりと系統的レビューを否定するケースもあってビックリ。当ブログで取り上げた例だと、
なんてエントリがありました。いちおう信頼が置けそうな方の意見を紹介するようにはしてますが、それでも参考程度にとどめておくのがベター。自分で実践するときは、やはりRCTで効果が確認されたものにしたいところです。
信頼レベル「幕下」:個人の体験談
もっとも信頼度が低いのが個人の体験談。当ブログで取り上げた例だと、あたりが代表的なところです。これらは個人の実験を紹介したものなので、まったく科学的な証拠にはなりません。個人的には「話のタネ」ぐらいの気持ちで取り上げましたが、「1日6,000キロカロリーを食べて太らなかった男」などは、一部で「これぞ糖質制限が正しい証拠!」として扱われて面食らいました(笑)
当然ながら、わたしが買ったサプリの使用レポートなども個人の体験談でしかないのでご注意ください。いちおうランダム化比較試験の結果にもとづいてサプリを選んでいますが、あくまで「そんなことを言ってる人もいるんだなー」ぐらいの気持ちで読むのが正しいかと思います。
まとめ
以上の話をまとめると、- 横綱:ランダム化比較試験の系統的レビュー(メタ分析)
- 大関:観察研究の系統的レビュー(メタ分析)
- 関脇:1つ以上のランダム化比較試験(RCT)
- 小結:1つ以上の観察研究
- 前頭筆頭:動物実験、生体外実験
- 前頭二枚目:専門家の意見
- 幕下:個人の体験談
の順番で、当ブログのエントリは信頼度が変化していきます。実生活に活かす際の参考にしてくださいませー。