このブログを検索




エナジードリンクの9つの効果と注意点|知っておくべきカフェインの真実

  

 

エナジードリンクってどんな意味があるの?」って問題について、徹底したレビュー(R)が出ておりました。

 

これはエナジードリンクの効果について、既存の科学文献をエビデンスに基づいて評価したレビューで、

 

「エナジードリンクは体重管理に役立つ?」

「エナジードリンクは運動に役立つ?」

「エナジードリンクで筋肉は増える?」

「エナジードリンクは脳に悪い?」

 

みたいな問題について、ある程度まで精度が高い答えを出してくれてて勉強になります。非常によろしいですなぁ。

 

 

エナジードリンクの「中身」とは?

まず研究ではエナジードリンクの成分をまとめてくれてまして、市販されているエナジードリンクの成分は多岐にわたるものの、ある調査では、アメリカで最も売れているエナジードリンク75種類を分析した結果、当然ながら最も多く含まれる成分はカフェインだったとのこと。その平均カフェイン含有量は174mgで、これは約240mlのドリップコーヒー2杯分に相当する感じっすね。

 

「え、それって結構多いんじゃない?」と思うかもしれませんが、アメリカ食品医薬品局(FDA)が設定するカフェインの上限は400mgですから、一般的なエナジードリンク1本ぐらいなら問題ないでしょう。

 

また、カフェイン以外では、約45%のエナジードリンクに砂糖が含まれていたほか、BCAA(分岐鎖アミノ酸)や電解質、そしてタウリンが挙げられております。特にタウリンは骨格筋にも存在するアミノ酸の一種で、筋肉の回復促進やダメージ軽減、疲労抑制の効果が報告されているので、この成分については個人的にもアリかなーと思ってたりします。

 

要するに、エナジードリンクの主要な成分は、カフェイン、砂糖(または人工甘味料)、タウリン、Bビタミンといったところで、最大の効果はカフェインが担っているってのが今のところの結論ですな。

 

 

エナジードリンクで脂肪は燃えるか?

「エナジードリンクを飲むと痩せる」なんて話もあったりしまして、確かにカフェインや緑茶エキスといった成分には、安静時のエネルギー消費量を増やしたり、脂肪の分解を促進したりする効果が示唆されております。

 

また、短期的な研究では、エナジードリンクを飲んだ後にエネルギー消費が増えたり、脂肪燃焼が促進されたりといった報告もあったりしまして、「あれ?可能性ある?」みたいな雰囲気も漂っているわけです。まあ、これはあくまで「単回摂取」の話でして、長期的な視点では「よくわからん!」としか言いようがない感じっすね。

 

残念ながら、エナジードリンクの長期的な体重への影響を調べた研究は限られてまして、

 

  • ある研究では、28日間エナジードリンクを飲み続けたグループで体脂肪率と体脂肪量の減少が見られたという報告がある。
  • しかし、別の長期研究では、エナジードリンクを飲んだだけでは体組成に変化が見られず、運動プログラムと組み合わせた場合にのみ改善が見られた。

 

といった相反する報告が出てたりします。これだと運動のダイエット効果と区別が難しいので、なんとも言えんですな(個人的には、ダイエット目的でエナジードリンクを飲むのはおすすめしませんが)。

 

 

エナジードリンクで運動パフォーマンスは向上するのか?

エナジードリンクで運動能力は高まるのか?って疑問については、幸いにもいろんな研究が行われてまして、だいたい以下のようになっております。

 

  • 持久力への影響:多くの研究で、エナジードリンクが持久力パフォーマンスにポジティブな影響を与えることが報告されている。特に、カフェインを体重1kgあたり3mg以上含むエナジードリンクで、その効果は顕著に見られるっぽい感じ。たとえば、サイクリングのタイムトライアルで4.7%の改善が見られたり、サッカーの試合中に高強度の走行距離が増加したりといった報告があったりする。

    ただし、一方では効果が見られなかった研究もあるため、エナジードリンクの効果は、カフェインの摂取量、摂取タイミング、運動の種類や時間、そして個人の遺伝的要因によって大きく左右されるのだと考えられる。

 

  • スピードへの影響:短距離走や反復スプリントのような、瞬発的なスピードが必要な運動においても、エナジードリンクは効果を発揮する可能性がある。特に、体重1kgあたり3mg以上のカフェインを含むエナジードリンクを摂取した場合、反復スプリントテスト中の平均ピークスプリント速度の向上や、サッカーの試合中のスプリント距離の増加などが報告されている。ただし、ここでも「用量依存性」が重要で、低用量のカフェインでは効果が見られないこともあり、女性アスリートにおいては3mg/kg以上のカフェインが必要である可能性も示唆されている。

 

  • 反応時間への影響:エナジードリンクは反応時間を改善するとも言われる。これは、カフェインが覚醒度、モチベーション、運動反応を高める作用があるためだと考えられており、エナジードリンクを摂取することで、視覚的・聴覚的反応時間の改善が見られたという研究がいくつかある。ただし、ここでも「結果は様々」としか言いようがなく、カフェイン量が体重1kgあたり3mg未満の場合は、反応時間の改善には不十分かもしれない。

 

ってことで、話をまとめると、エナジードリンクってのは、カフェインのおかげで運動の持久力、スピード、反応時間を高める可能性がありますね。特に、カフェインの摂取量やタイミングが適切なら、その効果は期待できるかもっすな。

 

 

エナジードリンクで筋肉は増えるのか?

結論から言うと、エナジードリンクが筋肉量を増やすという明確なエビデンスは、今のところ人間ではゼロ。ただし、エナジードリンクの摂取によって、筋トレ中における筋持久力やパワーを向上させるという研究は複数あったりはするらしい。

 

たとえば、ベンチプレスや膝伸展の反復回数が増加したり、ハーフスクワットやベンチプレスの最大パワー出力が向上したりといった報告があるのはうれしいポイント。これは、カフェインが筋肉の収縮能力に影響を与えるからでしょうな。

 

 

エナジードリンクで脳機能は上がるか?

エナジードリンクは「集中力アップ」や「記憶力向上」といった謳い文句で売られていることも多いんだけど、これについては特にレッドブルに関する研究が豊富なんだそうな。これによると、エナジードリンクを摂取することで主観的な覚醒度、集中力、即時記憶力、そして運転中のパフォーマンス(車線逸脱の減少やハンドル操作の改善)が向上したという報告があるらしい。また、精神的ストレステストにおけるパフォーマンスや、注意力の向上も示されていて、意外と悪くない印象ですな。

 

ただし、この問題については、カフェイン単体の効果と、エナジードリンクに含まれる他の成分との相乗効果については、「よくわからん!」としか言えない感じ。実際のところ、一部のエナジードリンクでは、注意力やワーキングメモリに影響が見られなかったという報告もあるので、ここは注意っすね。要するに、カフェインが多いエナジードリンクは、認知機能の一部にポジティブな影響を与える可能性はあるものの、その効果は、製品のカフェイン量と個人の体質によって異なる……ってことですな。

 

 

結局、エナジードリンクは「アリ」なのか?

ってことで、今回はエナジードリンクの研究でした。

 

まとめると、エナジードリンクは、主にカフェインの作用によって、持久力、スピード、反応時間、一部の脳機能に対して、ある程度のメリットが期待できる感じ。また、筋持久力やパワーの向上にも寄与する可能性はあるけど、筋肉量の増加にはつながらないので注意。体重管理についても使わないほうが無難でしょう。

 

となると、「じゃあカフェインだけ使えばいいんじゃない?」って発想になると思うわけですが、それはそのとおり。なので、別にエナジードリンクは飲むなとは言わないものの、「ドーピング的にお使いください」って感じになりますね。たとえば、

 

  •  ここぞという時の集中力アップ
  • 長時間の運動におけるパフォーマンス維持
  • どうしても乗り切りたい疲労困憊の時

 

みたいな場面っすね。一方で、日常的に惰性で飲み続けると、心血管系や神経系への長期的な悪影響がバリバリに出がちだし、短期的な頭痛や不眠の問題もあるんでどうぞご注意あれ。カフェインの摂取量は、できれば1日400mg以内に抑えて、特にカフェインに慣れていない人はより慎重にどうぞ。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM