現代女性こそ筋トレすべき!元敏腕女性記者が50歳でボディビルダーになった理由を書いた本を読んだ話
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『LIFT』って本を読みました。著者のアン・マリー・チェイカーさんは元ウォール・ストリート・ジャーナル記者で、50歳でプロの女子ボディビルダーの世界に飛び込み、現在は「筋肉こそが女性の人生を変える!」と熱く主張している方なんだそうな。女性の身体については「細いほうが良い!」みたいな圧力があるが、それに対して「うるせえな!女子も筋肉だ!」と言ってる本で、個人的にもめっちゃ共感しました。
ということで、いつも通り、今回は本書から参考になったところをピックアップしてみましょうー。
- 昔から、女性については「細くあれ」「軽やかであれ」みたいな無言のプレッシャーがあり、著者も最初のうちはそれを信じていたとのこと。が、カナダの人類学者アリソン・マレーの研究によれば、旧石器時代の女性の骨格を調べたところ、原始の女性は現代のオリンピック級女性アスリートに匹敵する骨密度を持っていた事実を知り、「女性の肉体=か弱い」というイメージは近代以降に生まれたフィクションだ!と思うようになったらしい。つまり、女性の身体は、農耕や狩猟を担う“耐久のプロフェッショナル”としてデザインされた可能性がある。
- 「痩せてるのが良い!」って文化が生まれたのは、19世紀末に上流階級女性の間で「肥満=怠惰」という偏見が強まったのが原因。これが20世紀に入ると、カロリー計算と食品産業が手を組み、ダイエット市場が拡大し、さらに第二次世界大戦後は「妻として完璧であるためにスリムであれ」という社会通念が生まれた。この流れにより、「痩せていることが美徳」という文化が人工的に作られてきたと考えられる。
- が、上述のとおり、もともと女性の身体は「痩せるため」ではなく、「動き、支え、耐え抜くため」にデザインされたはず。その歴史的な事実を取り戻すことが、現代の“本当の健康”への第一歩だと言える。
- 実は「そもそも女性は弱いどころか、ある意味で男性よりタフだ」と言える研究すらある。たとえば、2016年の大規模レビュー(1972〜2015年までの55研究)では、「女性のほうが36%長く持久系の運動を続けられた」というデータが得られている。
- また、寿命の観点でも、世界中で女性の平均寿命は男性より5〜7年長いし、極限環境(飢餓、感染症、災害)でも、女性のほうが生存率が高い傾向がある。これもまた進化的にも興味深い話だと言える。
- さらには、スウェーデンのバイキング時代の墓から出土した「男性戦士(のものと思われた)装備一式」の持ち主をDNA鑑定で調べたところ、実際には女性だったというエピソードも紹介されている。しかもこの戦士、ただの兵士ではなく軍略担当のリーダー格だった可能性が高いらしい。ということで、視点を変えて見れば、歴史的にも科学的にも「女性=強さの象徴」だった可能性が見えてくる。
- 筋トレ=ダイエットやボディメイクの手段、というイメージがあるが、チェイカーさんの主張は「筋肉は、動く臓器!筋トレは、最も強力な医薬品!」というもの。その理由はいくつもあって、
・睡眠の改善:週3回の筋トレを1年続けると、入眠時間が短縮し、総睡眠時間も増加したとの研究がある。
・脳機能アップ:筋トレにより、記憶力・集中力・反応速度が向上。海馬の神経新生や、脳を守るホルモン“イリシン”の分泌も促進する。
・アンチエイジング:筋トレでテロメア(染色体の端にある老化の指標)が伸び、細胞レベルの若返り効果が得られる。
といったあたりが大きい。特に注目すべきなのは閉経期以降に骨密度低下を防ぐ効果で、女性は50代に差しかかると、最大20%の骨量を失うと言われているが、筋トレによる「荷重刺激」が骨の再構築をサポートしてくれるのは、健康の維持という点でかなり大きい。
- ダイエット志向の強い女性に「もっと食べよう」という提案は嫌がられるかもしれないが、筋肉をつけるためには材料が必要であり、そのためにはタンパク質とカロリーが絶対に欠かせない。これについてチェイカーさんは、
炭水化物:50%
タンパク質:30%
脂質:20%
という「マクロ栄養素の黄金比」を推奨している。特にタンパク質は、体重1kgあたり約2.2g以上が目安(60kgなら約130g)。かなり多めに感じるかもだけど、個人的にもこのレベルには賛成。これぐらいのたんぱく質を摂取するのは、骨密度やホルモンバランスを保つうえでも大事なんで、女性もたんぱく質を積極的に摂ったほうがいいよなーとは思う。
- 女性の筋トレといっても、別に特殊なことをする必要はないし金をかける必要もない。チェイカーさんの自宅ジムは、すべて中古品で、バーベルもベンチも、ネットの掲示板で安く手に入れたものを使ったりして、それで十分にボディビルのコンペに参加できるレベルの身体を作り出せている。具体的な装備としては、
・ゴムバンド:持ち運び可能で小さな筋肉に効く
・ケトルベル:全身を連動させた動きに最適
・ダンベル&バーベル:関節の安定性と筋力を同時に鍛える
・ベンチ:トレーニングの幅を広げる便利アイテム
みたいなものがある。これをすべてそろえる必要はないし、自重だけでも問題ないので、「完璧なコンディション」が整うのを待たずに、“とりあえず始める”のが良い。
ということで、いろいろ書いてきましたが、「女性も筋トレはメリットだらけだ!」ってポイントをうたい上げ、モチベーションを高めてくれる本でありました。女性は“痩せる”ことを目指すよりも、持ち前の耐久力を伸ばす方向に考えるほうが、本当の意味でのウェルネスにつながるのでは?ってのは、ナイスな問題意識ではないでしょうか。まずは1日5分、腕立て1回からでも構わないので、ベイビーステップで鍛え始めていただけるとよいのではないかと。