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「ポジティブ心理学の効果は非常に低いうえに短期間しか続かない」が現代科学の結論だったり

Positive

いま多くのビジネス書や自己啓発のネタ元になっているのが「ポジティブ心理学」。ヒトの幸福度を高めるための学問で、

  • 個人的な目標を決めよう!
  • 良いことを記録しよう!
  • 自分の強みを活かそう!
  • 親切にする練習をしよう!

といったテクニックは、いずれもポジティブ心理学の研究が背景になっております。ライフハック系のサイトでもよく見かけるフレーズですよね。


自己啓発本やビジネス書でおなじみのテクニックの実力は?
ただしポジティブ心理学には批判も多くありまして、


といったデータもいろいろ出てるんですよ。個人的にもポジティブシンキングは苦手なので、「ポジティブ心理学の実力ってどれぐらいなの?」ってのは気になるところであります。


といった状況で非常に参考になったのが、オランダのトリンボス研究所による2013年の論文(1)。過去に行われた39件の研究をまとめた系統的レビューで、ポジティブ心理学の総合評価としては、いまの時点で最も正確な内容になっております。これは気になりますな。


この論文がチェックしたテクニックは、

  • 毎日ポジティブな体験を記録する
  • 感謝した体験を記録する
  • 前向きな目標を設定する
  • やりたい夢や未来の自分について書く
  • ポジティブな自己イメージを思い描く
  • コーチング系全般

 などなど。どれも自己啓発本でおなじみの内容ですねぇ。



ポジティブ心理学のテクニックは効果が低くて持続期間も短い
その結果をざっくり並べると、

  • ポジティブ心理学のテクニックは、幸福度に与える効果が非常に小さい(Cohen’s d 0.34)
  • しかも、テクニックを使ってから3カ月〜1年も経つと、さらに効果は減ってしまう
  • さらには、気分の落ち込みなどに与える効果はほとんどない

といった感じ。確かに効果はあるものの、ビジネス書や自己啓発の世界で言われるほどのメリットはなさそうですねぇ。うーん、残念。


研究者いわく、

今回のメタ分析は、主観的な幸福度やメンタルヘルスの向上、抑うつの減少のために、ポジティブ心理学のテクニックが役立つ可能性を示した。ただしこの効果は限定的で、短期間しか続かない。またこのメタ分析では、効果量も非常に小さかった。

とのこと。統計的には「そこそこ効果あり」と言えるんだけど、そのメリットはごく短い間しか続かないわけですね。まぁ自己啓発本のテクニックに長期的な効果があったら、こんなに何冊も売れるわけがないですもんね。


また個人的には、ポジティブ心理学の雑さにも驚きました。なにせ上記の研究によれば、39件の論文のなかで質が高かった研究は1件もなし。しかも、そのなかにはセリグマンエモンズといった有名な学者による実験も多くふくまれているんですよね。


なかでもセリグマンが2006年に行った研究などは、2012年に別の研究者が再チェックをしたら同じ結果が出なかったんだとか。うーん、知らなかった。こういう話って、ポジティブ心理学の本ではまず見かけないですからねぇ。


まとめ
そんなわけで、個人的には思ったよりガッカリする結果になってしまいました(笑)。ポジティブ心理学は日が浅い学問なんで、今後はもうちょい洗練されていくと思いますが、いまのところはあんま期待しないほうが良さそうです。


確実なテクニックをお探しの方は、ポジティブ心理学よりも歴史がある認知行動療法をどうぞ。幸福度を高める効果も認められおり、持続時間も1年以上のスパンで確認されてますので。


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  1. ご紹介されていたBolier et al(2013)の論文を参照したのですがConclusionの部分に、
    "This meta-analysis demonstrates that positive psychology interventions can be effective in the enhancement of subjective and psychological well-being and may help to reduce depressive symptom levels. Results indicate that the effects are partly sustained at short-term follow-up. Although effect sizes are smaller in our meta-analysis, these results can be seen as a confirmation of the earlier meta-analysis by Sin and Lyubomirsky (2009). Interpretation of our findings should take account of the limitations discussed above and the indications for publication bias."
    とありました。
    本記事ではポジティブ心理学の効果を
    "幸福度に与える効果が非常に小さい"
    "限定的で、短期間しか続かない"
    としておりますが、
    正しくは
    "主観的・心理的なwell-beingを高め、抑うつに効果がある"
    "短期間のフォローアップで効果が部分的に持続する"
    ではないでしょうか。

    また、Cohen's d = 0.34について、効果量が極めて小さいとするのはどうでしょう?
    小程度 = 0.2、 中程度 = 0.5、大程度 = 0.8が基準となるはずです。
    Discussionにおいて"Effect sizes were in the small to moderate range."と執筆者も述べており、極めて小さいとするのは妥当な内容ではないと感じました。

    論文の紹介という意味で大変面白く拝読させていただきましたが、上記の点についてご再考お願いいたします。

    返信削除
    返信
    1. どうも!ごていねいな指摘をありがとうございます!これは、わたしの書き方がまずかったですね。すいません。

      確かに結果の効果量は0.34ですが、半年のフォローアップでは幸福感が0.22でwell-beingが0.16、抑うつが0.17ですんで、全体的に非常に小さいと言ってよいと判断しています。特に抑うつに関しては、極めて小さい効果なのは間違いないかと。

      確かに執筆者はmoderateという表現を使っているんですが、日常生活で実際に使うテクニックとしての効果を考えたときは、このデータから"well-beingを高め、抑うつに効果がある"というのは無理があるように思います。確かに統計的には有意なんですが。

      とはいえ、主観的な幸福度とwell-beingと抑うつをまとめて「幸福度」と表現しているのは雑な書き方ではありますね。ちょっと表現を考えなおしてみます。

      削除

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