週4日勤務は本当にメリットだらけだぞ!とボストン大教授が語る本を読んだ話
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『週4日(Four Days a Week)』って本を読みました。著者のジュリエット・ショアさんはボストン大学の社会学者で、主に「良い働き方」について調べている先生なんだそうな。
この本のテーマは「週4日勤務はメリットだらけだよ!」みたいな感じでして、最近増えてきた「週5日勤務から週4日勤務への移行は、従業員にとっても企業にとってもメリットしかない!」って研究をふまえた内容になっております。
ってことで、いつもどおり本書から勉強になったポイントをまとめてみましょうー。
- 現代社会は、共働き世帯の増加や、生活ペースの高速化、仕事量の増加といった原因によって、多くの人が「2日間の休日では足りない」と感じている。仕事の合間の雑務、家族や友人との時間、そして仕事からのリカバリーなどのタスクは、どれもこれもたった2日の休みではまかないきれず、その結果、世界中でストレス、燃え尽き症候群、そしてエンゲージメントの低下が歴史的な高水準で推移している。
- そこで対策は、「休みを3日間に増やす」ことである。近年の調査や生体データによれば、週4日勤務に移行することで、以下のような改善が見られる。
- 心身の健康が向上する
- 睡眠の質が向上する
- 疲労感が軽減する
- 不安が減少する
- ストレスと燃え尽き症候群が軽減する
- 仕事への幸福度とエンゲージメントが高まる
- 休みがたった1日増えるだけでここまで効果がある理由はシンプルで、仕事の時間が減るからである。統計モデルによると、労働時間の短縮幅が大きいほど、幸福度への影響も大きいことがわかっており、具体的には、週に丸々8時間の労働時間を減らした人は、幸福度が約2倍も向上するという。
- 労働時間が減ることで人々の生活が改善するのには、主に2つの要因がある。
- 仕事以外の行動変化: 幸福度向上の約半分は、睡眠の質の向上、運動量の増加、疲労感の減少といった、仕事以外の行動変化によるものだと言える。
- 仕事での効果性・パフォーマンスの向上: 残りの半分は、仕事における効果性やパフォーマンスのレベルが大幅に向上することによるものである。
- 「労働時間が減れば生産性も落ちるんじゃないの?」と考える人もいるかもしれないが、ショア先生の研究では、週4日勤務に移行すると、人々ははるかに生産的になるという結果が出た。週4日のほうが、従業員は仕事のより効率的な作業法を見つけられるようになり、「サザエさん症候群」(日曜日の夜に仕事への不安を感じること)がなくなり、月曜日の朝には不安ではなく、リフレッシュした状態で出社すると報告している。
さらに、週4日勤務で働く従業員は、自分の仕事量をよりコントロールできていると感じ、仕事の優先順位を守る能力が高まり、無駄な時間が減り、タスクをこなすモチベーションも向上した。これらの個々の影響が、組織全体の成功に貢献する。
- 企業側も驚くべき結果を報告しており、週4日勤務に切り替えた企業は、全体的な生産性を維持するか、あるいは向上させた。これは直感に反するようだが、パフォーマンスが向上する理由はいくつも存在する。
- 健康でエネルギッシュな従業員: 従業員がより健康でエネルギッシュになり、企業へのロイヤルティも高まる。
- 意図的な組織変革: 多くの組織は、より長期的に時間を節約できる先行投資を行うようになる。たとえば、ある企業ではようやく文書のデータ化に真剣に取り組むようになり、またある企業は、不必要な書類や承認プロセスのボトルネックを排除したという。これらはすべて、「週4日勤務による制度導入のインセンティブ」がうまく働いた例だと言える。
- 週4日勤務は、従業員の離職率を下げる効果もある。ある企業の例では、マネージャーが「チームの離職率が年間30%からゼロになった」と説明しており、この改善によって新人採用とトレーニングにかかる無駄な時間がなくなり、より良い製品と高い売上につながったという。
- 週4日勤務に変わった人々にアンケートをとったところ、調査対象の約15%が「どれだけ給料を積まれても、週5日勤務には戻らない」と答えた。さらに多くの人は、週5日勤務に戻るには大幅な賃上げが必要だと回答している。
- その点で、従来の企業は、従業員のストレスや燃え尽き症候群に対し、個別のアプローチで対処しようとしてきた。具体的には、フレックスタイム制、スケジュールの調整、ウェルネス講座、ヨガ、マインドフルネスなどである。しかし、これらに効果がないことは学術研究でも示されており、ストレスとエンゲージメントの低下は、むしろ加速する一方だった。
- ショア先生の研究では、週4日勤務を導入した企業のフォローアップも行っている。1〜2年後に企業を再訪したところ、週4日企業の従業員のウェルビーイングの改善は、驚くほど安定していることがわかった。
さらに、ほとんどすべての企業が週4日勤務を継続しており、1年後に週5日勤務に戻したのはわずか約10%に過ぎなかった。週4日勤務によって生産性を維持または向上させ、従業員のウェルビーイングを高めることは、成功への確実なレシピだと言える。
- パンデミック以降、特にアメリカでは労働時間が増加しており、週4日勤務の導入への圧力が強まっている。リモートワークが、このプロセスを加速させているのは間違いない。
しかし、一部の国は政府が労働時間の短縮を奨励しており、たとえばポーランド政府は、ショア先生が推奨するものと同様のパイロットプログラムを発表。これは、スペイン、スコットランド、ベルギー、ポルトガル、ドミニカ共和国政府による同様のパイロットに続くものである。
- かつては労働時間の短縮は「野心的で、ユートピア的でさえある」と言われたものだが、近年はその認識は一変し、今や週4日勤務は常識となりつつある。それは、私たちの経済や社会を守りたいのであれば、賢明な選択肢だと言える。