スーパーエイジャーを目指せ!科学が示す「最高の健康寿命」を手に入れる9つの秘訣の話#1「健康食と睡眠と運動など」
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『スーパーエイジャーズ(Super Agers)』って本を読みました。著者のエリック・トポル博士はスクリプス研究トランスレーショナル研究所の所長で、分子医学の偉い人なんだそうな。
で、本書のテーマは「老化は避けられない衰退ではない!」というもので、いつまでも心身ともに若々しくいられるか?みたいな話を展開しております。当然、中身は基本的な健康知識が多いんですが、あらためて基本をおさらいするって意味でも良い一冊じゃないでしょうか。
ということで、いつもどおり本書から勉強になったところをチェックしてみましょうー。
- トポル博士が研究する「スーパーエイジャー」たちは、80代、90代、さらには100歳を超えても、シャープな頭脳と丈夫な身体、そして人生への深い関心を持ち続けている。彼らは老化を回避したわけではなく、「異なる形で歳を重ねている」と言える。
- ここで重要なのは、「ライフスタイル」「考え方」「社会的つながり」の相互作用である。研究によれば、楽観主義は並外れた長寿と関連しており、ポジティブな考え方により、11〜15%も寿命を延ばす可能性があることが示されている。つまり、私たちが抱く「老化のイメージ」が、そのまま現実になる可能性が高い。
- もちろん、スーパーエイジャーも困難に直面するが、彼らは「回復力」(成長し、貢献し、適応し続ける能力)が異様に高い。スーパーエイジャーになるためには、この回復力を鍛えるのが重要なのだと言える。
- 健康的な食事が、スーパーエイジャーになるための強力な戦略なのは言うまでもない。20万人以上を30年以上にわたって追跡した大規模な研究では、健康的な食事を継続的に摂っていた人は、心血管疾患のリスクが15〜20%も低かった。さらに、総死亡率も減少している。
- 「健康的な食事」とは、果物、野菜、豆類、全粒穀物、ナッツ、種子、そして健康的な脂肪(特にオリーブオイルやアボカド)、オメガ3脂肪酸が豊富な魚(サーモンやマグロなど)を多く含む食事である。たとえば、1日にたった小さじ半分のオリーブオイルを摂取するだけで、心血管疾患、がん、神経変性疾患による死亡リスクが20%も低下し、認知症のリスクも28%減少したという報告がある。
- 「食物繊維」も重要で、185の研究をまとめた大規模なメタ分析では、食物繊維を多く摂る人は心臓病のリスクが31%も低く、2型糖尿病や結腸がんのリスクも著しく低いことが判明している。食物繊維は消化を遅らせ、血糖値の急上昇を抑え、コレステロールを低下させ、さらにはカロリーの吸収を阻害するからである。
- 逆に、超加工食品や食物繊維の少ない「西洋型の食事」は、慢性炎症や代謝性疾患、様々な病気と関連している。これらの健康的な要素をすべて兼ね備えた「地中海式ダイエット」は、最もよく研究され、効果的な食事パターンの一つとして確立されている。
- さらに、「植物性食品」の摂取を増やすことも重要である。30万人以上を対象とした研究では、植物性食品の摂取量が多いほど、2型糖尿病の発症リスクが23%低いことが示されている。植物性食品に切り替えることで、総死亡リスクを著しく低下させることができると考えられる。
- つまり、スーパーエイジャーになるためには、カロリーを減らすことだけでなく、丸ごと、植物性、食物繊維が豊富な食品を選ぶことが不可欠となる。
- 忙しい現代社会では、睡眠は後回しにされがちである。しかし、睡眠は空気、食物、水と同じくらい、健康の基本的な柱だと言える。睡眠は、私たちの体と脳にとって不可欠な「メンテナンスと修復のサイクル」と考えるべきであり、睡眠中には、代謝老廃物が脳から排出される重要なプロセスが行われる。そのため、質の良い睡眠が不足すると、代謝機能、認知機能、精神的な健康に悪影響が出る。だからこそ、一貫した睡眠スケジュールを作り、十分な睡眠時間(成人では通常7〜9時間)を確保し、睡眠環境を最適化することが、健康な生活を送る上での最優先事項となる。
- 年齢を重ねるごとに睡眠の質は低下するが、質の良い睡眠を促進するための具体的な戦略は存在する。
- 毎日一貫した睡眠パターンを維持する:週末も含め、毎日同じ時間に寝起きするよう心がける。
- 規則的な運動と食事:就寝時間から十分な距離を置いて(例:早めの時間制限食など)、運動や食事を摂る。
- 環境の最適化:寝室を涼しく、完全に暗く、静かに保つ。
- 光への意識:日中の自然光を十分に浴び、就寝前の電子機器からのブルーライトは避ける。暗闇がメラトニン生成を促してくれる。
- 昼寝の戦略的活用:週に1〜2回の短い昼寝は心血管イベントのリスクを著しく低下させると関連しているが、1時間以上の長い午後の昼寝はリスクと関連する。
- 行動療法を試す:認知行動療法(CBT)は、不眠症の第一選択治療として推奨されており、スマホアプリを介したデジタルCBTも有望視されている。メラトニンやマグネシウムなどのサプリメントについてもメリットがある。
- 睡眠時無呼吸症候群に注意:睡眠時無呼吸症候群は一般的で、心血管疾患や代謝性疾患のリスクを2倍以上高める。症状がある場合は、診断と管理が重要となる。
- 身体活動は、栄養と質の良い睡眠と並んで、健康的な老化の重要な柱である。日常の歩数は、健康をサポートする最もシンプルで効果的な方法の一つであり、特に脳の健康にとって非常に価値があることが研究によって強く支持されている。
大規模なUKバイオバンクの研究では、リストアクセラロメーターを使用して7万8000人以上を追跡した結果、1日の歩数と全原因型認知症のリスク低下との間に明確な関連が見られた。1日約2,500歩から効果が現れ始め、約8,800歩までは保護効果が増加し、さらに10,000歩以上でも追加の恩恵が認められた。
- また、数百もの研究と数十ものランダム化比較試験が、身体運動と認知機能の関連性を調査しており、一貫して小さくも好ましい効果を示している。その根底にあるメカニズムは、運動がアルツハイマー病に関与するとされるアミロイドベータ(Aβ)などの特定のタンパク質を脳から除去するからだと考えられている。
アルツハイマー病に関連する1,000以上の遺伝子を対象とした遺伝子解析では、「運動は理論上の最上位治療法である」と特定している。これは、生物学的な観点から見て、運動が脳の健康にとって信じられないほど強力であることを示している。
脳だけでなく、身体的な不活動は、喫煙や高血圧などと同等に、早死の重大なリスク要因となり、社会経済的地位の低い人々に不均衡に多く見られ、健康格差の一因となる。
- しかし、単に歩数の目標を達成することだけに焦点を当てると、身体、特に脳が本当に必要としているもの全体像を見誤る可能性がある。トポル博士は、「認知機能と脳の健康を保つにはより幅広い形態の運動が重要だ!」としている。
もちろん、歩数を意識するのも素晴らしいことだが、心拍数を上げ、体に挑戦を与えるような専用の身体活動セッションも取り入れたほうがよい。