情報過多時代に効く「リーンラーニング」のすすめ──「学びすぎ」があなたの成長を止める理由
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『リーンラーニング(Lean Learning)』って本を読みました。著者のパット・フリンさんはSmart Passive Incomeの創設者で有名な経営者らしい。なんかニューヨークタイムズのベストセラーになってたんで、気になって読んでみました。
で、本書のテーマは明確で「情報に価値があった時代は終わった!いま大切なのは、必要なことだけを学ぶ力だ!」みたいになります。インターネットに無数の情報が溢れかえる現代では、ただ知識を詰め込むだけではまったくの無意味。そこで、現代において本当に必要なスキルは何かってことで、著者は 「リーン学習」 ってのを提唱してるんですよ。いかにも現代的なテーマですなぁ。
あくまで著者のオピニオンにもとづいた本なので、科学的な内容ってわけじゃないんですが、共感できる主張が多くてようございました。私の好きな本である「習得への情熱」にも近いとこがありますしね。ってことで、いつも通り本書から勉強になったポイントをまとめておきましょうー。
- 私たちは皆、情報コレクターになりがちで、「いつか読むかも」と記事を保存したり、ブックマークを大量に作ったりする。が、この作業を行えば行うほど、矛盾するアドバイスに頭を抱えることになるし、結局「分析麻痺」に陥って何も行動できなくなることのほうが多い。
- この問題を解決するには、「ジャストインタイム学習」のアプローチが役立つ。これは「次に必要な情報だけを集中して学ぶ」というもので、たとえばセールスページを作成する際には、コピーライティングについてだけ学ぶ、といった具合である。これならば、学んだことをすぐに実践できるため、知識が定着しやすく、結果も早く出る。大切なのは、「すべてを事前に学ぼう」という衝動を抑え、まず次の行動を特定し、そのステップに必要な情報だけを集めて、すぐに実行すること。この「学習と実践のサイクル」が進捗を加速させる。
というか、ここまで必要な情報がいつでも手に入る時代になったら、「すべてを知ろう」とするのではなくて、「今、目の前の課題を解決するために必要なことだけを学ぶ」という意識が重要になるのは当たり前。
- 「あれもこれも」と同時に改善しようとして、結局何も改善できなかった、という経験を持つ人は多い。これは、ジャグリングと一輪車の練習を同時にするようなもので、著者もメールマーケティングで悩んでいた時に、全体を最適化しようとして泥沼にはまったとのこと。しかし、ここで著者が「件名の改善」だけに30日間集中したところ、開封率がわずか1ヶ月で68%も改善した。
これは「マイクロマスタリー」という考え方で、「どんなことでも、小さく始めれば大きく成長できる」ことを意味する。たとえば、メールマーケティングは、1つのスキルではなく、リスト構築、件名、メールの内容、行動喚起、到達率といった複数のマイクロスキルに分解できる。これらすべてを一度に習得しようとするのではなく、一つを選んで一定期間集中して取り組めばよい。
- 「マイクロマスタリー」のアプローチは、劇的な改善がすぐに目に見えるため、モチベーションが維持しやすいというメリットがある。また、一つの要素が大きく改善すれば、システム全体に波及効果が生まれるのも大きなメリットである。たとえば、件名の改善で開封率が上がれば、メールの内容をいじらなくても、より多くの人がコンテンツを読み、リンクをクリックしてくれるようになる。
- これはマラソンのような運動でも同じで、上級のランナーほど、ランニングの特定の微細な要素にのみ集中して数週間かけて鍛えることが多い。たとえば、足が地面に着地するときの「かかとの打ち方」だけに数週間費やし、スローモーションで自分のフォームを撮影し、改善を重ねる。それが、ほんの数パーセントの効率改善だったとしても、50マイルを走った後には、その効果は絶大なものになる。
このように、どんなに大きな目標でも、まずは小さく分解し、一つずつ徹底的にマスターしていく思考が、これからの学習ではいよいよ重要になる。
- 試験前の詰め込み勉強、プレゼン前の徹夜準備、仕事の緊急対応など、外部からのプレッシャーによって、驚くほど短期間で集中して学べることは多い。このような生産的なプレッシャーを意図的に作り出すのも、これからの学習には重要となる。
これは「効果的な自発的強制力」と呼ばれ、モチベーションを刺激するのに十分なほど高い目標であり、それと同時に恐怖で心身が麻痺しない程度の難易度のプレッシャーを設定するのが重要となる。さらに、この時に作り出す目標は、自分が目指すゴールと一致し、心から「意味がある」と感じられ、達成した際に明確な報酬が得られるものでなければならない。コンペティションへの参加、プレゼンのスケジューリング、公の場での宣言など、自分自身でプレッシャーを作り出す方法はたくさんあるので、自分のレベルに適したものを選ぶのが吉。
- 何かを学ぶ際に最も難しいのが、「困難を乗り越えて続けるべきか、それとも違うアプローチを試すべきか」という点である。この判断を違えると、間違った戦略に何年も固執して時間を無駄にしたり、あと一歩でブレイクスルーが起きるのに諦めてしまったりといったことが起きる。そこで重要なのが「3つのP」という自己評価フレームワークである。
- Progress (進捗):前に進んでいるか?(たとえゆっくりでも)
- Passion (情熱):まだ情熱を感じるか?それとも常に消耗しているか?
- Purpose (目的):自分の価値観や長期的なビジョンと一致しているか?
- 上記のフレームワークは、四半期ごとに使うと良い。もし3つのPがすべてポジティブなら自信を持って継続すればいいし、一つでもネガティブなら原因を調べて調整する。もし二つ以上が継続的にネガティブな場合は転換(ピボット)の時だと言える。
- 多くの人は、「教えるのはマスターした後」と考えがちだが、実際には教えること自体がマスターのプロセスの一部になる。他人にコンセプトを説明しようとすると、自分の考えを整理し、理解のギャップを特定し、複雑なアイデアを伝える新しい方法を見つけることを余儀なくされる。
自分が専門家になるまで学習を続ける必要はなく、学びながら教えていくことが重要となる。そのためには、自分の学習をブログに記録したり、学んだコンセプトを説明する動画を作成したり、友人を助けてあげたりするだけでも役に立つ。もし誰かに質問されて答えられなかったら、それが次に学ぶべきことのヒントになる。