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「好奇心は鍛えられる?」最新研究が示す“性格を変える習慣”とは


 

「年を取るにつれて新しいものに興味を持てなくなってきた……」みたいな感覚を持つ人は多いんじゃないかと。昔は知らない場所に行くだけでワクワクしたのに、いまや新しいカフェを開拓するのも面倒になった……みたいな現象ですな。幸いにも、個人的にはこの現象は起きてないんですけど、同世代からは似た話をよく聞いたりしております。

 

そこで、新しい研究(R)では「好奇心は変えられるのか?」ってのを掘り下げた内容になってて、非常に良い感じでした。今回はこの研究をもとに、「好奇心の再起動」がどれだけ可能なのか? そして「性格は本当に変えられるのか?」ってあたりをチェックしてみましょうー。

 

 

「性格=固定」はもう古い?

まず大前提として、近年の心理学では「意図的な行動で性格は変えられる」という証拠が急増しております。たとえば、

 

  • 社交的になりたいなら、まずは週に1回誰かと話す練習をしてみる
  • 不安傾向を減らしたいなら、ゆるい瞑想や呼吸法を取り入れてみる
  • 好奇心を高めたいなら、小さな「初めて」を日々の生活に入れてみる

 

みたいなアプローチで、性格が“上書き”される可能性が示唆されているんですよ。これは「Volitional Personality Change(意図的な性格変容)」と呼ばれてまして、ここ数年、注目のジャンルになっているわけです。ここらへんについては8月26日に出る新刊「社会は、静かにあなたを「呪う」」でも詳述してますんで、合わせて参考にしてくださいませ。

 

 

日々の好奇心チャレンジを設計する

さて、この新しい研究では、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の先生方が“意図的な性格変容”を具体的に検証してくれております。どんな実験だったかと言いますと、

 

  1. 被験者は大学生91人(平均年齢20歳)。

  2. そのうち半数にアプリを使わせて、残りは後日使用する「待機グループ」として比較。

 

みたいになります。このアプリは、ユーザーに日々の「ちょっとした冒険」を仕掛けるように設計されてまして、自分で6つの好奇心チャレンジを設定するようになっております。たとえば「新しいものを食べる」という目標で好奇心チャレンジを設定するのであれば、

 

  • When I…(きっかけ) → スーパーに行くときに
  • I will…(行動) → 新しいレシピの材料を買ってみる
  • And prove it by…(証拠) → 買ったものを写真に撮って記録

 

というように、具体的に「なにをどのタイミングで実行して、それを証明するか?」を設定して、これを記録していく仕様になってたわけっすね。

 

この際、好奇心のチャレンジ設計は難易度を3段階にわけてまして、

 

  1. 好奇心ティーザー → 軽めの刺激。例:いつもと違う道で帰宅するなど
  2. 好奇心ブースター → 少し手間のかかる行動+創造的タスク。例:新しい体験について俳句を書く
  3. 好奇心ランチパッド → 知識探求。例:思いついた疑問について3つの情報源を調べる

 

みたいにわけて、自分に適したチャレンジを設定するようにしてるわけですな。さらにこのアプリには、マインドフルネス機能も搭載されているのがユニークでして、

 

  • マインドフルな食事
  • マインドフルな手洗い
  • マインドフルな散歩

 

といったタスクを通じて、「目の前の経験に注意を向ける力」も鍛えられるような設計にしたらしい。こういうアプリ、ちょっと欲しいっすね。

 

 

実際の効果はどうだった?

で、実験の結果がどうだったかと言いますと、アプリを使ったグループには、以下のような変化が現れたんだそうな。

 

  • 知覚的な好奇心の向上(たとえば、新しい音楽や風景、美味しそうな料理に敏感になった)
  • 創造的な行動の増加(絵を描いたり、俳句を詠んだりといった行動が増えた)
  • 人生の意味感が向上した
  • マインドフルネスのスコアが向上した

 

ってことで、従来の研究どおり、「好奇心も後から鍛えられるぞ!」って結論になってますね。特に興味深いのは、「人生の意味感」が伸びていたところでして、つまり日々のちょっとした“冒険”が、気づけば人生全体の充実感や幸福感にもつながっていたって話で、これは人生の幸福度をアップさせるためのトレーニングとしても有用っぽいっすね。しかもこれが、たった3週間のアプリ使用で起きた変化というのだから驚きであります。

 

 

好奇心を再起動するための5つの実践アイデア

ということで、好奇心チャレンジはかなり有用だと思われるわけですが、データを見ている限り、このアプリを使わずとも私たちがすぐに実践できる方法はいろいろありそうであります。個人的におすすめなアクションを5つほど紹介しておくと、

 

  • ① 「毎日なにか1つ新しいこと」をやる:食べたことのないメニュー、聞いたことのないジャンルの音楽、通ったことのない裏道など
  • ② 「あれ?」と思ったらメモして調べる:疑問が湧いた瞬間にスマホでググるだけでも脳が喜ぶっぽい
  • ③ 街中で“美しいもの探し”をする:意識して見てみると、何気ない壁や道端に意外な発見があったりするんで
  • ④ 1日1問「なぜ?」をノートに書く:「なぜ空は青いのか?」レベルでOKで、とにかく問いを立ててみる
  • ⑤ 週1回は「ちょっと怖い体験」に挑戦:知らない人と会話する、一人で新しいイベントに行ってみるなど

 

みたいになります。実験の参加者が行ったチャレンジの内容ってのは、だいたいこのような感じなので、上記の5つのどれかを真似てみると良いのではないかと。

 

いずれにせよ、今回の研究に限らず「性格には可変性がある!」ってのは間違いないところですんで、「私はこういう人間だから仕方ない……」と思っているような人は、習慣の積み重ねで少しずつ性格を変えるように考えていただくと良いでしょう。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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