「クールな人」の特徴は世界共通?最新心理学研究でわかった“本当にかっこいい人”の条件
「あの人、なんかクールだな」と感じる瞬間は誰にでもあるもんです。「クールな人」と言われても、詳しい定義がよくわかりませんが、誰でも反射的に「この人かっこいいなぁ」と思っちゃうことはございましょう。
当然、「クールさ」には文化の違いもあるはずで、日本の「粋」とか、西洋の「ダンディズム」とか、それぞれに独特の価値観がありそうな気がするわけです。さらに言えば、ファッションや音楽のトレンドによっても「クール」の定義は移り変わるものなんで、「なにがクールなのか?」を理解するのは難しそうな感じがするわけです。
が、最近の研究(R)によると、どうやら「クールさ」の定義ってのは、国を越えて驚くほど共通しているらしいってことがわかったんですよ。これはアメリカ心理学会の研究で、めっちゃ大規模でかつ多角的な視点から「クールさ」の概念を掘り下げたものになります。
具体的には、チリ、中国(本土と香港)、ドイツ、インド、メキシコ、ナイジェリア、スペイン、南アフリカ、韓国、トルコ、米国、オーストラリアの13カ国から約6,000人もの参加者を対象に行われた調査で、この手の研究としてはかなり大規模っすね。
研究の基本的なデザインはシンプルでして、
- 参加者に、頭の中で「クールな人」「クールじゃない人」「良い人」「良くない人」を思い浮かべてもらう。
- そして、それぞれの人について、その人の性格特性や価値観を評価していく
ってプロセスを踏んでおります。このデータをもとに、研究チームは「クールな人」が「クールじゃない人」や「良い人」とどう違うのか、そのギャップを浮き彫りにしようとしたわけです。
その結果、文化を問わずに、「クールな人」には以下の特徴が共通して見られたんだそうな。
- クールな人は外向的:社交的で、人と交流することを好み、エネルギーに満ち溢れているタイプ。パーティーの中心にいるような、明るく魅力的な人物像。
- クールな人は自律的:独立心が強く、自分の判断で行動し、他者に依存しない姿勢を持っている。これは、周りに流されず、自分の道を切り開くイメージに繋がる。
- クールな人は力強い:自信に満ち、リーダーシップを発揮し、周囲に良い影響力を持っている。単に腕力があるという意味ではなく、精神的な強さや影響力を指す。
- クールな人は開放的:新しい経験やアイデアに対して非常に柔軟で、好奇心が旺盛な特性。既存の枠組みに囚われず、常に新しいものを探求する姿勢は、まさに「クールさ」の核とも言える。
- クールな人は冒険的:リスクを恐れず、新しい挑戦を好む傾向がある。これは、未知の領域に踏み込む勇気や、型にはまらない生き方を示唆している。
- クールな人は快楽主義的:人生を楽しみ、自身の喜びや快楽を追求する傾向がある。これは意外に思えるかもしれないが、自己を抑圧せず、自由に生きる姿勢は「クール」と認識される一因となる。
ということで、東洋と西洋では文化が大きく異なるにもかかわらず、「クール」という概念においては、ほぼ同じパーソナリティが認識されていたわけっすね。研究チームいわく、
ファッション、音楽、映画産業のリーチが世界中で拡大するにつれて、クールさの意味は世界中で同様の価値観と特性に結晶化し、より商業的に友好的になった。
とのこと。つまり、現代ではグローバル化が進んでいるので、様々なメディアの影響で「クールさ」のイメージが世界中で統一されてきているのかもしれないってことですな。
でもって、この研究で個人的に興味深かったのは、「クールな人」と「良い人」がどう違うかという点であります。私たちは、しばしば「良い人=クールな人」と考えがちですが、この研究は両者の間に明確な区別があることを示してるんですな。
では、「良い人」と評価された人々が、どのような特徴を持っていたかと言いますと、以下のようになります。
- 順応性が高い:周囲の意見や状況に合わせることができる。
- 伝統を重んじる:古くからの習慣や価値観を大切にする。
- 安定を求める:予測可能で安全な環境を好む。
- 温かい:親しみやすく、思いやりがある。
- 協調性がある:他者と協力し、争いを避ける。
- 良心的:義務を果たすことに真面目で、責任感が強い。
- 落ち着いている:冷静で、感情的にならない。
ってことで、「クール」と「良い人」には重なる部分もあるんですが、研究チームいわく、
クールであるためには、ある程度好感を持たれたり、尊敬されたりする必要がある。誰からも嫌われるような人は「クール」とは認識されにくい。この点では、「良い人」と共通する「好感度」の要素が必要だと言える。しかし、「クールな人」は「良い人」にはない、エッジの効いた特徴も持ち合わせている。
とのこと。その“エッジ”ってのが、先に挙げた「快楽主義的」であったり、「力強い」といった要素なわけですね。道徳的に「良い」とは必ずしも言えない、ある種の反抗的で快楽的な性質がないと、「クール」だとはみなされないってことですな。
ちなみに、研究チームは、このような調査が行われた意義について、ちょっと面白いコメントを残しておられます。
誰もがクールになりたい、あるいはクールじゃないという汚名を避けたいと思っている。そして、社会はクールな人々を必要としている。なぜなら、彼らは規範に挑戦し、変化を促し、文化を進歩させるからだ。
たしかに、「クール」って概念は、既存の社会や文化に異を唱えたり、新しい表現方法を模索したりといった、小さな反抗的なサブカルチャーの中から生まれるケースが多いんで、研究チームが指摘するような要素が大事なのは間違いないっすね。
そんなわけで、「クール」になりたい人は、上記の定義をチェックした上で、自分に足りないものを補っていくように考えるとよいのではないでしょうか(クールを目指して行動することほどクールでない振る舞いもないでしょうが)。