今週の小ネタ:1日8時間座ると老化が2倍進む!? ヨーグルトに“痩せ菌”を入れたらウエストが減る!? ザクロジュースで眠れる!?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
1日8時間座ると老化が2倍進む!?
「座りすぎは体に悪い」というのはもはや常識ですが、新しい研究(R)では、その影響が「老化のスピード」に直結していることがわかったと報告しておりました。研究の対象は50歳前後の女性5,578人で、全員を「1日に座っている時間」でグループ分けしてみたら、座る時間が長いほど、生物学的な年齢が加速していたというんですな。
老化のスピードは、複数のバイオマーカーを組み合わせて推定した「生物学的年齢」で判定してまして、こいつが実年齢を上回っているかどうかで判断したんだそうな。これを使って、座る時間ごとのリスクを見てみたところ、
4〜6時間/日:+42%
6〜8時間/日:+67%
8時間以上/日:+107%
ってことで、なんと1日に座ってる時間が7時間を超えるごとに、1時間座るごとに早期の死亡リスクが+12%も上がったんだそうな。つまり「ちょっと残業して座り続けた」だけでも、体の時計がジリジリと進んでしまう可能性があるわけで、めっちゃ怖いですなぁ。
研究では、2つの重要な要因も特定されてまして、
Systemic Immune-Inflammation Index(SII):体内の慢性炎症の指標
クレアチニン:腎臓の代謝や筋肉量を反映する物質
って感じになっております。要するに、長時間の座りすぎ → 炎症の悪化や代謝異常 → 老化の加速って流れがあるんじゃないか、と。
とはいえ、この研究は 横断研究(クロスセクショナル)なので、「座っていたから老化した」のか、「老化していたから座りがち」なのかがハッキリわからないところはご注意あれ。これに加えて「座り時間」は自己申告なので、正確性がイマイチなのも気になるところではあります。
が、それでも数千人規模の調査でこの傾向が出ているのは、無視できないシグナルですんで、座っている時間が長い方は、
- 1時間に1回は立つ(トイレでも水を取りに行くでもOK)
電話は立って話す
昼休みに5分歩く
在宅ワーク勢はスタンディングデスクを導入
みたいな対策を取っていただくと良いでしょうなぁ。
ヨーグルトに“痩せ菌”を入れたらウエストが4cm減った話
「ヨーグルトが腸にいい」のも常識ですが、新しい研究(R)では「アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)」 という菌を混ぜたヨーグルトを8週間食べ続けたら、太った男女の ウエストが4.3cm減った という結果が出てて良い感じでした。
研究の中身をざっくり紹介しますと、
実験の対象は65人の男女(肥満または過体重)
実験の期間8週間
実験では、以下の3グループに分けて毎日120gのヨーグルトを摂取してもらう
アッカーマンシア入りヨーグルト(100億発酵単位)
ラクトバチルス・ラムノサス入りヨーグルト(100億発酵単位)
強化なしの普通のヨーグルト(プラセボ)
みたいになります。すると、アッカーマンシアを摂取したグループには明確な違いが出まして、
ウエスト周囲径
アッカーマンシア組:−4.3cm
ラムノサス組:−1.6cm
プラセボ組:−1.3cm
って感じで、明確にウエストサイズが減ったのに対して、さらには、
体脂肪率の減少
ALT(肝酵素)の改善
抑うつ症状の軽減
ウエスト/身長比の改善
といった副次的なメリットも見られたんだそうな。サンプルサイズが小さめで試験期間も短いので、「これで絶対痩せる!」と断言するのは無理ではありますが、そもそもアッカーマンシア・ムシニフィラは、腸内細菌の中でも「痩せ菌」として注目されている菌でして、
腸の粘膜を強化する
代謝を改善する
炎症を抑える
といった作用があるとされてるんですよ。過去の研究でも肥満や糖尿病リスクを下げる可能性が指摘されてまして、可能性はあるんじゃないかなーと思っている次第です。あと、今回の試験では菌そのものではなく、その代謝産物を使っているのもポイントっすね。生きた菌を腸に届けるのは難しいんだけど、代謝産物なら安定して効果を発揮できるかもしれないので。
ちなみに、現時点では「アッカーマンシア入りヨーグルト」をコンビニで買うのは難しいんだけど、サプリメントは手に入れやすいので気になった方はお試しあれ。
ザクロジュースで眠れる!?
「夜になると全然眠れない…」ってお悩みの方は多いでしょうが、最新のランダム化比較試験(RCT)(R)で「ザクロジュースで眠れるかもよー」って結論が出てておもしろかったです。まずはざっくり研究例をまとめておくと、
- 実験に参加したのは、オピオイド使用障害の治療中(メタドン or ブプレノルフィン服用)の58人
実験の期間は4か月で、薬を飲んで30分後に250mlのザクロジュースを毎日摂取
睡眠の質は「PSQI:ピッツバーグ睡眠質問票」で評価し、これにくわえて唾液中のメラトニン濃度も計測した
みたいになってまして、その結果がどうだったかと言いますと、
ザクロジュース組は睡眠の質が改善、さらにメラトニン濃度も上昇!
みたいな感じだったんだそうな。ザクロと睡眠ってあんま聞いたことがない話ですけど、ザクロってのはポリフェノールの宝庫で、とくにプニカラギンという強力な抗酸化物質を多く含んでるんで、こいつが効いてるのかもしれませんな。要するに、メタドンやブプレノルフィンは長期的に炎症や酸化ストレスを悪化させることがあって、こいつが睡眠障害の一因になっているんだけど、そこで抗酸化作用の強いザクロジュースが効いたんではないか、と。
ただ、この研究は「特殊な集団」(オピオイド治療中の患者さん)が対象なので、一般人にそのまま当てはまるかは微妙だってとこは注意しといてください。まあザクロには抗酸化物質が多いのは間違いないので、一般人でも一定のメリットがある可能性は高い気がしますけども。
もしザクロジュースを取り入れてみたいのであれば、
就寝前にザクロジュースを飲む → リラックス+メラトニンUPの可能性がある
量は250ml(コップ1杯程度)でOK
みたいに運用すると良いかもしれません。どうぞよしなにー。