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赤色光で毛が生える!? ミノキシジルと同等の効果という驚きの研究の話

   

 

薄毛の治療といえば「ミノキシジル」がド定番。「毎日塗っていれば、とりあえず毛は守れる」という安心感がありまして、個人的にも5%のミノキシジルを愛用してるわけです。その効果はよくわからんですが、おそらく予防にはなってるんじゃないかなー、と。

 

そんな状況下、近ごろよく論文で名前を見るようになってきたのが赤色光であります。頭皮に赤い光を当てると毛が生えるかもよーという話でして、それだけ聞くとなんか怪しそうですけど、わりと複数の臨床試験で 「かなり薄毛に効果があった」 みたいな結果が出てるんですよ。

 

新しく出た研究(R)もそのひとつで、赤色光の効用をあらためてチェックした内容になっております。

 

 

薄毛に赤色光を試したらどうなった?

この試験は、男性型脱毛症(AGA)の男性91名を対象に行われたもので、「おでこの生え際がじわじわ後退してる」「頭頂部のボリュームが減る」みたいな薄毛に悩んでいる人を選んだそうな。参加者の毛の状態はハミルトン・ノーウッド分類のグレード2〜5で、まだ薄毛の初期〜中等度の人たちがメインだったらしい。

 

実験では、全体を2つのグループに分けてます。

 

  1. ミノキシジル群:5%ミノキシジル外用液を1日2回塗布

  2. 赤色光群:1回10分、週3回、赤色光を頭皮に照射

 

試験の期間は6か月で、実験の「開始時」「3か月後」「6か月後」に毛量を測定したんだそうな。

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 両グループとも毛量が増加

  • 3か月後、6か月後、どちらも改善あり

  • 効果の差はなし(ミノキ vs 赤色光で優劣つかず)

  • 副作用は軽度(かゆみ・刺激感など)

  • 満足度もほぼ同じ

 

だったそうな。つまり今回の試験では、ミノキシジルと赤色光の効果はほぼ同等だったというわけです。こりゃいいですなぁ。

 

 

 

「光で毛が生える」ってどういう仕組み?

では、なぜ光を当てるだけで毛が増えるのか?ってことですが、研究者たちは、赤色光が持ついくつかの作用に注目しております。

 

  1. ミトコンドリア活性化

    • 赤色光は細胞のエネルギー工場「ミトコンドリア」に作用し、ATP(エネルギー通貨)の産生を促進。

    • これが毛母細胞(毛をつくる細胞)の活動を後押しする。

  2. 血流改善

    • 光が頭皮の血管拡張をサポートし、毛根への栄養供給がスムーズになる。

  3. 炎症抑制

    • 頭皮環境の炎症を抑え、毛の成長に適した環境を整える。

 

ということで、赤色光ってのは「毛根の元気を取り戻すブースター」みたいな役割を果たす可能性があるわけです。

 

と言いますと、なかなか夢のような話に聞こえますが、ここには注意すべきポイントもいくつかあるので、そこも押さえておきましょう。具体的にどんな感じかと言うと、

 

  1. コストと品質ミノキシジルはドラッグストアで安価に手に入るのに対して、赤色光デバイスはピンキリ。安いものだと数千円からあるんだけど、臨床研究で使われるような本格的な装置は数万円〜十万円単位もする。なので、市販のマシンで効果を得られるのかが分かりにくい。

  2. 継続のしやすさ:「1日2回塗る」のと「週3回10分当てる」、どっちが続けやすいかは人によって違うはず。外出先でミノキを塗るのが恥ずかしい人にとっては光の方が楽かもしれないし、逆にデバイスの管理が面倒という人もいるかもしれない。

  3. 本命薬フィナステリドは不在:今回の研究では、もう一つのAGA治療の定番であるフィナステリド使用者は除外されている。実際には「ミノキ+フィナ」がAGA治療の鉄板なので、そこに赤色光をどう組み込むかは未知数。

 

みたいになります。とりあえず、現状では一般ユーザーが使いづらい技術だってところが一番の難点ですね。

 

 

じゃあ実際どう使えばいいのか?

ここまでを踏まえると、赤色光を実生活に組み込むためには、以下のポイントが大事になるでしょう。

 

  1. ミノキが合わない人の代替手段としてはとても良い:頭皮が荒れる、かゆみがひどい、続けられない……そんな人には赤色光が有力なオプションになりそう。

  2. 「上乗せ治療」として試す:すでにミノキやフィナを使っている人が「さらにブーストをかけたい」と思ったときに赤色光をプラスするとよい。特に初期〜中期の段階なら相乗効果が期待できるかもしれない。

  3. 生活習慣の延長として考える:光を当てるだけとはいえ、結局は「続けられるか」がすべて。スキンケアや運動と同じで、ライフスタイルにうまく組み込める人にはメリットが大きい。

 

まあ、いずれにせよ、過去の研究もふくめて考えると、赤色光にはそれなりに効果がありそうなんで、ミノキやフィナに加えて試してみるのもよいかもしれません(クリニックで導入してるところも多いので)。

 

ってことで、今回の話をまとめてみますと、

 

  • 赤色光療法は、AGA初期〜中期ならミノキシジル並みの効果を出す可能性あり

  • ただし、コスト・デバイス品質に注意が必要

  • 今後は「赤色光+ミノキ」の相乗効果研究が待たれる

 

みたいな感じです、「光で毛が生える」と言われると怪しい健康器具だとしか思えないかもですが、臨床試験でじわじわと効果が認められ始めてますんで、お試しいただくのも悪くないでしょう。なので、もし私が薄毛に悩んでいたら、まずは 「安くて確実なミノキ」 を使うところからスタートして、余裕があれば 「赤色光でブースト」 を検討しながら、 「生活習慣(睡眠・栄養・ストレス管理)」 を整える……みたいな「三段構え」で攻めるかなーと思っております。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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