ナッツは「遺伝子を操る」スーパーフード?──ナッツが炎症・酸化ストレス・血管の健康を変えるかもな件
「ナッツは体にいい!」ってのは有名で、複数のデータをもとにしつつ、私も最近は最強の「ナッツグラノーラ」を作ったりしてるわけです。確かにナッツはハイカロリーなんだけど、栄養が詰まりまくったナイスな食品なのは間違いないもんで。
でもって、新たにチェックした最新のシステマティックレビュー(R)によると、ナッツの効果は「栄養補給」なんてレベルを超えて、人間の遺伝子発現に影響を与えているかもよ?って可能性が示されててビビリました。
ナッツと遺伝子の不思議な関係
このレビューは2025年9月に発表されたもので、13件の臨床試験(その多くがランダム化比較試験=RCT)を分析対象にしたものです。参加者の多くは心血管系や代謝系に問題を抱える成人で、みんなに6週間から52週間という比較的長期にわたってナッツを摂取してもらう実験になっております。
ナッツの摂取量は1日あたり3〜60gと幅広く、比較対象は「低脂肪食」「オリーブオイル」「ナッツなしの食生活」などになってます。つまり、ふだんの生活にけっこう近い条件で行われていたわけですね。
この研究では、以下のナッツの働きをチェックしております。
-
ブラジルナッツ(6件)
-
ミックスナッツ(4件)
-
ピスタチオ、ヘーゼルナッツ(少数)
では、分析の結果を見てみましょう。それぞれのナッツが、参加者の健康にどんな影響をもたらしたかというと、
-
ブラジルナッツ & ヘーゼルナッツ→抗酸化レベルと炎症関連の遺伝子発現がアップ。
-
ピスタチオ→血糖コントロールやDNA保護に関わる遺伝子に作用。
-
ミックスナッツ→血管の健康に直結する遺伝子を調整。
って感じだったそうな。つまり、ナッツってのは、種類ごとに効き方が違ううえに、その効き方は「遺伝子のスイッチ」にまで及んでいるのではないか……と。うーん、興味深い。
遺伝子発現とは何か?
「遺伝子発現」と言われてもピンと来ないかもなので、言葉をざっくり説明しときましょう。
ご存じのとおり遺伝子は体の設計図ですが、常に全部が稼働しているわけではありません。必要なときに必要な部分だけがオンになり、タンパク質を作ったり、酵素を動かしたりしています。たとえば、
-
炎症が起きたら「炎症系の遺伝子」がオンになる
-
抗酸化が必要なら「抗酸化系の遺伝子」がオンになる
みたいな感じですね。なので、遺伝子ってのは「オンオフ可能なスイッチの集合体」で、生活習慣や食事、ストレスなどによって調整されてるんですな。
その点で、今回の研究で示されたのは、ナッツを食べることでこのスイッチ群が変化し、炎症や酸化ストレス、血糖コントロールに関わる経路が影響を受けるってところです。「食事で遺伝子を操作する」と言われると怪しげですけども、現代栄養学ではごく当たり前のテーマになりつつあるんですよ。
では、遺伝子が変わるとどんなメリットがあるのか?と言いますと、ナッツによる遺伝子発現の変化は、大きく3つの領域に分けられます。
-
炎症の抑制→慢性炎症はあらゆる生活習慣病の原因で、動脈硬化から糖尿病、さらにはうつ病まで炎症が関与しております。どうやらナッツは、炎症に関わる遺伝子を沈静化させ、慢性炎症を「静める」方向に働いている可能性があるらしい。
-
酸化ストレスの軽減→活性酸素によるダメージも、老化や細胞劣化の原因のひとつ。その点で、抗酸化物質が豊富なナッツは、遺伝子レベルで抗酸化システムを強化し、細胞を守っているっぽい。
-
血管と代謝の健康→ナッツは血糖コントロールに関与する遺伝子や、血管の弾力性に関わる遺伝子に作用することも確認されております。つまり「血管年齢を若返らせる」「糖尿病リスクを下げる」といった効果の土台になるかもしれないわけですね。
もちろん、今回のデータは、なんらかの問題を抱えた人しか対象にしてないので、健常者でも同じ効果を得られるのかは謎なんですけど、科学が認めたスーパーフードのひとつとして、積極的に取り入れてみて損はなさそうですなぁ。
実生活でナッツをどう取り入れるか?
では、この知見をどう日常生活に落とし込むかってことですが、だいたいの実験を見ると、以下のガイドラインを守っていただくと良いでしょう。
-
毎日ひと握りを目安に→研究の摂取量は3〜60gだったけど、カロリーを考えると20〜30g(手のひら1杯程度)が現実的。
-
種類はミックスで→アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツなどをバランスよく。できれば無塩・無油のものを選ぶのがベター。
-
タイミングは「間食」がおすすめ→ナッツはGI値が低く、血糖コントロールに良いので、おやつにチョコやスナックを食べる代わりにナッツをつまむのが吉。
-
「DNAをチューニングしている」と意識する→単なる「おやつ」ではなく、「体の設計図に触っている」と思うと習慣化しやすい……かも。
ということで、ナッツは栄養補給だけでなく、炎症・酸化ストレス・血管健康に関わる遺伝子発現を変えるかもよーってお話でした。どうやらナッツの種類ごとに効き方が異なるため、ミックスで摂取するのがいいっぽいですね。
まあ健康アウトカムとの直接的な因果はまだ不明なんだけど、「食べ物で遺伝子をプログラムする」可能性は十分にありそうなんで、最強の「ナッツグラノーラ」が完成したら、毎日の習慣にしていく予定であります。