外見の魅力は「優しさ」で強化できる!優しさは最強のモテ戦略だという研究の話
その昔「イケメンor美女に見られたけりゃ『寛大』であれ?みたいな観察研究の話」みたいな話を書いたことがありました。「優しい人ほど顔も良いように見られることが多いよー」って報告をまとめたもので、どうもメンタルのありようによって見た目の美しさも変わるってことらしいんですよ。
で、新たにペンシルベニア大学ウォートン校のナタリア・コノノフ先生らが手がけた研究(R)は、10本の実験・合計4,000名以上の被験者を対象に「優しさ(向社会的行動)」が容姿の魅力に与える影響をチェック。過去のデータよりも大規模な試験で、「親切は見た目の魅力を上げるのか?」ってポイントをチェックしてくれてて面白かったです。
実験のパターンは主に3種類で、以下のような形で被験者に「他者の魅力の評価」をさせております。
- 参加者に人物の顔写真と短い説明文を見せるパターン。たとえば、「この人はバスでお年寄りに席を譲りました」みたいな説明をされた人と、「この人はバスでスマホを見ていた」みたいな説明をされた人の魅力度を比較するわけですね。
- 2つ目は、文章だけで評価してもらうパターン。顔写真は一切使わずに、「この人はバスでお年寄りに席を譲りました」みたいな説明文だけを読んで、その人物の“外見的な魅力度”を推測してもらうわけですね。
- 3つ目は、実際の行動観察を取り入れたパターン。参加者にちょっとした協力ゲームをやってもらい、その中で「他人を助けたプレイヤーの魅力はどうだと思いますか?」と尋ねてみたらしい。
ってことで、いずれの試験でも「親切な行動をする人の見た目の印象はどう変わるか?」をチェックしたわけですな。
すると、全体としてどの実験でも結果は一貫してまして、
- 親切な行動をとる人は、d = 0.41〜0.65の効果量で「顔が良い!」と思われやすくなった
みたいになります。この効果量は中程度の効果で、社会心理学ではなかなか強い部類だと申せましょう。あんま簡単に比較はできないんだけど、ダイエットとかだと「実感できるぐらい痩せたなー」と思えるレベルの数字だったりはしますからねぇ。
さらに、この研究で出てきた面白いポイントをチェックしておくと、
- 「一回きりの親切」と「継続的な親切」を比べた場合。「継続的な親切」の方がより魅力が上がる
- 「親切」と「ユーモアや知性」を比べた場合、親切のほうが外見の魅力に影響が大きい
- 顔に傷や肌荒れがある場合でも、親切な人には「気にならない」という答えが増えた
- この効果は、男女どちらにも有効だったし、友人・同僚・初対面でも効果があった
みたいな傾向も報告されております。どうやら人間の脳ってのは、「その人は良い人だ」と思った瞬間、勝手に外見まで補正してしまうようにできてるみたいなんですな。
ただし、これはシンプルなハロー効果とはメカニズムがちょっと違うようでして、単に「良い印象が魅力度を底上げする」って話ではないらしい(なにせユーモアや知性よりも格段に影響が大きいんで)。研究チームいわく、
人は無意識のうちに「良い人とつながりたい」と願っている。その結果、優しい人を「魅力的」と錯覚するのではないか。
つまり、「これは良い人だ」と思った瞬間、私たちの脳はインスタの美肌フィルターよろしく補正をかけるんだよーってことでして、「職場の同僚が誰かを助けているのを見て、一瞬で印象が変わる」とか「推しが人に優しくしている動画を見て、「尊い」と感じる」みたいな現象も、同じ脳の作用が働いているのかもですな。
ってことで、このデータを見る限り、見た目を磨く努力をするのはもちろん大事なんだけど、それだけにリソースを注ぐのはコスパが悪いかもしれません。私のようなおっさんどんどん外見が劣化していくわけですが、優しさは時間とともに蓄積されて魅力を増幅させてくれますからねぇ。「中身で勝負!」と言われるときれい事のようにも感じますけども、実際のモテ戦略としも意外と正しいのかもしれません。
では、「中身で勝負」するためにはどうすりゃいいのかってことですけど、これについては普段から「魅力を高めるための向社会トレーニング」をやっとくのが良いのではないでしょうか。具体的には、
1日3回「マイクロ親切」を実践する
ドアを押さえる/荷物を持つ/SNSで誰かの良い投稿をシェア+一言添えるみたいな小さな親切をコツコツとやっとく
研究だと「継続する」ことが最も大きな効果を出してるんで、とにかく続けるのが大事
人の努力を言語化してほめる
「誰かの長所を見つける」筋力が弱いと、褒めることに苦手意識を持ちがち。そのためにも、「◯◯さんは丁寧な返信が早い」 「◯◯さんの声のトーンは落ち着く」みたいに身近な誰かの長所を毎日1つだけメモするのもあり。
その上で、他人の良いところを細かく言語化するのが吉。たとえば「すごいね」「助かりました」「優しいですね」じゃなくて、「あの場で最初に意見を出したのが◯◯さんだったから、議論が前に進みました。」 「メールの件、背景まで整理してくれたので理解が一気に進みました。」みたいに細かくほめると良い感じ。
みたいなことを地道に続けていくと、周囲から「あれ?なんか見た目が良くなったかも……」とか思われやすくなるかもしれません。お試しあれー。


