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イケメンor美女に見られたけりゃ「寛大」であれ?みたいな観察研究の話

 

その昔「親切な人ほどモテる!」みたいな話を書きましたが、どうも「他人への親切」とか「寛大な態度」ってのはいろんなメリットがあるみたいなんですよね。たとえば、

 

  • ボランティア活動をしてる人ほどメンタルが落ち着いてるってメタ分析がある(R)
  • 他人に親切にしてる人は幸福度も高い(R)

 

みたいな話が出てまして、「他人から喜ばれて自分も健康になれるんなら最高だな!」とか思うわけです。

 

 

で、新たにペンシルバニア大学などのチームが出したデータ(R)も「寛大さ」に関わる話で、まず結論から言いますと、

 

  • 寛大な人ほどイケメンor美女だと評価されやすい!

 

って感じになります。他人への親切には、自分の気分を良くする作用だけではなく、こちらのルックスをいいように見せてくれる効果もあるんじゃないのか?という仮説であります。

 

 

研究チームの問題意識はこんな感じです。

 

「美しいものは、それだけで良いものとして見られやすい」という現象を示したデータは多い。この現象には、「肉体的に魅力的な人は性格も良いだろう」と認識される「ハロー効果」と、「良いものは同時に美しいものに違いない」と認識される「逆のハロー効果」の2つがある。

 

しかし、これまでの研究では、ハロー効果を抜きにしても「美しいものと善を結びつける傾向」(またはその逆の現象)が起きるのかどうかを検証した事例はほとんどない。

 

美男美女ほど稼ぎが良かったり、裁判でも有利だったりする傾向は世界中で見られるんだけど、これは果たして「ハロー効果」(ひとつの特徴に他の特徴の判断が引きずられる心理)だけが原因なのか?って疑問ですね。

 

 

では、本件がどんな研究だったかと言いますと、

 

  1. 高齢者、思春期後期の青年、54年かけて参加者を調べたアメリカの大規模なデータセットを使う
  2. 全員の身体的な魅力をチェックし、それがボランティア活動の多さと相関してるかを見る

 

みたいになってます。当然、このデータで身体的魅力を評価した人たちは、参加者が普段ボランティア活動をしてるかどうかの知識はないので、ハロー効果を取り除いても「寛大な人=ルックスもいい」の図式が成り立つのかを確認できるわけです。

 

 

比較の結果なにがわかったかと言いますと、

 

  • 高齢者も若者も、ボランティアをしている人の方がルックスも高い評価を得ている傾向があった

 

  • 寛大さと魅力の間には双方向の関係があるっぽい(つまり、ルックスが良い人ほど寛大な行動をとる傾向があるし、寛大な人ほどルックスも良い傾向がある)

 

だったそうです。チームの読みどおり、親切な行動と美男美女にはバイアス抜きの明確な関係性があったわけですな。

 

 

研究者いわく、

 

詩人や哲学者は、何世紀にもわたって道徳的な美しさと肉体的な美しさの関連性を示唆してきた。

 

この研究は、より魅力的だと認識されている人ほど他人へ寛大に分け与える可能性が高く、与える人はより魅力的だと認識されることを確認しています。

 

とのことですが、もちろんこの調査だけでは「それじゃあ顔がダメな人が親切な行動をしたらルックスが良く見られるの?」って疑問については定かないのでご注意ください。とりあえずチームの見解としては、

 

寛大さと見た目の魅力がリンクする理由はよくわからないが、異なる時間で異なる参加者を対象に行なった実験で一貫した結果が確認されたのは確かだ。

 

この調査結果は、美容製品や美容整形が個人の魅力を高める唯一の方法ではないことを示唆している。

 

ってことで、「寛大な人は見た目もよく見えるのでは?(メカニズムはわからないけど)」って仮説が提唱されておりました。いずれにせよ、親切な人ほどモテる傾向があるのは確かですし、進化的に見ても寛大な人ほど人気が出たはずなんで、他人に気前よく分け与えられる人ほど「あばたもエクボ」として見られやすいんじゃないかなーって気はしております。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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