子育ての統計データ2題:自分を責めがちな人にありがちな育てられ方、緑が多い土地で育つ子供はメンタルを病みにくい?
たまたま子育てに関するデータを2つ続けて読んだので、ひとつのエントリにまとめておきます。
自分を責めがちな人にありがちな育てられ方
まずはシンガポール国立大学などの調査(R)で、「ついつい自分を責めがちな人はどんな育てられ方をしたのか?」ってのを調べたものです。302人の親子を対象にした研究でして、子供たちが7歳の時点から調査を始めて、それから5年間にわたって追跡したそうな。
どんなポイントを調べたのかと言いますと、
- 親がどれだけ子供に干渉してるか?=子供にパズルを解かせているあいだに、親がどれだけ口出しをするかで判断
- 5年の間に子供がどんなふうに成長したか?=おもに自分を批判する傾向をチェック
みたいになってます。要するにチームは、「自己批判が強い人ってのは干渉が多い親に育てられたケースが多いのでは?」と考えたわけっすね。
その結果はチームの推測どおりでして、
- 干渉が多い親に育てられた子供ほど自分を批判する傾向が高かった!
- 自己批判的な傾向は、抑うつ症状や不安の増加と相関があった!
だったそうです。過干渉がよくないとはよく耳にしますが、自罰的な性格を作り出す働きがあるんですねぇ。
チームいわく、
親が干渉しすぎると、子供に「自分のやっていることは十分ではないのだ」というメッセージを送ってしまう。その結果、子供は小さなミスを恐れる始め、「完璧」でない自分を責めるようになってしまう。
このような行動は「不適応的完璧主義」として知られ、時間が経つにつれて、うつ病や不安、最悪の場合は自殺のリスクが高まるため、子供の幸福に悪影響を及ぼしかねない。
とのこと。干渉のせいで完璧主義がブーストし、結果的にメンタルが弱い子供に育ちかねないのだ、と。うちも父親がうるさいタイプだったから、なんかわかるなぁ……。
シンガポールのような学校の成績を重視する社会では、親が子供に非現実的な期待を抱く可能性が高い。その結果、かなりの子供が間違いを恐れるようになりやすい。
『完璧』を目指す子供は自分の失敗や不備を認めず、必要な助けを求めることを嫌がるようになり、感情的な問題を起こすリスクをさらに高めてしまう。
ということで、心当たりのある親御さんは干渉レベルを下げてみるのが吉でしょう。また、自分が過干渉な親に育てられた場合は、「セルフコンパッション」の考え方を導入してみるのがいい感じです。
緑が多い土地で育つ子供はメンタルを病みにくい?
続きましては、「子供の良い育て方とは?」って問題を調べたデータ(R)で、およそ100万人のデンマーク人を対象に、
- 衛生画像を使って参加者が住んでいるエリアにどれぐらい緑地帯があるかを調べる
- 緑地帯で育った子供とそうでない子供にどんな違いがあるのかを調べる
みたいな調査になってます。このブログではおなじみな「自然が多い場所に住むと健康に!」って話を子育てでも確認した感じっすね。
では、以下に結果です。
- 緑の多い環境で育つ子供は、成長してからメンタルを病むリスクが55パーセント低くなる
- 10歳まではより多くの緑地があるエリアに住むと、大人になってからのメンタルの問題を抱えるリスクが低くなる
ということで、やっぱり緑地は子供の成長にもいいみたい。
チームいわく、
これまで考えられていたよりも自然環境がメンタルに大きな役割を果たしているという証拠が増えてきてた。
今回の研究では、デンマークの膨大な調査から居住地や病気の診断データを入手し、これを衛星画像による緑地のエリアデータと比べた。その結果、緑地には社会的な結束力を高め、身体活動のレベルを向上させ、認知機能の発達をサポートし、精神的な健康を高めるのに役立つ可能性が浮かび上がった。
とのこと。自然が多い場所で育てば運動をする確率も高くなり、その分だけ脳の発達が速まるのではないか?って推測ですね。周囲に緑がなにもない団地で10歳ぐらいまで育った私としては、なんだか嫌になっちゃう話ですけども。