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他人への親切で寿命が伸びるぞ!って話が日本をふくむビッグデータで確認されてた件


 

親切が体にいいって話はよく書いてて、最近も「イギリス保険サービスが勧めるストレス解消」に「他人を助ける」なんて項目が入ってたりしました。その他のデータで言いますと、

 

 

といったおもしろい傾向がいろいろと確認されております。このブログで取り上げてないデータ(R)だと、「親切な行動が個人の副交感神経を改善する!」って報告も出てまして、さすがイギリス保険サービスが勧めるだけはあるなーとか思うわけです。

 

 

でもって、メンタルに良いことは当然肉体にもいいんじゃないの?ってことで、新たなデータ(R)は「親切でどれぐらい寿命が伸びるか?」ってポイントを調べてくれてました。

 

 

これはマックスプランク人口統計研究所などの研究で、日本をふくむ世界34カ国から「各年代の人々がどのように生産、消費、資源の共有、将来のための貯蓄を行っているか?」ってのを調べたビッグデータを使っております。このデータには、「個人がどれだけ家族などのために金銭的な支援をしたか?」や「調査中に何人の人が健康を損なったか?」みたいな情報がふくまれていて、すべてをひっくるめると「人助けがどれぐらい体にいいのか?」ってのをある程度まで判断できるんですよ。

 

 

では、分析の結果をニュースリリース引用しますと、

 

34カ国のデータから得られた今回の調査結果は、より多くの支援とお互いのケアを提供する社会の方が、全体の生存率が高いことを示唆する。

 

死亡率の低下が起きるの原因は、サポートによって物質的な要求が満たされるからだけでなく、親切さを共有することで社会的なつながりの強さが反映され、それ自体が人間の健康と幸福に利益をもたらし、間接的に生存率を向上させるのだと考えられる。

 

みたいになってます。とにかく親切さは社会のつながり感をアップさせるので、そのせいでストレスが減って健康寿命が伸びるんじゃないの?って感じっすね。今回の調査は金銭的なサポートだけに的を絞ってるので、例えばボランティアみたいな時間的なサポートについてはよくわからんのですが、こんだけ世界中のデータで似たような傾向が確認されてるってのは示唆的ですな。

 

 

確かに、この分析だけ見ると「個人の裕福さとか他の経済的な原因が寿命に影響してるのでは?」って疑問はわきますし、その点はあんまクリアじゃないんですけど、とりあえず著者たちは、

 

利他的な行動とリスクの共有は、人類の進化に深く根ざした行為だ。共有しようとする意志は、過去の進化の成功と現在の暮らしにとって決定的な意味を持つ。

 

と指摘しております。そもそもヒトは原始時代から利他と共有で生きてきたんだから、親切や相互サポートによってストレスが低下するのは自然だろうってことですね。個人的にもこの考え方には賛成であります。

 

金銭的または非物質的なサポートを提供するモチベーションは、人間社会における向社会行動と密接に関わっている。

 

ってことで、今後は体調管理法のひとつとして「他人をサポートしよう!」って考え方が普通になったりするのかもしれませんな。

 

 

というと、「『自分の健康のために他人に親切にする』みたいな動機でもいいの? それって利己的じゃない?」みたいな疑問を持つ方もおられましょう。正直、このポイントについては「よくわからん」としか言いようがなくて、今後の研究の発展を待つしかない感じであります。

 

 

が、いくつかのデータを見てると、「利己的な動機で親切にしてる人も、ボランティアとかすると結局よい影響が見られる」といった報告もありますんで、おそらく根っこのモチベーションはさほど問題じゃないのかもしれません。なんだかんだで人様から感謝されたらうれしいもんですからね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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