三人称で自分に話しかけるとお菓子やジャンクフードの誘惑に強くなるぞ!という実験の話
その昔、「サードパーソン・セルフトークで意志力が上がるよー」って話を紹介したことがありました。簡単に言うと、
- 三人称で自分に話しかけてみよう!
ってやり方でして、「俺はいまイライラしている!」ではなくて「鈴木さんはいまイライラしている!」みたいに、あたかも自分を他人のように描写すると、スッとストレスが下がるというんですね。子供だましのように思えるかもですが、わりと複数の研究で効果が報告されてて、バカにできない感じなんですよ。
そこで新たに出た論文(R)も「サードパーソン・セルフトーク」の話で、結論から言っちゃうと、
- 三人称で自分に話しかけると健康的な食事をするようになる!
みたいになります。三人称を使うことで自己コントロールの能力が高まり、おかげでお菓子やジャンクフードの誘惑に強くなるというんですね。
これはミシガン大学などのチームによる研究で、244人の男女に以下のような実験をしてます。
- 参加者の半分に「健康的な食事と運動の大事さ」を強調した動画を見せて、残りの半分には「ホームセンターのコマーシャル動画」を2分ずつ見てもらう
- 動画を見た後、コンピュータの画面上に健康的な食べ物と不健康な食べ物を表示。それぞれの食品について、「一人称のセルフトーク(「私は何を食べたいのか?」)」または「三人称のセルフトーク(◯◯は何を食べたいのか?)」で考える
- みんながどんな食事を選んだのかをチェックする
ってことで、セルフトークの使いわけで不健康な食事の誘惑に打ち勝てるかを確かめたわけっすね。
すると、やっぱり三人称を使ったグループには明確なメリットが確認されまして、
- 参加者が「ダイエットを意識していた」場合は、「健康的な動画を見た」に限り、三人称を使ったグループの方が健康的な食事を選びやすかった
- 参加者が「ダイエットを意識していない」場合は、どちらの動画を見たときでも、三人称を使ったグループの方が健康的な食事を選びやすかった
みたいな結果だったそうです。参加者の条件によって微妙な違いはあれど、いずれにせよ三人称のセルフトークはお菓子の誘惑に打ち勝つのに役立つみたいっすね。ダイエットを意識したグループの方が効果が出にくいのは、ちょっとおもしろい現象っすね(普段からダイエットを心がけてるぶんだけお菓子に反応しやすいのかもしれませんが)。
研究チームいわく、
1日の食事量を数100kcal減らすだけでも、不健康な体重の増加を防ぎ、減量に役立つことがわかっている。三人称を使ったセルフトークがダイエットを促進するかどうかは、今後さらに調査を行う必要があ流ものの、どんなに小さな改善だろうが長期的には大きなメリットにつながるだろう。
特に現代では安くておいしい食べ物が身のまわりにあふれており、三人称のようなセルフコントロール戦略は、食事の改善に効果的である可能性が高い。
とのこと。確かに「三人称」で自分に語りかけるだけなら楽だし、コストもかかんないですもんね。
というわけで、かなりお手軽で効果も高そうな手法ですんで、もしダイエット中にジャンクフードを食べたくなったら、「いま(自分の名前)は何を食べたいのだろうか?」「(自分の名前)はどんな欲求を抱いているのだろうか?」とか問いかけてみちゃいかがでしょうか。