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今週半ばの小ネタ:空腹で運動のやる気がアップ、完璧主義とうつ病、認知症になりにくい性格

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

   

 

 

適度な空腹感が運動のモチベーションを上げるかも?

運動のモチベーションがわかないなら空腹になるといいかも?」と思わせる実験(R)が報告されておりました。

 

 

といってもまだ動物実験の段階なんですが、この研究ではマウスたちを2種類に分けまして、

 

  1. エサを自由に食べさせる
  2. エサを1日2回だけに限定する

 

って感じで、両グループの運動量の違いを見たんだそうな。すると、結果にはおもしろい違いが出ていて、どっちのグループも食事の量はそんなに変わらなかったのに、1日2回しか食べなかったマウスの方が運動量が多かったんだそうな。

 

 

研究チームいわく、

 

今回の発見は、食事が制限されている場合には、グレリンの産生を促進する空腹感が自発的な運動意欲を向上させる可能性を示唆する。

 

とのこと。食欲をブーストさせるホルモンが、実は運動のモチベーション向上にも役立っているのではないか、と。

 

 

もちろんマウス実験なんでヒトでも同じ効果が得られるかはわからんですが、もしかしたらプチ断食のようなテクニックには、運動をする気にさせる効果もあるのかもですな。

 

 

言われてみれば、原始時代の人たちは、空腹の時ほど狩りに出かけて体を動かす必要があったわけですから、このようなメカニズムがあってもおかしくないような気はしますねぇ。

 

 

なぜ完璧主義はうつ病を引き起こすの?

完璧主義はメンタルに悪い」ってのは、このブログでもよく取り上げている話。まぁ常に完璧を求めてたらストレスが半端ないので、メンタルが悪化しやすくなるのは当然と申しますか。

 

 

でもって、新しく出たメタ分析(R)は、「完璧主義がうつ病を引き起こす!」って結論になっておりました。

 

 

これはヨーク セント ジョン大学の論文で、18件の縦断研究のメタ分析を行い、合計5,568人のデータをまとめてます。ここでは「完璧主義」を2つのパターンに分けていて、

 

  1. 完璧主義的な懸念(他人は私に完璧を要求している!という認識)
  2. 完璧主義的な努力(私は常に完璧を目指すのだ!という自分への要求)

 

といった感じで、よりメンタルへのダメージが大きいのはどちらかを調べてくれたんですね。

 

 

その結論がどんなもんだったかと言いますと、

 

  • 完璧主義的な懸念と完璧主義的な努力のどちらも、将来の抑うつ症状の増加と関係していた
  • 完璧主義がうつ病をもたらすのは、主にストレスと社会的な断絶が原因だと考えられる
  • 「完璧主義的な懸念」はストレスおよび社会的断絶の増加と関連していたが、より「完璧主義的な努力」は社会的断絶の増加と関連していたものの、ストレスとは関連していなかった

 

だったそうです。全体的にみれば、やはり完璧主義はうつ病の原因になり、それは「他人とうまくいかない」のが大きな理由なんだ、と。

 

 

研究チームいわく、

 

「完璧主義的な懸念」が強い人は、他者とのポジティブつながりを持つのが難しいことが多い。完璧主義者は、自分がものごとを完璧にこなさないと、他者からの承認や愛を得られないと判断するからだ。

 

同じように、「完璧主義的な努力」が強い人は、共同的な目標を犠牲にして、作動的な目標を追求することが多く、これは彼らが有意義な人間関係に参加するチャンスを逃す原因になる。

 

とのこと。要するに、完璧主義的な人は自己本位な目標を追い求めるので他人と協調できず、結果的に社会からのけものにされてるような気分になり、最後にはメンタルを病んでしまうんだって話ですね。

 

 

ちなみに、完璧主義対策についてはこちらに概要を書いてますので、心当たりのある方はどーぞ。

 

 

認知症になりにくい性格はこれだ!

「認知症になりにくい性格はこれだ!」みたいな話(R)が出ておりました。

 

 

これは65歳以上の高齢者524人を対象にした観察研究で、

 

  1. みんなのビッグファイブを調べる
  2. 全員を3年ほど追いかけて認知症の症状をチェックする

 

みたいに参加者の性格と認知症の関係性を調べたら、

 

  • 開放性が高くて神経症傾向が低い人は認知症になるリスクが低い!

 

って傾向があったそうな。要するに、好奇心いっぱいで不安になりにくい人は脳が衰えにくいんだってことで、思わず納得の結果ですね。いつも新しいことに挑んでたり、いろんな人とつながってたりできる人は、いかにもボケなさそうですもんねぇ。

 

 

ちなみにある研究では、神経症傾向の高さは認知症リスクを2倍にするって結果もあるそうで、なんとも怖いことになってたりします。やっぱ不安のストレスは脳によくないんですね……。

 

 

研究チームいわく、

 

もちろん、より多くの研究は必要だが、今回の結果は、特定の認知症前症候群のリスクに性格的な特徴が独立した役割を果たしていることを示唆している。

 

臨床的な観点からすれば、認知症リスクを評価する際に性格を考慮することも重要だろう。

 

とのこと。歳をとっても健やかな脳でいるためには、好奇心の維持とストレス対策が必要だよーってことでひとつ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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