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もし筋トレの効果が出てなくても脳の神経は育ってるから大丈夫だよ!という動物実験のお話

 

筋トレを始めたばっかの時にありがちなのが、「何週間もやってるのに見た目が変わらない!やる気が失せる!」みたいな話です。自分ではがんばってるのになかなか成果が実感できず、モチベーションが下がっちゃうケースですね。

 

 

が、新しいデータ(R)は、「筋肉は変わらないように見えても脳は育ってるから落ち込まないで!」って結論になってていい感じでした。トレーニングを始めて最初の数週間は神経系が強化されるので、決してムダじゃないんだよ!って話ですな。

 

 

これはサルを使った研究でして、ざっとどんな内容だったかと言いますと、

 

  1. サルに重りのついたハンドルを引く訓練をさせる(片腕のみ)
  2. 12週間のトレーニングで少しずつ重さを上げていく
  3. 腕の筋肉の電気活動を測定する

 

みたいになってます。当然、サルたちは筋トレなんかしたくないので、研究チームは何度もおやつをあげてモチベーションを高めたんだそうな。ちなみに、サルのやる気が一番アップしたのはチョコレートだったそうです。うーん、かわいい。

 

 

すると、筋トレをした腕にはすぐに変化が見られまして、

 

  • トレーニングを続けるうちに、筋肉の電気的反応がどんどん増加した
  • 3ヶ月後に脳のRST(運動を制御するエリア)を刺激したら、トレーニングした腕により強い反応があった

 

って感じだったそうです。実際には筋肉が増えていなくとも、脳と腕をつなぐ神経系は確実に効率が上がったわけですね。トレーニングの成果はあくまで脳が先で、筋肉は後なんだ、と。

 

 

まぁこれは当たり前の話で、筋肉を育てるためには、まず何千本もの小さな筋繊維を収縮させなきゃなんないですからね。そのためには、脊髄につながる脳の神経回路を使ってコントロールする必要があるわけです。筋肉を動かすための前提として、まずは神経を鍛える必要があるんですな。

 

 

というわけで研究チームいわく、

 

筋力トレーニングは筋肉を鍛えるだけでなく、神経系も鍛える。新しいトレーニングプログラムの最初の数週間で上腕二頭筋が成長しなかったとしてもも、ジムに通う人はがっかりする必要はない。

 

とのこと。もちろんサルを対象にした実験なので「ヒトでも同じことが言えるか?」って問題はあるものの、ここらへんのメカニズムは基本的に人間も変わらないですからねぇ。「筋トレはまず神経を鍛えるのだ!」って点は同じとみてよろしいかと思います。

 

 

さらにチームいわく、

 

ウエイトリフティングは筋肉と神経系の両方を鍛える。ボディビルダーは筋肉量に注目することが多いが、私たちが本当に興味を持っているのは、その根底にある神経の変化だ。

 

もし筋肉の強さをもたらす神経基盤を理解できれば、ケガや病気による筋力低下に悩まされている人たちを助ける技術を開発できるかもしれない。

 

とのこと。そんなわけで、筋トレの初心者やケガなどで満足な訓練ができない方も、「いま自分は筋肉よりも脳の神経系を鍛えているのだ!」と思っておくと、モチベーションが維持できて良いのではないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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