コーヒーが血管をガッツリ健康にしてくれるかも?というメタ分析のお話
コーヒーは体に良い!との話は何度も書いておりますが、新たに「心疾患にも効くんじゃない?」って結論のメタ分析(R)が出ておりました。内皮機能(血管の伸び縮み能力)を、コーヒーが改善するかもしれないというんですな。
具体的には、過去のコーヒー研究から11件を抜き出して計598人分のデータをまとめていて、
- 9 件は短期試験(1 回の摂取で 60~300 分後の効果を測定)
- 2 件は長期試験(2~8 週間の摂取で効果を測定)
って感じで短期と長期の両面から血管に与える効果をチェックしてくれております。コーヒーの健康効果を示したデータは多いものの、これまで「コーヒーが血管まわりの健康に効くか?」をチェックしたメタ分析は少ないんで、なかなか貴重な内容になってるんじゃないかと。
また、その他のポイントをまとめておくと、
- 参加者はだいたい健康な成人だが、一部には軽度の心血管疾患を持つ人もふくまれていた
- 実験の方法はさまざまで、カフェインレスコーヒー、普通のコーヒー、エスプレッソ、カフェイン錠剤、クロロゲン酸、ポリフェノールを強化したコーヒーなどが使われた
みたいになってまして、いろんなパターンでコーヒーの効能を調べたそうな。
では、ざっくりした結論を以下にまとめると、
- コーヒーの摂取は内皮機能に短期的にプラスの効果をもたらす。詳しくは、血管の広がりやすさが約1〜2.8%増加する(虚血性心疾患の患者さんの場合は-0.97%から9%の範囲)
- コーヒーの血管広がり効果は、400ml以上を摂取した場合にもっちも顕著になり、その変化は120分未満で起きる
- ただし、長期研究では血管の広がりについて目立った効果は認められなかった
みたいになります。こうしてみると、短期的にはコーヒーはそれなりに血管の健康に意味があるのかなーって感じですね。ちなみに、血管の広がりやすさが約1〜2.8%増加ってのはまずまずの数値で、狭心症に使わるニトログリセリンの効果が約18%と考えるとわかりやすんじゃないでしょうか。
こういった効果がある理由としては、
- カフェインがアデノシン受容体をブロックすることで内皮機能に影響を与える?¥
- コーヒーに入ってるクロロゲン酸が内皮機能に影響を与えてる?
- エスプレッソに多量に含まれるマグネシウムが内皮機能を改善してる?
などのメカニズムが推定されてますけど、具体的なところは謎。いろんな要素が組み合わさって健康効果につながってる気もしますが。
というわけで、やはりコーヒーは血管にも良さそうな気がするわけですが、例によって例のごとくこのメタ分析にも難点はありまして、
- 研究のあいだのバラつきがとにかく大きい(I2 = 97.9%)。これは、いろんなタイプのコーヒーを使った研究をまとめてるので、当たり前っちゃ当たり前ですが
- 長期のメタ分析は2件しかあつかってないうえに、1件はバイアスの可能性がめちゃくちゃ大きい
- 分析に含まれた一部のデータでは、コーヒーにより動脈硬化が悪化したとの報告もある
みたいになってて、「うーん、こりゃメタ分析としては質が低いな……」って感じがしちゃうわけです。特に研究間のバラつき問題は深刻なんで、かなり疑ってかかるほうがよさげっすね。
まぁコーヒーの健康効果は他にも確認されてますし、クロロゲン酸などのメリットも明らかではあるんで、「ちょっと血管が健康になればいいか…」ぐらいの気持ちでコーヒーを飲むならありでしょうね。