「タンパク質は1日を通して均等に飲んだほうがいい!」はどこまで本当なのか問題
「タンパク質は均等に飲んだほうがいい!」みたいな主張は昔からよく聞くところです。例えば1日に90gのタンパク質を目指すなら、「朝に30g、昼に30g、夜も30g」といった感じで均等に食べていくわけですね。
が、この考え方には賛否がありまして、
- 否定派「タンパク質は摂取量が全てを決めるのだ!いくら均等に食べたところで意味はない!」
- 肯定派「いや、プロテインの効果はトレーニングの強度に影響を受けるし、つねに体内にアミノ酸があったほうが筋肉の合成を刺激するのだ!」
みたいな意見にわかれてたりします。どちらの側も過去のデータにもとづいた主張なんで、いずれが正しいかと言われれば「難しいですなぁ……」としか言いようがない感じ。
といった状況で、「プロテインは均等に飲むべきか問題」に新たに取り組んだ研究(R)が発表されてて、勉強になりました。
これは立命館大学の研究で、18 ~ 26歳の健康な男性33人を対象にしたもの。実験では全体を2つのグループに分けていて、
- 均等グループ:1日3回ずつほぼ同じ量のタンパク質をとる
- 非均等グループ:朝食時に0.1g/kgのタンパク質をとり、夕食にかけて増やしていく
12週間の違いをチェックしております。どちらのグループも、1日あたり1.3g/kgのタンパク質をとるように調整されていて、違うのはプロテインの分配のしかただけっすね。
実験の期間中、参加者は筋トレのプログラムを指示されてまして、週3日のペースで行ったとのこと。どんなエクササイズ行われたかは不明ですけど、おそらくレッグカール、レッグエクステンション、アームカール、チェストプレスなどだと思われます。
でもって、12週間後にDEXAを使ってみんなの体組成をチェックしたら、結果はこんな感じになりました。
- タンパク質を均等にとったグループのほうが、均等じゃないグループよりも筋肉が増えていた(2.50±0.25kg vs 1.77±0.26kg)が、統計的に有意ではなかった(p=0.056)
- 筋力も全体的にタンパク質を均等にとったグループのほうが向上していた(p=0.1)
- 両グループの体脂肪量の減少には有意差がなかった
ということで、なんとなく「均等に食べていったほうがいいのかなー」ぐらいの雰囲気が漂う結果になってますね。
ただまぁ、この結果だと「均等派の勝利!」ってほどでもなくて、
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グループ間の体組成の差はとても小さいので、DEXAの誤差を考慮するとほとんど差はなくなるかも
- 研究では体重1kgあたり1.3gのタンパク質を採用しているが、これは一般的に筋肉を育てるための量としてはやや物足りない(体重1kgあたり1.6gは欲しいところ)ため、「もっと多くのタンパク質をとった場合は差がなくなるかも?」って可能性はある
といったあたりは判断を難しくしてるとこじゃないかと。実際のところ、ちょっと前の研究(R)なんかをみてますと、約1.6g/kgのタンパク質を摂取した場合はプチ断食(8時間ダイエット)と組み合わせても「筋トレの効果に悪影響はなし!」って結果が出てたりしましからね。全体的に十分な量のタンパク質をとっていれば、均等に割り当てるかどうかはそこまで影響がないのかなーって感じがしております。
というわけで、ここまでの話をまとめると、
- どうやらタンパク質のタイミングは、トレーニングの負荷やタンパク質の総量に比べれば、たいしたインパクトがないっぽい
- ただし、今回の研究では、1日を通してタンパク質をより均等に摂取すれば、より大きなメリットがある可能性も示してるので、気になる人は試してみるのもあり
みたいになりましょう。どうぞよしなに。