本音を飲み込むと人間関係が死ぬから気をつけようぜ!という本を読んだ話
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『静けさのコスト(The Cost of Quiet)』って本を読みました。著者のコレット・ジェーン・フェーさんはカップルセラピー専門の心理療法士で、ラジオ番組やポッドキャストもやってる現役の臨床家だそうな。
本書のテーマをひとことで言うと、「黙っていることは優しさじゃない!むしろ関係を壊す最大の原因だ!」って感じです。争いを避けて我慢するよりも、ちゃんと話すことでしか“安心して長く続く関係性”は作れないんだよ〜という、人間関係の基本をまとめてくれたわけですね。
ということで、いつも通り本書から勉強になったポイントをまとめてみましょうー。
- 著者いわく、争いを避けて黙るのは一見“優しさ”に見えるが、実際にはただの自己放棄である。たとえば、友人やパートナーと会話をしたあとで、「いま言われたことって、ちょっとカチンとくるけど、言っても揉めそうだし飲み込もう」などと自分の意見を引っ込めると、内に隠した意見は脳内でちゃんと“未処理タスク”として積もっていく。そして、積もった未処理タスクは、そのうちイライラ、距離感、冷めた空気みたいな形で、外への態度としてにじみ出てしまう。
- ここでポイントなのは、「言いたいことを押し隠す」って戦略のベースにあるのは「恐れ」だという点である。自分の言いたいことを押し隠していれば、たしかに相手は「問題がない」と認識してくれる。しかし、実際はここにあるのは「わかってほしいけど怖い」というメンタリティであり、この状態をそのまま続けていたら、やがてパートナーとは感情が切り離されてしまう。それをほっとくと、じわじわと相手とのつながりが失われていく。
- 「夫婦ゲンカ」について調べてみると、たいていの場合「ケンカの原因が問題ではない」ケースが大半を占める。たとえば、「なんで靴下そこに脱ぎっぱなしなの!?」や「また10分遅れてる!」といった小さな理由が発端になっているケンカは非常に多い。これらのケンカがエスカレートするのは、実は内容がどうこうではなく、脳が「私は大事にされてる?」という不安を抱き、これが暴走しているのが原因になっている。これは、心理学では「アタッチメント・パニック」と呼ばれる状態で、心拍数が上がったり、前頭葉の働きがにぶったり、防御か攻撃モードに入ってしまったりといった反応が起きる。いったん脳がこうなると、まともな会話をするのは難しい。
- また、よくある誤解が「自己主張ができるかどうかは性格の問題である」というものである。「自分は気が弱い性格だから言えない」「私は自己主張に向いてない人間だ」と思ってしまう人は多いが、ここで著者は「自己主張はスキルであり、回数で鍛えるもの」と主張している。このアドバイスは、簡単に言えば「ちょっとした違和感でも口に出す練習を積む」というものであり、「それちょっと気になったなー」や「今、少し距離を感じてるかも」といったように、普段から小さな違和感を口にすることを意識していけば、やがて怒りの爆発や沈黙のエスカレートを防げるようになる。
基本的に、「ちょっと気になった→でも相手が怒るかもしれない→だから我慢しよう→たまった怒りが大爆発」という流れは、だいたいが自己主張を「先送り」したことによるものなので、これを突破するには、怖くても口を開く回数を増やすしかない。
- 他人とケンカになりそうな場面では、「追う人/引く人」のタイプを理解するのも重要である。「追う人」とは、ケンカになりそうな時に「私は見捨てられるかも」と不安になるタイプで、「引く人」は、ケンカになりそうな時に「私は責められてるかも」と怖くなるタイプである。このタイプは、どちらも「恐れ」に反応しているだけだが、内面では自分が“正しい”と思い込んでしまい、その結果、お互いの行動が「さらに相手の恐れを刺激する」悪循環が生まれることになる。つまり、問題は相手ではなくて自分の反応パターンなのだと言える。
- 上記の問題を解決するには、自分の感情のパターンに名前をつけるのがベスト。たとえば「追いすぎモード」「シャットダウン・パターン」「不安暴走スイッチ」といった具合である。その上で、同じパターンが出現したときに「またあの不安暴走スイッチだ!」と気づけるようにすれば、険悪な空気を暴走させずに冷静な会話に戻れるようになる。
- ここまでの理屈をふまえて、著者は「ABCモデル」という解決策を提案している。これは、コミュニケーションの不全を修正するための手順をまとめたモデルで、
A:怖くても動く(Act)
B:弱さを見せる(Be vulnerable)
C:率直に言う(Communicate)
という流れになる。なにか自分が「いま言いたいことがあったけど押しとどめちゃったな」という違和感を覚えたら、このモデルを思い出して「できるだけ早めに・優しく・率直に伝える」ように心がける。これによって関係が改善する確率が大きく上がる。
ということで、いろいろ書いてきましたが、本書の主張をひとことでまとめるなら、
- 「本音を言わないことで壊れる関係が、めちゃくちゃ多いから気をつけようぜ!」
ってことですな。「言っても変わらないしな…」「これ話したら空気悪くなるし…」みたいに自分の本音を隠しはじめた瞬間から、関係はじわじわ悪化していくよーってことですね。これは恋愛や夫婦だけでなく、会社や友人との人間関係でも頻繁に起きる問題でしょうな。
もしいま「何か話したいけど、めんどくさくなって黙ってる」ことがあるなら、それは意外と対人関係のコストを払ってる状態かもしれないんで、上記のABCモデルを心がけるのは有効じゃないでしょうか。どうぞよしなに。



