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秒でネガティブな気分を改善する「グラウンディング」テクニック・トップ11



無(最高の状態)」では、古今のあらゆるメンタル改善テクを紹介しているわけですが、なかでも簡単で効果が高いと思われるのが「グラウンディング」であります。

 

 

グラウンディングってのは心理療法で使われる基本テクニックのひとつで、視覚や聴覚、嗅覚などのツールを使って、様々な感情や思考から注意をそらすのがポイント。ネガティブな感情に襲われているあいだってのは、感情が思考や身体をのっとってジャックしちゃうんで、そんな時にグラウンディングのテクニックを使って現在に集中することで、身体の反応を中断させ、脳と感情を落ち着かせることができるんですな。

 

 

そのおかげで、グラウンディングってのは、PTSDや不安をコントロールするさいに用いられる一般的な戦略になってまして、

 

  • 苦痛
  • 怒りのような辛い感情
  • 不安
  • 悪夢

 

みたいな感情に苦しんでいる方を救うのに役立ってるんですよ(R)。まぁ残念ながら、「グラウンディングってなんで効くの?」ってのを調べた研究はまだほとんどないんですが、実践の場で効果をあげているのは間違いないので、いざという時に使えるようにトレーニングしておくとよろしいのではないかと思うわけです。

 

 

で、その代表的な方法は「無(最高の状態)」に書いたので、ここではさらに「使えるグラウンディングテクニック」をいくつか追加しておきます。ネガティブな感情につきまとわれたら、以下のテクニックのいずれかを思い出して実践してみてくださいませ。

 

 

 

  1. 深呼吸をする:グラウンディングの超基本テク。ゆっくりと息を吸い込んで吐き出すだけですが、その際、呼吸のたびに「吸う」「吐く」とつぶやいてみるとよいでしょう。それぞれの息が自分の肺を満たすのを感じ、それが外に出ていくときはどのように感じられるかに注意してください。


  2. 身近なものを手に取る:ネガティブな感情に襲われたら、とりあえず身近にあるものに触ってみる方法。自分の手が触れたものは柔らかいか? それとも硬いか? 重いか? 軽いか? 暖かいか? 冷たいか? といったように、それぞれの物の質感と色に注目していく。このときは、単に赤や青だけでなく、ミッドナイトブルー、ターコイズ、スカイブルー、マリンブルーなど、かなり細かな色を思い浮かべていくほうが効果が高い。


  3.  食べ物や飲み物を味わう:ネガティブな感情に襲われたら、とりあえず好きな食べ物や飲み物を少しずつ口にしてみる。一口一口を十分に味わい、味や香り、舌に残る風味について考えてみてくださいませ。


  4. 体を動かす:なんでもいいので、とりあえず体操やストレッチをしてみる。ジャンピングジャック、なわとび、ジョギングなど、体の動かし方はなんでもよいが、とにかく手や足が床についたときなどに、それぞれの動作で体がどのように感じるかに注意を向ける。


  5. 香りを楽しむ:なんでもいいので、とりあえず自分にとって魅力的な香りに意識を向ける。紅茶、ハーブ、スパイス、アロマオイルなど、その香りをゆっくりと深く吸い込み、その特徴を言葉にしてみましょう(甘い、スパイシーなど)。


  6. 周囲に耳を傾ける:ネガティブな感情に襲われたら、とりあえず自分の周りの音に耳を傾けてみる。エンジン音は? 鳥の鳴き声は? 風の音は? 犬の鳴き声は? 人々は何を話している? など、周囲の音に身を任せ、自分がいまいる状況を思い出してみる。


  7. 自分の肉体感覚を感じる:座っていても、立っていても構わないので、頭のてっぺんからつま先まで、体がどのように感じているかに集中し、それぞれの部分に注目してください。肩や額にかかる髪の毛の感覚、肩にかかる服の重さ、腕の筋肉の緊張、心拍のスピード、お腹がいっぱいなのか、それとも空腹を感じているのかなどをじっくりと味わってみる。


  8. 雑用を視覚化する:ネガティブな感情に襲われたら、いつもやっている行為を思い浮かべて、そのステップを細かくイメージする。コーヒーを入れる、オフィスの鍵をかける、昼食の準備をするなど、よくやっている作業を思い浮かべつつ、誰かにその方法を教えるかのように、段階を追って説明してください。


  9. 周りにあるものを描写する:数分間、周囲の環境を観察し、目に映るものをできるだけ詳しく説明しましょう。「このデスクは白くて両腕を広げたサイズ。日陰にいるけど、窓から入ってくる紫外線はちょっと心配。椅子はざらざらした感じだけど、座り心地は悪くない」みたいな感じ。


  10. 好きなものをリストアップする:ネガティブな感情に襲われたら、とりあえず以下のジャンルから好きなものを3つずつ挙げてみる。食べ物、植物、歌、映画、本、場所。「ラーメン、カレー、ハンバーグ、蘭、バラ……」みたいな感じ。


  11. アクティビティを計画する:ディナーに行く、楽しみにしていた映画を見る、美術館に行くなど、自分が楽しめそうなアクティビティを計画してみる。あなたが一人ですることでもいいし、友人や恋人とすることでもいいし、なんでもいいので、そのアクティビティをいつ誰とやるのかなど、細部にわたって決めていくと良い感じです。

 

 

ってことで、「無(最高の状態)」に書き漏らした(というか、紙面の都合で削った)グラウンディングの技法をピックアップしてみました。まー、いずれの方法も実践できれば間違いなくメンタルの改善には役立つはずですが、いざネガティブな感情に襲われると、みんなグラウンディングを忘れがちになってしまうので、日ごろから練習をしておくとよいでしょう。私の場合は、「深呼吸」と「周りにあるものを描写」あたりをよく練習しております。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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