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【質問】プチ断食とHIITを組み合わせたら激しくメリットを得られたりしないですか?

 


 

こんなご質問をいただきました。

 

25歳男です。パレオさんはプチ断食とHIITをどちらもオススメしていると思いますが、これは一度にやったらどうなるのでしょうか?つまり、朝起きてなにも食べないままHIITをやった場合に、これというメリットは得られるのかということなのですが。

 

ということで、このブログではプチ断食HIITって高負荷トレーニングをおすすめしているんですが、両者を組み合わせたらどうなのか、と。通常、空腹のままで運動をすると、エネルギーが足りないせいでパフォーマンスが低下するもんなんですが、果たしてプチ断食とHIITの組み合わせはどんなもんなのか、と。

 

 

で、断食と運動の組み合わせってのは昔から賛否両論あるテーマでして、すごーく大きな結論から言えば、

 

  • はっきりと言うことはできない!

 

って感じになっちゃいますね。なんせプチ断食とHIITのセットを調べたデータってのはないもんですから。

 

 

ただ、「空腹時に運動をしたらどうなるか?」ってのを調べたデータはいろいろありまして、そこからある程度の推測はできるかなーって感じです。いま言えることをまとめてみると、だいたいこんなことが言えるでしょう。

 

 

 

プチ断食+HIITで得られる(かもしれない)メリット

では、まずはプチ断食+HIITで得られる(かもしれない)メリットはこんな感じです。

 

  • そりゃ脂肪はよく燃えるでしょう:いくつかの研究(R)で「空腹時に有酸素運動を行うよ、満腹時よりも脂肪が燃えるよー」って報告がなされてたりします。それもそのはずで、絶食状態で運動をすれば、体内に使えるエネルギーがないので、脂肪の分解が進むのは当たり前なんですよね。簡単に言うと、空きっ腹のままHIITをやればインスリン濃度が下がり、体脂肪をさらに使うようになるよーってことで、まぁそりゃそうですわな。

     

  • 持久力も上がるかも知れませんよ: 絶食状態で運動を行うことで、さらに体の負荷が高まって運動の効果があがり、健康を維持できることを示唆するエビデンスはいくつか出てきております(R)。まぁHIITぐらい負荷が高い運動でも効果があるのかは謎なんですけど、可能性はあるでしょうな。

 

  • 成長ホルモンが増えるかもですよ:断食と運動ってのは、どちらも成長ホルモンの分泌を増加させる働きがありまして、一部の研究(R)では、2日間の断食で成長ホルモンの分泌が5倍になったなどと報告されてたりします。これを考えると、プチ断食とHIITの組み合わさ絵によって、成長ホルモンが増加する……かも?みたいな感じですね。

 

  • インスリン感受性と血糖コントロールの改善 : 断食状態での長期的な運動トレーニングは、インスリン感受性と血糖コントロールの大幅な改善につながるという研究報告があります(R)。まぁこれも上記の脂肪燃焼と同じ理屈で、「そりゃそうでしょうな」って話ですが、念頭に置いておくとよろしいでしょう。

 

 

プチ断食+HIITでヤバいかもしれないデメリット

次は、プチ断食+HIITによって、人によっては肉体にダメージが出ちゃうかもしれないぞって話です。当然ながら、HIITもプチ断食も体にストレスを与える行為なので、副作用が出ちゃう可能性は十分にあるんですよ。

 

  • 強い疲労が出ちゃうかも: 空きっ腹の状態だと、HIITを実行するためのエネルギーがどうしても少なくなってしまい、人によっては、頭痛、めまい、心拍数の異常、血圧の低下などの問題が出ちゃう可能性はかなりあります。このへんは、人によってだいぶ反応が違うはずなんで、少しでも疲れが残っている状態でやるのはおすすめしないですね。

 

  • ストレスが激増しちゃうかも: 断食と激しい運動を組み合わせるのは、身体へのストレスレベルんが非常に高いので、なかには不安や睡眠不足になる人もいるはず。ストレスが激増したせいで脳が覚醒してしまい、そのせいで眠れなくなってしまうわけですな。

 

  • 筋肉が減少する可能性もあるよ: これも当たり前の話なんですが、断食をしつつ有酸素運動を行うと、無闇にエネルギーが消費されてしまい、結果として筋肉が減少する可能性も報告されてたりします(R)。

 

  • 低血糖になる可能性もあるよ : エネルギー不足のせいで運動をすることにより、ふらつきや無気力感を感じることもあります。なので、糖尿病のような代謝性疾患の基礎疾患がある場合は、医師に相談し、運動や断食を計画する必要があるでしょう。

 

 

って感じでして、プチ断食+HIITには、良い面と悪い面がどちらも想定されるので、取り扱い注意な案件だとは申せましょう。まぁ、HIITってのは10~30分ぐらいで終わる短時間の運動が多いため、貯蔵されたグリコーゲンでも十分に対応は可能だと思うんですが、なんせプチ断食もHIITのどちらともストレスフルな行為なのは間違いないので、メリットを得られそうな人は限られてしまうのは確実っすね。

 

 

ってことなんで、もしプチ断食とHIITを組み合わせて行いたい場合は、

 

  • 食事バランスが悪くて栄養が足りていない人

  • 基礎疾患をお持ちの人

  • 普段の生活でストレスを感じている人
  • 摂食障害がある人

  • 妊娠中の女性

 

といった問題がある方には、たんにストレスで体にダメージを負って終わるだけに可能性がありますんで、おすすめできないですね。また、体調が万全な状態でプチ断食とHIITをやる場合でも、十分な水分補給と、運動後すぐに食事をするように心がけておいてくださいませ。

 

 

また、低血糖が頻繁に起こるようであれば、トレーニングの時間を短くするようにお願いします。あくまで穏やかな負荷からスタートして、徐々にレベルアップしていくのが基本になりますんで。いずれにせよ、なんらかの不快な症状が出た場合は医師に相談するのをお忘れなく。どうぞよしなにー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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