運動を減らす勇気を持とう!意外ほどトレーニング量を減らしてもパフォーマンスは維持できる件
「健康のためには運動が欠かせないが、できればあんまりしたくない!」と思うのが、人間のサガでございます。みんな忙しいしキツい運動は嫌だしで、できれば「最低限の運動量で健康を維持したい!」と願うのが一般的でございましょう。
ってことで、新しいデータ(R)は「肉体のパフォーマンスを維持するために必要な最小限の運動量ってどれぐらい?」ってところを調べてくれてて非常によい感じでした。
この論文は「ナラティブレビュー」ってやつでして、過去のいろんな研究を集めて「最低限の運動ラインは?」って問題について考えたものです。系統的レビューとは違ってバイアスを考慮する手順がふくまれないので、そのぶんだけどうしても結論の精度は低くなっちゃうんですが、全体としてよく構成された内容になってますんで、十分参考になる結論を得ることができるでしょう。
まず、この研究チームの問題意識を紹介しますと、
身体的パフォーマンスを維持するために必要なぶんだけ運動量を減らすことができれば、アスリートやクライアントは、空いた時間を他の仕事や回復に振り向けることができる。
ってことでして、確かに「必要最低限の運動量」さえわかれば、空いた時間を有効に使えていいですわな。ちなみに、この研究は、あくまで「身体的パフォーマンスを維持するための運動量」(持久力とか最大有酸素容量とか)に焦点を合わせてまして、体型を維持するための最低の運動量などについては考慮されてませんので、その点はよろしくお願いいたします。
では、本論から得られる主なポイントを見てみましょうー。
- 運動の量を減らしつつも肉体のパフォーマンスを保つには、「運動の強度」がもっとも重要な要素だと思われる。 運動強度さえ維持できれば、運動頻度(最大66%)と運動量(33~66%)を大幅に減らしても、持久力と筋力のパフォーマンスは維持される。
- たとえば、アスリートを対象とした研究では、トレーニング量を30~70%減らしても(1週間のトレーニング回数とか時間とか)、運動強度を維持すれば、筋力パフォーマンスが最大で4週間維持できたと報告されている。
- 具体的な運動としては、以下のポイントを守るのが大事になる。
- 1回の運動量は、最大で4~8分間持続するぐらいを維持しておきたい。
- 運動量と運動強度を維持する限り、運動の頻度は週2回まで減らすことができる。
- 運動頻度と運動強度を維持する限り、運動量を 66%減らすことができる(1回の運動13 分程度)。
- 運動強度は、最大心拍数の82-87%まで下げることができる。
- 長時間の持久力(すなわち、最大で1~3時間続く運動)を維持したい場合は、以下のポイントを守るのが大事になる。
- 最小限の運動頻度は不明。そのため、運動頻度は従来のレベルを維持するのが無難かも。
- 運動頻度と運動強度を維持する限り、運動量を33%減らすことができる(1回の運動あたり26分程度)。
- 運動強度は、とにかくできるだけ高く維持する必要がある。
- 疲れにくい体を維持したい場合は、以下のポイントを守るのが大事になる。
- 運動量と運動強度を維持する限り、運動頻度を週2回に減らすことができる。
- 運動頻度と運動強度が維持される限り、運動量を66%(1回の運動あたり13分程度)減らすことができる。
- 運動強度は、できるだけ高めに維持されなければならない
- 筋力を維持するためには、以下のポイントを守るのが大事になる。
- 運動頻度は週1回まで減らすことができる。
- 運動量は、1エクササイズあたり1セットまで減らすことができる。
- 各セットの最後のレップで最大の力を出せるような運動強度を保つのがおすすめ。
- 若者(~20~35歳)が筋肉サイズを維持するには、以下のポイントを守るのが大事になる。
- 運動頻度は週1回まで減らすことができる。
- 運動量は、1エクササイズにつき1セットまで減らすことができる。
- 各セットの最後のレップで最大の力を出せるような運動強度を保つのがおすすめ。
- 高齢者(~60~75歳)が筋肉サイズを維持するには、以下のポイントを守るのが大事になる。
- 運動頻度は週2回まで減らすことができる。
- 1エクササイズあたり2~3セットを推奨。
- 各セットの最後のレップで最大の力を出せるような運動強度を保つのがおすすめ。
ってことで、全体的に見てみると「トレーニングは週2回で、1回13~26分程度まで減らせる!」って感じでして、思ったよりも少なくてすむ印象っすね。ちなみに、このような運動強度(運動時の心拍数)を維持する限り、持久力は最長で15週間、筋力と筋肉の大きさは32週間まで維持できるそうで、これは「仕事で忙しくて運動できない!」みたいなときには非常にはげまされる感じっすね。