今週半ばの小ネタ:みんなが友人に求める性格トップ10、生まれつきの極度な方向音痴、寝る前の音楽で睡眠の質が上がる
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
友人に最も望まれる性格と望まれない性格トップ10
こないだボイシーで「友人のつくり方」みたいな話をしたんですが、新しいデータ(R)は「みんなが友人に最も望む特性ってどんなものなの?」ってポイントを掘り下げてくれてておもしろかったです。
ここでは3つの実験が行われてまして、それぞれざっくり紹介してみるとこんな感じです。
- 研究1:ギリシャとキプロス共和国から236名を募集。それぞれの参加者に、友人に持っていてほしい特徴、持っていてほしくない特徴を書き出してもらい、50の望ましい特性と43の望ましくない特性を抽出する。
- 研究2:ギリシャ語を話す706人の参加者に、研究1で明らかになった50の望ましい特性をランダムな順序で提示。それぞれの特徴について、参加者に1(強く反対)から5(強く賛成)まで評価をしてもらう。
- 研究3:ギリシャ語を話す861人の参加者を対象に、研究1で明らかにされた43の望ましくない特性をランダムな順序で提示。ここでも、参加者に5段階評価をしてもらう。
というわけで、大量の参加者を集めたうえで、みんなが友人にどんな特性を求めているのかを尋ねたわけっすね。その結果をざっくりまとめると、以下のようになります。
- 多くの人が友人に望む特性を重要な順に並べると、誠実、倫理的、快活、会いやすさ、慎重、寛容、共感的、楽しい、賢さ、自分に似ているかどうかといった感じになる。
- 一方で、多くの人が友人に望まない特性は、不誠実、競争的、せっかちの順番だった。
というわけで、おおまかに見てみると、協力や相互サポートにつながるような特徴が好まれ、それをジャマするような特徴は好まれないんだなーって感じですね。まー、この研究は、同性の友人と異性の友人を区別していないところに限界はありますが、「みんな質が高い社会的なインプットを求めて他人と付き合ってるんだなー」ってのを頭の隅に置いておくのはよいことでしょうね。
生まれつき超方向音痴の人が約3%ぐらいいるらしい
「生まれつき地図が極端に苦手な人が3%いるぞ!」なんて話(R)が出ておりました。全人口の約3%の人は、認知の働きになんの問題もないにも関わらず、地図を読んだり、街の中を迷わずに歩いたりといったことができないらしいんですよ。
まず簡単に研究の内容をまとめておくと、こんな感じです。
- 2016年から2019年の間にイタリアの宗教団体から参加者を募集。神経障害のない18~35歳の男女計1,698人(男性635人)を集める
- みんなの方向感覚(例:地図を読む能力とか)や右左混同(例:日常生活で右と左を混同するか)などを調べて、どれぐらい方向とか地形に関する能力があるかをチェックする
って感じで全員の方向感覚を調べ、そのスコアが2標準偏差低い人を「発達性地形的見当識障害(DTD)」として分類たんだそうな。その結果、参加者の約3%がDTDの基準を満たしてまして、その人たちは、慣れ親しんだ土地でも週に1〜5回ぐらい道に迷ってしまうレベルの方向音痴だったんだそうな。よく知った土地でも未知に迷うってのは、なかなかすごいもんですな。
研究チームいわく、
DTDの人たちは、記憶や脳の神経に異常はないが、空間認知や日常のナビゲーションに著しい障害を示し、さらには座標空間のエンコーディングに不釣り合いな障害を示す。
このような人々は、特定の町をどのように行き来するかという感覚を発達させることなく、しばしばランドマーク知識で止まっており、アロセントリック表現(すなわち、他のオブジェクトとの関係におけるオブジェクトの位置)の能力がないことを示唆している。
とのこと。極端に方向音痴な人たちってのは、「ここに本屋がある!」とか「ここに駅がある!」みたいな情報は認識できるんだけども、「ここの本屋から右手に3分ぐらいのとこに駅がある!」みたいに、それぞれの情報を対応させることが苦手ってことらしい。
あくまでオンラインによる自己報告式の調査なので、実験の精度としてはかなり低い感じがしますけど、生まれつき極端に方向音痴な人がいるってのは確かみたいなんで、頭に入れとくと良いかもですねー。
寝る前に幸せな音楽や悲しい音楽を聴くと睡眠の質が上がるぞ!
「寝る前に音楽を聞くのは睡眠に良いのか悪いのか?」って議論は昔からあって、まだそこまで決着がついてない感じなんですが、新しいデータ(R)では、「寝る前に音楽を聴くと睡眠の質があがるかもよ!」って結論になってておもしろかったです。楽しい音楽だろうが悲しい音楽だろうが、どんな音楽でも睡眠の質と幸福感が向上するというんですな。
この調査は、シンガポールの大学から募集した19歳から31歳までの男女62名を対象としたもので、
- 幸福感の大きな音楽(主に長調)
- 悲しい音楽(主に短調)
- ピンクノイズ(対照群。葉っぱのざわめきや降り続く雨の音などが含まれている)
という3つの音声をランダムに聞くように指示。基本的に、5日間連続で寝る前に音声を聴いてもらい、参加者には、毎朝「睡眠の質」と「幸福感」を報告してもらったそうな。
その結果、何がわかったかと言いますと、
- 寝る前に幸せな音楽と悲しい音楽のどちらかを聞くと、ピンクノイズを聴いた場合よりも、主観的な睡眠の質が改善していた。
- ハッピーな音楽を聴くことによる改善と、悲しい音楽を聴くことによる睡眠の質の改善の間に有意な差はなかった。つまり、どちらの音楽を聴いた場合でも、参加者の翌日のストレスやネガティブな感情は同じように減り、同じように生活の満足度が改善した。
だったそうな。研究チームいわく、
音楽鑑賞はコストがかからず実施しやすいため、誰でも主観的な睡眠の質およびその他の日常的な幸福感を改善するためのコスパが高い方法として利用できる。
ということで、どんなタイプの音楽でもいいから、とにかく寝る前に好きな曲を聞いておくことで睡眠の質が上がる可能性があるらしい。
難を言うとすれば、この実験は「参加者の音楽の好み」や「聞いた曲がどれぐらい好きか」などは測定していないので、そこらへんの違いで睡眠への効果も変わるんじゃないかなーとか思ったりもするわけです。また、ピンクノイズが睡眠の質に有害である可能性を排除できないため、コントロール条件としては不十分なとこもご注意ください。
とはいえ、音楽ってのは、夜間に起きるストレスや不安感から気をそらしてくれて、それによって睡眠の質が上がる可能性は高いと申せましょう。研究チームも言うとおり、なにせ簡単に実践できる方法なので、お試しいただくとよろしいのではないでしょうか。