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睡眠改善は「片づけ」と「逆算」で決まる?――IKEAレポートに学ぶ4つの快眠法

 
 

「なんだかよく眠れない!」という人のために、IKEAと米国ナショナル・スリープ・ファンデーション(NSF)が睡眠に関するナイスな調査(R)をしてて、これが面白かったです。

 

これは米国に住む成人1,000名以上を対象にした調査で、「現代人の睡眠の悩みを把握して現実に活かすぞ!」って内容になっております。すべての参加者に睡眠に関する質問を投げかけて、よく眠れる人とよく眠れない人の特徴を割り出す内容になってます。いわゆる学術論文のような厳密な試験ではないんだけど、分析の内容は実用的なものが多くて、ちゃんと使える内容になっているんじゃないかと。

 

で、そこでわかった知見は、やっぱり王道のアドバイスが多くて、

 

  • 寝室の温度を涼しく(16~19℃が理想)
  • 暗くする(遮光カーテンや照明を工夫)
  • 静かにする(音を遮断、サウンドマシン活用も可)

 

みたいな感じになっていました。まぁ、ここら辺はこのブログを読んでいる方であれば、すでに実践ずみでしょう。

 

が、中にはちょっと目新しいアドバイスもありましたので、個人的に面白かった部分を4つピックアップしておきます。

 

 

快眠ポイント1.睡眠は「寝室の片づけ」から始まる

まず一つ目のポイントは、「寝室の片づけ」であります。このレポートによると、「寝室が散らかっている人ほど睡眠の質が低下する傾向がある!」と言ってまして、枕元に物がごちゃごちゃしてたり、洗濯物が山積みだったり、読みかけの本が何冊もあったり……みたいなノイズが視界に入ってくるだけで、脳はリラックス状態に入りにくくなるんだそうな。

 

というのも、人間の脳は、“未完了のタスク”や“視覚的な雑音”に対して、無意識に意識を向け続ける習性があるんですよ。たとえば、部屋が汚れていると「まだ片づけなきゃ」とか「何かやり残したことがあるんじゃ…?」みたいなストレス状態が持続し、いざ寝ようとしても脳の一部がスタンバイ状態のままになるんですな。実際、認知心理学の研究でも、部屋の散らかり具合がストレスホルモンのレベルや睡眠満足度に影響を及ぼすことが報告されていますからね。

 

ただし、ここで大事なのは「完璧に掃除しろ」って話じゃないことで、ポイントは「自分が寝るときに見える範囲」を中心に片づけてみることであります。枕元やベッド周り、視界に入る場所だけ片づければOKで、寝る直前に「よし、部屋がスッキリしている」と感じるだけでも、脳は“やるべきことは終わった”という満足感に包まれますんで。これが良質な入眠の第一歩。

 

「整理整頓=睡眠改善」って発想は意外と聞かないと思いますが、データを見る限り、寝具選びや照明よりも「まずは部屋を片づける」と考えたほうが効果的かもですな。

 

 

 

快眠ポイント2.睡眠を自己評価する

二つ目のポイントは「自己採点」で、睡眠の“質”を客観的な指標だけで測るのではなく、「主観的な満足度を自己評価(A~D判定)で毎日チェックしようぜ!」するのがポイントであります。たとえば、

 

  • A=完璧に満足(ぐっすり眠れた、朝も快適!)
  • B=まずまず満足(たいてい問題ない)
  • C=不満がある(眠りが浅かった、夜中に起きた)
  • D=全然だめ(ほとんど眠れなかった)

 

って感じで、日々の睡眠を“数字”ではなく“感覚”で記録していくわけですな。なぜこれが大事かと言いますと、眠りの満足度は「実際に眠った時間」や「中途覚醒回数」より、「自分がどう感じたか」が、その後のパフォーマンスや幸福感に大きな影響を及ぼすからです。実際の睡眠も大事なんだけど、それと同じぐらい“納得感”も大事なんですな。なので、毎日「自分の眠りに何点つけるか?」を記録してみると、自然と「今日はどこが良かった? どこを変えればAに近づく?」という意識が働き、習慣の改善につながっていくんですよ。

 

 

快眠ポイント3.逆算型スケジューリング

三つ目のポイントは、「逆算スケジューリング」です。日本人ってのは、つい「仕事・家事・趣味が終わったら寝る」みたいに考えがちなんだけど、レポートは「まず“何時に寝るか”を決めて、そこから逆算して1日のスケジュールを組む」ことを推奨しています。たとえば「23時に寝る」と決めたら、ここから逆算して、

 

  • 22:30 スマホをやめる
  • 22:00 お風呂やパーソナルケア
  • 21:30 家事や翌日の準備を終える
  • 20:00 食事やくつろぎタイム

 

といった具合に、“眠りを最優先”で生活全体を組み立てていくわけです。これは私も一番意識してやってることっすね。

 

レポートでも、「睡眠を中心に生活を組み立てる人は、翌日の満足度やパフォーマンスが格段に高い」とデータで示されていますんで、こちらもぜひお試しくださいませ。

 

 

快眠ポイント4.デジタル習慣を“自己診断”

四つ目のポイントは、「寝る前のテクノロジー習慣を自己診断」することです。「寝る前のスマホやPCはNG」ってのは快眠の基本ですが、このレポートでは「まず“自分がどれくらい使っているか”をチェックリストで“見える化”」することを推奨しております。

 

たとえば、「寝る直前までスマホを見てしまう!」「SNSや動画をベッドで見てしまう!」「朝起きた瞬間にスマホに手が伸びる!」みたいな問題に悩む人は多いと思いますが、このような「わかってるけどやめられない」場合も、まずは自分の行動を記録するだけでも効果が出ますんで。具体的には、

 

  • 毎晩、寝る前のスマホ使用時間をメモする
  • 使った理由や、どう感じたかも一緒に記録
  • 1週間ごとに見返して「減った?増えた?」を確認

 

みたいな感じで行動を“可視化”すると、人間は自然と「これは、さすがにヤバいな…」という気分になり、少しずつ習慣を手放せるようになるものなんですよ。

 

 

ということで、ここまでのポイントをまとめると、

 

  • 寝室を片づけて“視界ノイズ”を減らす
  • 毎晩の眠りを自己評価し、A判定を目指す
  • 「何時に寝るか?」から1日を逆算する
  • 寝る前のデジタル習慣を“見える化”する

 

って感じになります。どれもすぐに始められて良いですな。もし「何をやっても眠りが変わらない」と感じている方は、ぜひ一度「寝る前5分の片づけ」や「自己評価」から始めてみると良いのではないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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