このブログを検索




「ブルーライトをブロックする眼鏡で睡眠は改善するのか問題」最新のメタ分析をチェックしてみようー

 
 

「ブルーライトブロック眼鏡で睡眠は改善するか?」ってのを調べたメタ分析(R)が出てましたんで、内容をチェックしときましょう。

 

ブルーライトブロック眼鏡ってのは、ざっくり言えば「青色光(400〜500nm)をカットするメガネ」のこと。夜の時間帯にこの青色光を浴びると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑制されて、睡眠の質が下がっちゃうんですが、この問題を防いでくれるだろうと考えられるわけですな。なので、私も寝る前はアンバー色の眼鏡をかけたりしておりました。

 

ただ、実際にブルーライトをブロックする眼鏡に効果があるかってのは、なかなか判断が難しいところだったんですよね。そこで、このメタ分析では「ブルーライトブロック眼鏡は睡眠に効くか?」をチェックしてくれていて、非常に参考になりました。

 

このメタ分析は、ブルーライトブロッカーが「客観的な睡眠指標」に与える影響を検証したもので、具体的には、

 

  • 入眠潜時(寝つくまでの時間)
  • 総睡眠時間
  • 睡眠効率
  • 中途覚醒後の覚醒時間

 

といった指標について、リストバンド型のアクティグラフで測定されたデータを対象にしています。対象となったのは、健常者または軽度の睡眠障害を持つ成人で、夜の数時間だけブルーブロッカーを使った研究が3本ほどピックアップされてます。

 

というと、「たった3本だけで何がわかるんだ?」って気になるかもですが、これはあくまで出発点といいますか、現時点の知見を整理する意味は十分にありましょう。

 

で、肝心の分析結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 入眠潜時:ブルーブロッカーを使ったグループのほうが約5分早く寝ついた

  • 総睡眠時間:ブルーブロッカーを使ったグループのほうが約9分多く眠れた

  • 睡眠効率:改善ナシ(p = 0.86)

  • 中途覚醒時間:ブルーブロッカーを使ったグループのほうがわずかに減少したが

 

ということで、方向性としては「劇的な効果ではまったくないけど良くなってる感じがする!」って感じですかね。まあ、どれも統計的に有意とは言えないレベルなので、とても決定打とは言えないんですけども、「ブルーライトブロッカーは睡眠に効くかもしれないなー」ぐらいに考えておくのが妥当でしょう。

 

ちなみに、ブルーライトブロッカーについては、みんな大好きコクランレビューが2023年に「主観的な睡眠は改善するのか?」って観点から6本のRCTを分析してくれております(R)。睡眠の質ってのは、客観的な指標だけじゃなくて「ぐっすり眠れたなー」という主観的な感覚も大事なんで、このような分析も非常にありがたいわけです。

 

でもって、こちらではどのような結果だったかと言いますと、

 

  • 6本のうち3本は「睡眠に改善あり」と報告
  • 6本のうち3本は「睡眠に効果なし」と報告

 

みたいになってまして、どうにもバラバラな結果だったみたいなんですよ。うーん、判断が難しいぜ。

 

ということで、ここまでの話を踏まえると、ブルーライトブロッカーに過度な期待は禁物としかいいようがないんですが、個人的には、睡眠の基本を押さえたうえで「最後のサポート」として使うぶんには全然アリだって判断になりました。要するに、「寝室の環境を整える」「カフェインは夕方以降控える」「就寝時間を一定にする」といった超基本を整えた上で“最後の一押し”として使うなら良いのではないかなー、と。

 

というのも、ブルーライトブロッカー眼鏡ってのは、

 

  • 安いものなら1,500円前後で手に入る
  • 副作用はほぼゼロ
  • 視覚的に「夜モード」に切り替わる感覚がある

 

ってメリットがありますんで、よしんばプラセボ込みでの効果だったとしても、十分にお得じゃないかと思うからであります。劇的な効果さえ期待しなければ、決して悪いアイテムでもありますまい。

 

ただし、もしこいつを使おうと思うのであれば、ブルーライトブロッカーはあくまで“夜用”だってところはお気をつけください。これを昼間にかけてしまうと、かえって体内時計がズレるリスクがありますんで。最近の研究でも、朝や日中の光をしっかり浴びることが、睡眠の質を上げるために超重要であることがわかってきてますし、ブルーライトブロッカーを使うなら、「夕方から就寝前まで」の時間帯に限定するのをお忘れなく。

 

そんなわけで、最後に話をまとめておくと、

 

  • 現時点で、ブルーライトブロッカーの証拠は「まだまだ」ってところだが、それなりに意味はあるかもしれない
  • 主観的にも「なんか眠れた気がする」って効果はあるかもしれない

  • なので、「睡眠改善にマスト!」とはいえないものの、副作用ナシ・低コスト・使い方簡単なので、「睡眠改善の総仕上げ」として使うのはアリ

 

といったところです。睡眠改善ってのは、基本的に「地味で退屈な習慣の積み重ね」が9割って世界なんで、ブルーライトブロッカーのようなガジェットを使うことで、ちょっとした改善が見込めるなら、それもまた良しってとこじゃないでしょうか。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM