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ジャンクフードをつい買っちゃう!を3割も減らすふたつのテクニック

 

 

ジャンクフードは良くないよ!なんて誰でもわかっているものの、それでもつい食べたくなっちゃうもんでございます。その原因はいろいろありますけども、シカゴ大学ブース・ビジネススクールなどのチームが指摘してるのが、

 

  • 食品マーケティングが過食を生み出すのだ!

 

って問題です(R)。ジャンクフードの宣伝広告によって受け手の中に肯定的なイメージが育まれ、その結果として食べ過ぎが止まらなくなるんだよーって話ですね。

 

 

これは非常に難しい問題ですけども、ここで研究チームは「10代の若者がジャンクフードのマーケティングに負けないようにするにはどうすりゃいいの?」って疑問について調べてくれれて勉強になりました。

 

 

チームいわく、

 

食品マーケティングは、ジャンクフードにポジティブな感情を抱かせ、幸せや楽しさを連想させるように意図的に設計されている。

 

ってことで、この連想を断つにはどうすればいいのか?ってことですね。

 

 

そこで研究チームがどんな実験をしたかと言いますと、

 

  1. 中学2年生の生徒362人に協力をお願いする

  2. 参加者を「エクスポゼ・グループ」と「常識を伝えるグループ」に分ける

  3. しばらく両者の介入を行なって、ジャンクフードへの態度が変わったかどうかをチェックする

 

みたいになります。エクスポゼってのは研究チームが新たに開発した「ジャンクフードの欲求対策」で、ざっくり説明すると、大きくふたつの作戦を取ってます。

 

 

作戦1.「あなたたちは企業に操られてるんですよ!」と教える

ジャンクフードを食べることは、企業のコントロール下に置かれることなのだ!ってポイントを伝えるやり方。具体的には、以下のような情報を伝えたらしい。

 

  • 「糖分、脂肪分、塩分を多く含む不健康な食品はかなり中毒性が高く、企業は多額の資金を投じて、その中毒性をさらに高める方法を模索しています」
  • 「もっともマズいのは、中毒性のある不健康な食品が、子供や貧しい人々を最も苦しめていることです」

  • 「企業は科学者を雇って脳をダマす食品を発明する。そして、空腹であろうとなかろうと、より多くの砂糖や脂肪を欲するように仕向けるのです」

  • 「ジャンクフードの習慣をなくすには、これらの食品に近づかないのが一番。店頭で買わず、家にも置かないようにすれば、あなたを操る食品会社のワナから逃れられます」

 

 

作戦2.「事実を明らかに!(Make It True)」法を使う

ジャンクフードの宣伝広告を参加者に見せて、そこに食品マーケティングに関するネガティブな描写を書き込む方法。例えば、

 

  • 「このハンバーガーは野菜たっぷり!」みたいなチラシがあったら、そこに「だったらサラダを頼むよ!」と書き込む
  • 「もっと最高に!」みたいなお菓子の宣伝があったら、「最高」を消して「糖尿病」に書き換える

 

みたいになってます。宣伝のポジティブなイメージを、より現実的な内容に変換してみたわけっすね。

 

 

一方で、常識を伝えるグループに対しては、「ジャンクフードは体に悪いですよ!塩と脂肪が多いし!」といった一般的な情報を伝えまして、両者のあいだでどんな違いが出るのかを見たんだそうな。すると、果たしてエクスポゼグループには変化が見られまして、

 

  • エクスポゼを行ったグループは、学校のカフェテリアで健康に悪い飲み物やスナックを買う量が「常識を伝えるグループ」に比べて31%減少し、その効果は3カ月間にわたって続いた。エクスポゼの威力は、特に男子生徒に顕著だった

 

ってな結果だったそうです。この手の介入で31%って数値は悪くないんじゃないでしょうか。

 

 

では、なんで上記のテクニックが効果的だったのかって話ですが、研究チームはこう申しておられます。

 

食品マーケティングやジャンクフードを食べることが、思春期の価値観、なかでも、

 

(1)大人の支配から自立したいという願望

(2)社会正義を求める願望

 

に反することを伝えるものだ。

 

要するに、若いころってのは「大人は嘘つきだ!騙されないぞ!」や「社会は悪いことがあふれている!正さねば!」って気分が高まるものなので、この気持ちをジャンクフードへの不信と抵抗に向けさせてみたんですね。より簡単に言えば、

 

  • 私たちは企業に操られているのだ!って気分を煽る
  • ジャンクフードは弱いものをターゲットにしている!って気分を煽る

 

みたいな話ですね。研究チームいわく、

 

これまでの介入の大半は、粗悪な食生活が長期的な健康に及ぼす悪影響をつたえることで、10代の若者のモチベーションを上げようとしてきた。しかし、これは明らかに問題のある仮定だ。

 

とのこと。まぁ「企業さんも頑張ってるんだからそこまでディスらんでも……」とは思いますし、「この参加者は研究チームに操られてるけどねぇ……」って気分にもなりますが、思春期に多いモチベーションを利用するってのは確かに有効なんでしょうな。

 

 

ちなみに、今回の研究で注意しておきたいのは、

 

  • あくまで10代が対象なので、それ以外の年齢層にも効くのかは謎

 

  • 10代女子に対しては、エクスポゼも「常識を伝える」戦略も同じぐらいの効果が出ている。これは、女性の方が見た目や健康への意識が高いからかもしれない

 

といったあたりですね。果たして、私のようなオッサンにも似た戦略が効くかどうかはわからんのですけど、外部からの支配を否定する気持ちと社会正義を求める欲求は誰にでもあるはずなんで、個人的にも応用して行きたいなーとか思いましたが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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