結局、糖質は1日にどれだけ食べるのがベストなのか?
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以前に「糖質は必要な栄養素なのか、それともただの毒なのか?(1)(2)」にも書いたとおり、わたしは「糖質をそんなにイジめないで!派」であります(笑)。とはいえ、炭水化物を食べ過ぎれば肥満の原因になるのも間違いないんで、ここでは健康的に暮らすための糖質の最適ラインを探ってみることにします。
狩猟採集民とベストの糖質量
まずは結論から申しますと、1日の糖質の最適量は、総摂取カロリーの30〜50%
かと思います。その理由をならべる前に、まずは炭水化物の基本のおさらいから。
ご存じのとおり、口から入った糖質の量によって、体内の反応は大きく2パターンにわかれてきます。
- 糖質の量が少ない→体の糖代謝が摂取量よりも高くなり、体がタンパク質からブドウ糖を作り出す(糖新生)
- 糖質の量が多い→体が体の糖代謝が摂取量よりも低くなり、あまったブドウ糖が脂肪に変わる
糖質を食べまくる状態が続けば太るのは間違いない一方で、「糖質は必要な栄養素なのか、それともただの毒なのか? その2」にも少し書いたとおり、低糖質な状態が続くデメリットも確実に存在してまして、ちょうどその中間あたりを狙うのがベストであります。なにごとも中庸が大事。
じゃあ、その「中間レベル」がどれらいなの?って話ですけど、まず参考になるのが2000年の論文(1)。サン人やハッツァ族など9つの狩猟採集民の暮らしを調べたデータでして、ここから彼らの糖質の摂取量を把握できるんですよね。
これを見ると、ほとんどの狩猟採集民は根菜類や野菜から炭水化物を摂取してまして、平均で総摂取カロリーの30〜50%を糖質でまかなっている部族が多い模様(ただし、総カロリーの8割以上をまかなう部族もいるのでかなり幅が大きい)。以前にもちょっと書いたとおり、多くの狩猟採集民は体脂肪が少なく糖尿のような現代病とも無縁でして、この数字は非常に参考になります。
人間の体にとって自然な糖質量とは?
次に参考になるのが、断食をしている間の糖代謝について調べた1987年の研究(2)。健康な被験者たちに3日間の絶食をしてもらって、グルコースがどれだけ作られるかを確かめたんですな。その結果、平均の成人男性は、1日に120〜160グラム、カロリーにして480〜640kcalのグルコースが作られていることがわかった、と。つまり、このへんが、人間の体が自然に欲する糖質量なんじゃないかと推測できるわけですね。
ちなみに、ここで人体が使うグルコースの内訳は、
- 脳神経系 480Kcal(ケトン体が使えるときは150Kcal)
- 体液の合成 200Kcal
- その他、免疫系や腎臓 100Kcal
ぐらい。このうち200Kcalは脂肪酸から作られたグリセロールでまかなえるので、残り約600Kcal分を炭水化物で補うわけです。この数字を平均的な成人のカロリー摂取量に換算すると、およそ30〜50%の範囲におさまりまして、狩猟採集民の食生活に近い感じになってきます。
つまり、多くの人にとって健康的な糖質のレベルは、
- 外食が多めの人は、いつもより炭水化物量を半分に減らしてみる
- 野菜や肉を多めに摂っている人は、ちょっとだけ炭水化物を減らす
ぐらいで十分じゃないかと思います。それよりも低糖質な暮らしを続けると、今度はマイナス面が少しずつ顔を出してきちゃうので。
まとめ
そんなわけで、今回は健康的な糖質量のベストを探ってみました。もちろん、これはおおまかなガイドラインでしかありませんで、たとえば肥満や高血糖の方はガッツリ糖質を減らしたほうがいいでしょうし、逆に運動量が多い方や妊娠中の女性、甲状腺の機能が低下した人などは、もっと糖質を増やしたほうがいいでしょう。そのへんはかなりの個人差があるんですが、すでに標準体重の人が気分よく暮らすためには、総摂取カロリーの20〜40%が最適ラインかと思う次第です。
credit: Formosa Wandering via FindCC